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ライオンの生活


 昨日は色々あった。

 俺の新しい家族。いや、プライドに入って母さんの家族に会い、父に殴り飛ばされ、ハンにタメになる話を聞いた。


 ライオンの身体が頑丈なのか、いちを手加減してくれたのか、吹き飛ばされた痛みは消えていた。



 俺達は草原の草木が生えた場所で夜を過ごした。



 オスライオン達、(双子)を警戒したが、どうやら、メスライオンとオスライオンは近くで眠らないようだ。


 10メートル以上離れたところで互いにあまり干渉せず過ごしている様子。


 俺には好都合だった為、よかった。

 アイツを反面教師に俺は立派なオスライオンになってやる。

 ハンの昨日の言葉を聞いてそう強く誓った。



 朝起きるとまず俺達兄弟は母のミルクを飲む。


 だが、俺はここで一つわかった事がある。


 俺達兄弟はミルクを飲んでいるが、母さんは何も食べていなかったのだ。


 二週間もほぼ絶食だったのだ。

 たまに水を飲んだりしていたが口にしていたのはなんと草だった。

 ライオンが草を食べるなんて聞いた事がなかった。


 全ては俺達を守る為だ。赤ん坊で動けない俺達のために母は空腹に耐えて俺達を育ててくれたのだ。


 涙が出そうになる。

 俺は兄弟二人にちゃんと母さんに感謝しろよと伝え、再びミルクにありついた。



 そして、数時間経った頃、母さんの家族、まぁ俺の家族でもあるが、遠征に行っていたようで大きな鹿のようなものの死体を運んできた。


 すげーーー。狩をしてきたんだ。

 弱肉強食。

 これがサバンナのルール。



 母さんを他のメスライオンが呼ぶ。


「ララァ。あなたずっと食べてなかったのでしょう?あなたのために手を付けず持ってきたわ。たくさん食べてね」



 なんて暖かい家族なんだ。

 何もできない俺ではあるが、母さんのためにここまでしてくれるプライドに俺も感謝の念を送った。



 母さんも流石にお腹が空いていたようで、少し弱々しくなったその腰を上げゆっくりと食事にありつこうとするが弟のカイルがまだおっぱいにくっついていた。



 こいつ、、、このバカちんが!!!



 俺は弟の首根っこを掴んで母さんのおっぱいから引き離す。



「だめ!!!」



 母さんにも休ませなさい!

 俺は兄として弟を躾けると、母さんは微笑んで頭を舐めてくれた。


 俺は満遍の笑みで答えると母さんは皆が待つ食事へと歩き出す。

 ようやく母さんも食事ができると俺は安堵した。



 だが、ここにきてまたしても双子の野郎達が邪魔をしたのだ。


 なんと、自分達は狩もしてないのに、周りのメスライオン達を威嚇しながら押し退けて二人で肉に食らいついたのだ。



 なんだアイツら!!!

 マジでどういう脳みそしてんだよ!!!


 周りのメスライオン達は小さく唸りながらも、どうすることもできない様子でただ双子が食べるのを見守るしかなかった。

 それは母さんも同じである。



 許せない。

 アイツらはただ俺達と同じようにずっと寝てただけじゃないか!

 食事をとってきたのはメスライオンだぞ?

 それにみんな母さんのために取ってきたんだぞ?


 俺は再び怒りに燃えるも、赤ん坊ではどうすることもできず、ただただ悔しさと怒りに染まるばかりであった。

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