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ライオンの家族


 母と俺達がこの場へ着くと、次々にライオン達が集まる。


 メスばかりでオスライオンは見当たらない。


「みんなただいま。さぁ、子供達、皆に挨拶しなさい」


 それはそうだ。

 まずは自己紹介からだよな。


 俺は姉のリリィをチラッと見る。

 普通こういうのは上から挨拶するもんだろうと思ったからだ。



 そして、案の定リリィが口を開いた。


「はじめまちて。あたちの名前はリリィ。よろちくおねがいちまちゅ」



 メスライオンのみんながメロメロである。

 確かに可愛い。

 だが、甘いな。


 そんな赤ちゃん言葉の自己紹介では、格好がつかないぞ?

 男であり、長男である俺が手本を見せてやろう。


 俺は思い切り息を吸って大きな声で叫んだ。



「はじめまちて!!!びょくのにゃまえはアラン!

 立派なリャイオンになりまちゅ!!!」




 ………………。



 いっときの静寂が辺りを包み込む。

 何故だ?!!!

 俺は確かにちゃんと話したはず!

 なのに何故口からは赤ちゃん言葉が出てしまうのだ?!


 恥ずかしさのあまり、俺は固まってしまう。



 だが、そこで一匹のメスライオンが俺に近づき頭を舐め回してきた。


 食われるーーー!!!



 突然の事に驚いたが、どうやら食べる気はなさそうだ。

 もしかして慰めのつもりか?


 だが、気持ちいいから許してやろう。

 しばらく舐められていると、そのメスライオンが再び口を開く。


「私はあなた達の母、ララァの母よ。つまりあなた達のおばあちゃんね。可愛い孫達。ずっと会いたかったわ」



 ほほう。

 道理で母よりシワや貫禄があると思ったらお婆様であったか。


 おばあちゃんは俺達を見て微笑み、俺たちも笑って返した。



「ララァも無事によく戻ってきてくれたわね」


 おばあちゃんはララァに話しかけるとまた他のライオン達がしたように頭を擦り合わせた。


 なるほど。

 頭を擦り合わせるのは信頼の証か何かなのだな。


 生憎と俺の脳みそは大人である。

 あっという間に吸収して、ライオンのルールってやつを覚えてやる。


 その後も、色々話してわかったことがある。


 どうやら、プライドというのはメスライオンを中心に作られているようだ。


 それも、プライドのメスライオンは皆が家族であり、血が繋がっていると。

 親子や姉妹、イトコだけで集まっているのだ。


 そりゃ、みんなが仲良いに決まっている。

 だからこその暖かい歓迎なのだ。


 俺はライオン同士のイジメや虐待も視野にいれて警戒していたが、その心配は無さそう。



 だが、唯一の気掛かりはある。


 そう。オスライオンだ。


 まだこの場にはいないが、どうやらこのプライドにはオスライオンが三頭いる様子。


 その内の二頭が双子であり、その兄がボスであると。

 そして、もう一頭は一人彷徨っていたオスライオンだが、双子にいいように使われていると。



 話を聞く限り、双子のオスライオンの評価は良くなく、俺もできれば会いたくないと思った。


 だが、こういう話をしていると来るんだよなー。


 ほーら。

 奥からオスライオンが二頭、いや、後ろにもう一頭がこっちへ向かってる。



 何も起こらないといいけど、、、。

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