ヘビクイワシ
ヘビクイワシが俺達の上空を旋回している。
恐らく攻撃の隙を狙っているのだろう。
ゴートンを囲むように俺達は警戒する。
とはいえ、上空から高速落下で落ちてくるヘビクイワシを捕まえるのは至難の業だ。
どうしたものかと思考を巡らせていると、奴はまた動き出した。
「来るぞ!構えろ!」
俺の言葉にみんなが頷き構える。
やっぱり奴はゴートンを狙っている。
間違いない。
狙いがわかっていれば先を読んで捕らえるのみ。
俺はヘビクイワシのルートを読んだ。
そして、2秒先の未来目掛けて口を開く。
ちょうどヘビクイワシの首根っこを咥えることができたのだ。
自分でも驚きである。
いや、これも全てライオンの動体視力のおかげかもしれない。
ゴートンを囮にする形になってしまったが結果的にヘビクイワシを捕まえることができたのだ。
御の字だろう。
「離してやるけど逃げるなよ?逃げようとしたら殺す」
俺はヘビクイワシを咥えたまま脅す。
恐らく逃げようとしても飛び立つ前にまた捕らえることは可能だろう。
それはヘビクイワシもわかっているはず。
だから、念のために脅しておいた。
そして、俺は口を開きヘビクイワシを解放する。
解放されたヘビクイワシは怯えるどころかむしろ怒りを露わにしていた。
なんで捕虜の立場で怒ってんだ?
そう思っているとヘビクイワシは俺の顔の近くまで顔を持ってきて怒声を浴びせてきた。
「ちょっとなんなのよ!せっかく私が厚意でそのヒヒに絡みついている蛇を取ってあげようと思ったのに!酷いじゃない!」
蛇?
そう言われた瞬間ゴートンはパニックになっていたが
ゴートンの身体を見るも蛇なんかいない。
「蛇なんかいないぞゴートン………あぁ!鞄の紐の事か!」
なるほど。
確かに遠くから見れば蛇がゴートンに絡みついてるように見えなくもない。
つまり、このヘビクイワシがゴートンばかり狙っていたのは鞄の紐を蛇と勘違いしていたんだ。
「えっ?あらほんとだわ。蛇じゃない………私の勘違いだったみたい。ごめんなさいね?」
「助けてくれようとしたんだろ?なら謝らなくていいよ
君の名前は?」
「ありがとう、親切なライオンさん。ディシーよ」
ヘビクイワシであるディシーとそれぞれ自己紹介を終え俺は彼女を誘うことにした。
「なぁ、ディシー。よければ俺のつくるプライド、仲間になってくれないか?」
ディシーは驚きながらも、すぐに平然となり俺達を見渡すと、僅かに微笑んだ。
「ライオン三頭にヒヒが一匹。私もずっと一人で旅をしていたけど、あなた達と旅をするのも楽しそうね!私でよければ仲間に入れてくれる?」
俺は歓喜してディシーの顔に頭を擦り付けた
「ありがとうディシー!」
「やったああぁぁ!!!これでまた生存確率が上がるーーー!!!」
「蛇しか食わねーのか?」
「俺と同じく白いな。親近感が湧く」
それぞれがディシーの仲間入りを認め、こうして新たな仲間と更なる旅へ進むのであった。




