ホワイトライオン
目の前を走るホワイトライオン。
なんて美しい姿なんだろう。
一頭であり、オスであることから、彼もノマドなんだろう。
だが、ホワイトライオンに出会えるとは思わなかった。
名前は聞いた事があったが生で見るのは初めてだ。
本当に真っ白であり、まるで別の生き物のよう。
だが、この狩は失敗するだろう。
シマウマたちにバレるのがあまりにも早い。
そう思いながら見ていると、そのホワイトライオンはさらに俺とガランを驚愕させる事になる。
なんと、みるみるうちにシマウマに追いつき、そして捕らえたのだ。
「マジかよ………」
思わずガランも驚くほどに。
そう。ホワイトライオンである彼の脚力は凄まじく、まるでチーターを見ているかのようだった。
いや、チーターは言い過ぎか。
だが、それほどに普通のライオンと比べて走る速さが格段に上だった。
ホワイトライオン故の能力なのか?
それともあいつの生まれ持っての能力なのか?
どちらにせよ、俺は次なる仲間を見つけた。
「ガラン!決めたぞ。俺はアイツを仲間にする」
「まぁ、いいんじゃねーか?お前が気にしねーなら」
気にしない?
俺は首を傾げるも、よくわからないので気にせずガランを連れてホワイトライオンの元へと歩み寄る。
俺達が近づく頃にはシマウマは絶命しており、ホワイトライオンも俺達を警戒して威嚇してきた。
まぁ当然だよな。
この状況なら誰だって獲物を取られると思うだろうから。
「そんなに構えないでくれ。俺の名前はアラン、こっちはガラン。ノマドだ」
俺達に殺意がない事がホワイトライオンにも伝わったのか先ほどより警戒心が薄れた気がする。
「俺の名はゼロ。見た通りホワイトライオンだ。同じくノマド。俺に話しかけるなんて物好きのようだな」
俺は首を傾げる。
「ゼロ、俺と共に来てくれ。俺たちのプライドを探そう」
ガランの時とは違い、普通に正面切ってお願いする。
例え、ゼロが襲ってきたとしても二体一なら確実に勝てるとわかっているからだ。
どうやら襲ってくる事はなさそう。
むしろ目を見開いて驚いている様子。
お互いノマドなのだから、別に驚くことではないだろうに。
「お前………本気で言ってるのか?ホワイトライオンである俺を誘うだなんて、、、揶揄ってるのか?」
先程、ガランも似たようなことを言ってたな。
なんで、ホワイトライオンだと気にする事があるんだ?
目立つからか?
狩に向かなくともあのスピードがあれば気にする必要はないだろうに。
「何を気にしてるのかは知らないが、お前のスピードがあれば見つかっても追いつけるだろ?それに、お前のそのスピードが役に立つのは何も狩だけではない。何より、その見た目も素晴らしい」
俺は思ったことをありのままに伝えるも何故かゼロは大笑いした。
ガランも笑っている。
何故だ?
かなり良いことを言ったはず。
相手に感動される事はあっても笑われる事などありえない!
なんか、恥ずかしいを通り越してムカついてきたな。
そんなことを俺が思っているとゼロが口を開く。
「まさか、ホワイトライオンの俺に向かってそんなにほめてくるとはな。忌み嫌われる存在として育ってきたが、お前のおかげで俺にも多少の自信が持てたよ。ありがとう。アラン」
俺は首を傾げていると、珍しく頭の悪いガランが教えてくれた。
「ホワイトライオンってのは突然変異種みたいなもんだ。
そして、忌み嫌われる存在でもある。
何せ、普通のライオンとは違うからな。
俺も別に気にしねーが、基本的にはみんなが除け者扱いするんだよ」
なるほど。
人間でいうアルビノみたいなものか。
こんなにも美しいのに、、、いや、ライオンに美的センスを求めるのは酷であろう。
安心しろゼロ。
俺だけはお前の美しさを知ってるからな。
ゲイではないぞ。
「それで仲間になってくれるのか?」
「あぁ、もちろんだ。俺みたいな奴を仲間にしてくれるライオンなんてアランくらいだろうからな。こちらこそよろしく頼むよ」
こうして、呆気なく俺は三頭目の仲間を手にする事ができた。
俺とガラン、ゼロは互いに頭を擦り合わせ仲間の証を示したのであった。




