デストロイ
「デストロイ?」
ゴートンの言葉に耳を傾ける。
「そうだ。それが奴の通り名だ。なんてカッコいいんだ。俺だって周りに賢者のヒヒって言われたい!………っと話が逸れたな。奴に挑んだ奴はことごとく殺されるんだ。
大人の水牛だって殺すんだぜ?
この辺では奴には手を出すな。奴が見えたらその場に屈めって言われてるくらいなんだ」
どうやらそのライオンはかなり有名らしい。
俺も最初の狩で一発成功して天狗になっていたが、そのデストロイって奴はもっと凄いことを普通にやっているらしい。
なんだろう。少し嫉妬してしまう。
いや、かなり嫉妬している。
仲間にしたいのはもちろんだけど、やっぱり戦ってみたいかも。
デストロイへの興味が強くなっていた。
「ノマドは狩が大変って母さんが言ってたけど、ソイツは困ってない様だな」
オスライオンがプライドから追放されノマドになった時、一番困るのは食事だと言っていた。
三頭いればなんとかなるだろうが、一頭で狩なんてほとんど不可能だ。
なにせ子供を狙っても親が守るのだから。
親の攻撃を躱しながら子供を狙うのは無理なのだ。
つまり、ノマド一頭で食事の確保はかなり厳しいのである。と教わった。
だが、デストロイは関係ない様子。
なにせ親に向かっているのだから。
でも、逃げる相手もいるだろうに。
毎度毎度は成功しないはず。
よし。そういう大柄な奴は飯で仲間にするべし。
俺はデストロイを仲間にする算段を考えゴートンを歩く。
「なぁアラン?見るだけなんだよな?近付かないよな?約束したもんな?」
心配性のゴートンが鬼気迫る勢いで俺に訊ねる。
とりあえず彼を落ち着かせよう。
「当たり前だろ?それよりもまだか?」
『今は』そのつもりだから安心しろよゴートン。
「もう少しのはずだけど、、、この辺でよく見かけるって………あっ、、、いた」
ゴートンが冷や汗を垂らしながら指を刺す。
見ただけでそんなに震えるとかどんだけだよ。と思いながらゴートンの指差す方を見る。
いた。あれは確かにやばい。
正面から戦えば十回やっても十回負けるだろう。
瞬時にそう思えるほど、彼との力量の差を思い知らされる。
まだ二歳未満とは思えないほどの筋肉量、体格、骨格。全てが変異種と思われるほどにデカい。
俺の体重は平均より少し多いらしく一歳にして100近くある。
だが、あいつは既に大人並の200キロありそうだ。
立て髪はまだ少ないにも関わらずあの大きさ。
あれは確かにやばい。
そして、どれだけ戦ったらあんなに傷だらけになるんだ?
身体中傷だらけだし、あの目にある一文字の傷が余計に恐怖を感じさせる。
「くそ、、、あの傷カッコいいな」
思わず口に出てしまった。
そして、ゴートンに頭をチョップされた。
「アホか!!!どこに目つけてんだよ!傷なんかどうでもいいだろ?!そんなに欲しいなら俺が爪でつくってやるよ!とにかく見たんだからもう帰るよな?帰ろう?よし帰る!!!」
アランの腕を引っ張るもアランは微動だにしない。
「よし。見て決めた。やっぱりあいつを仲間にする!」




