クラフト
「よし。ここには貴重な花もあることだし、一度拠点を構えるぞ」
俺の言葉にガランとゴートンは頷く。
「ゴートンはこの木の上にでも登って薬草で薬を作っててくれ。その辺の石でできるだろ?」
「できれば臼のような小鉢のような形の岩があればやりやすいんだけどなぁ」
そりゃそうだよな。
擦って練るんだからそりゃそうだ。
「なぁ、ガラン?この岩を噛んで真ん中に穴あけられるか?貫通はさせなくて良い。半分くらいまで」
俺は手頃なサイズの岩を見てガランに訊ねる。
「これか?余裕だな。ガキンッ!!!」
ガランはあっという間に岩の真ん中に程よく凹みを作ってくれた。
「ありがとう!あとはゴートンが岩で削りながらやりやすくしてくれ」
ゴートンは喜び木の上に運び作業を始めた。
これで薬草作りはできた。
「ゴートン!俺とガランは狩に行くから絶対木から降りるなよ?」
「えっ?!俺を置いていくの?絶対早く来てよ?!ってか行く前に周りにマーキングして!!!」
俺は苦笑いしながらガランと共にマーキングをした。
周りにマーキングをすれば、ここは俺達のテリトリーだと主張できるのだ。
つまり、よほどの事がない限りこの中に入って来るものはいない。
マーキングの作業を終えて、俺とガランは狩をした。
今回捕まえたのは水牛の子供だ。
だが、すぐに食べることはしなかった。
ガランに待てをして、拠点まで綺麗に運ぶ。
「なんで、捕まえたのに食わねーんだよ?」
ガランは不満は漏らすが、無理矢理奪うような事はしない。
それは、俺が無駄なことをしないとわかっているからだ。
「この水牛の皮が欲しくてな!ゴートン戻ったぞ!」
木の上を見上げるとゴートンがすり鉢の作業をやめて降りてきた。
「おせーよ!!!めちゃくちゃ怖いんだからな!って、なんで水牛の子供?俺はベジタリアンだから食べないぞ!!!」
ゴートンは一緒に食事をすると思ったのだろう。
だが、この作業はゴートンにしかできない。
「ちげーよ!水牛の皮ならいい鞄が作れるだろ?
出来上がった傷薬とか薬草を手で持つのも大変だからこれで作れねーかなって」
ゴートンはすぐに理解した。
確かに、薬草と傷薬はたくさん手に入れたが、全てを持っていく事はできない。
それに、自分の手も塞がってしまう。
ゴートンもそれには頭を悩ませていた。
そこで欲しいと思っていたのが、以前アランから聞いた鞄というもの。
何故ライオンの、それも生まれて間もないアランが知ってるのか不思議ではあるが、そこはもういい。
とにかく、その鞄を作れるチャンスができた。
「さっきちょうど石でナイフも作ったぞ!よし!皮は全て剥がせてもらうぞ!」
ゴートンは意気揚々と水牛の皮を剥いでいく。
そんなゴートンの作業をまだかまだかと不服そうに見つめるガラン。
「もったいねーなー。皮と肉の食感がいいのに。まぁ肉が食えるならいいか」
前までのデストロイと言われていたガランとは思えないほどに従順になってくれたと感心するアランであった。
そして、二時間ほどかけてゴートンがある程度皮を取ると、すぐに木の上に登り作業を再開した。
「よし、ガラン食べてい……いぞ」
ガランは俺が言い切る前に既に食べ始めていた。
えらいぞガラン。
我慢を覚えてくれて俺は感動したよ。




