挑戦
「バカなの?アホなの?死にたいの?ぼっちはもういやあああぁぁぁー!!!」
ゴートンはアランのお尻を叩きまくる。
「いいかゴートン。プライドをつくったって弱い仲間ではすぐに奪われる。アイツを見てみろ。怖くて近寄りたくないだろ?つまり、仲間にすれば俺達のプライドは安泰だ」
「ん?………確かに。あんな怖い奴がいるプライドなんて誰も襲ってこない。安泰だ!!!ってバカっ!!!そもそもどうやって仲間にするんだよ!あんなの勝てるわけないだろ!」
俺は微笑む。
「見てみろ。答えはあれだ」
ゴートンは不思議そうにアランの見ている方向を見る。
そこには狩ができず怒り狂ってるデストロイの姿が。
「アイツは確かに強い。だが、頭は良くない。
狩をして成功するのは相手が反撃してきた奴に限るだろう。現にあのシマウマ達は逃げている。デストロイのあんな巨躯で追いつけるはずがない。つまり、ここ最近飯にありつけてないんだろうな。そこを突く」
ゴートンは驚く。
ライオンに何故ここまでの知能があるのだろうか。
ライオンとは戦うことしか脳がないはず。
だが、このライオンは相手を見て戦略を立てている。
これではどちらがヒヒなのかわからない。
そして、その作戦ならゴートンも成功するのではと思ってしまった。
「アラン………お前、さてはヒヒの血が入ったライオンだな?」
ゴートンの言ってることは無視して、俺はデストロイのいる方へと歩み寄る。
ゴートンも置いてがれる方が危険と感じたのだろう。
諦めてついてきた。
10メートルも近付けばさすがに相手も気付いた。
むしろ向こうも小走りで近づいて来る。
ゴートンは後ろで悲鳴を上げるも、俺は表情を変えずにその場で堂々と立っていた。
「この辺じゃ見ねー顔だな。しかも、ライオンとヒヒが一緒にいるなんてどうなってんだ?!」
ドスの効いた声。
その見た目と相まってさすがに俺も恐怖を覚える。
万が一奴が俺に攻撃を仕掛けてきたら待っているのは死だ。
「お前がデストロイか。遠くから見させてもらったが、狩が上手くいっていないようだな」
その言葉にデストロイは眉間に皺を寄せ威嚇する。
「あぁ?!まさかわざわざ俺のことをバカにしに来たのか?良い度胸じゃねーか」
恐ろしい形相と迫力にゴートンはパニックになっていた。
「アホかアラン!!!なに挑発してんだよ!!!あぁ、もう終わりだ。俺なんてどうせ一口で丸呑みにされて、不味いって言われて吐き出される運命なんだ………」
焦るゴートンと怒れるデストロイを他所に俺は冷静であった。
「そうじゃない。そもそもノマド一頭で狩をするなんて不可能だ。もしよければ俺にお前の狩を手伝わせてくれないか?そうだな、約束しよう。俺と来れば毎日食に困ることはない。ただの一度もだ」
俺の言葉にデストロイは威嚇をやめて警戒モードへと移行した。
それはつまり、多少俺の言葉に耳を傾けているということ。
「毎日だぁ?そんな言葉に騙されるわけねーだろ。俺だって、小さい頃から狩の大変さは見てきてんだ!それもオスのお前が狩がどうこう言えるわけねーだろ!!!」
「俺ならできる。いや、俺たちならできる!」
デストロイは目を見開く。
まだ出会って間もないというのに、アランの自信。そして、瞳には嘘偽りがない様に感じる。
むしろ、期待させる何かを持っていた。
デストロイはしばらく沈黙したのち答える。
「ならやってもらおうか。もし失敗したらてめーのその顔噛み砕いてやる!!!」
「あぁ!それでいい!」
ひとまずデストロイとの戦いは避けられた。
だが、ここからが本番だ。




