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狩の厳しさ


 昨日食べた肉がまだ忘れられない。

 結局俺や兄弟達も初めての肉だったが、たらふく食べて大満足である。



 あまりの美味しさに余韻に浸りながら互いに肉の味に感動して盛り上がっていた。



 早くまた食べたい!

 そう思えるほどに俺も生肉の虜になってしまった。



 だが、ここで初めてサバンナの厳しさを、いや仮の厳しさを知ることになる。



 次の日、メスライオン達は何も持って帰らずに手ぶらで帰ってきた。

 そして、よく見れば何匹か軽傷ではあるものの怪我をしている。



 そんな都合よく毎日狩が成功するとは限らないのだ。

 母さんからきいたが、むしろ狩が成功するのは三日に一回できればいい方だと。


 それほどに難しいことなのだ。



 自分は待って食べるだけ。

 しかも、プライドを守ることもできない。


 これではオスライオンよりも酷いじゃないか。



 俺も早く大人になって母さんやプライドのために狩に行きたいものである。


 だから、俺はとにかく今自分にできる事をする!


 そう。兄弟と遊びまくるのだ。

 確かに、じゃれ合いはいい訓練になる。


 自分の身体であるライオンの身体の仕組みや動きを理解できる。

 そして、兄弟達を獲物に見立てて飛びかかる。


 これは遊びという名の狩の練習なのだ。

 俺は来るべき時に備えて今できる事を全力でやる事にした。




 そして俺は一歳となった。

 俺の身体は恐らく80キロはあるだろう。

 それに立て髪も少し生えてきた。


 まだ少しダサいが、これからどんどん伸びるだろう。



 俺はどうしてもと母さんに頼んで、狩に参加させてもらう事にした。


 今までも同行は何度もさせてもらったが、参加するのは初めてだ。


 俺が行くといえばリリィとカイルも行くと言うので母さんは困った顔をしながらも了承してくれた。

 もちろん他のメスライオン達もだ。



 俺達は母さんについて歩き、しばらくすると眼前に水牛の姿が見えた。



 相変わらずデカい。何よりツノがヤバい。

 母さん曰く、あの角で刺されて絶命したライオンも少なくないと言う。

 中には腹を割かれて内臓が飛び出し、何日も苦しんだ上で絶命したライオンもいると。



 俺は身震いしながらも、同時に武者震いもしていた。



「兄さん、やっぱりまだ早いよー」


 弱々しく話す弟のカイル。

 この歳になるとそれぞれ性格も定まってきた。



「なぁに男のくせに弱気になってるのよ!子供なら角ないんだから子供狙えばいいでしょ!」



 男よりも男まさりな姉であるリリィ。

 まぁ狩をするのは女なのだから男勝りなのは当たり前か。



「姉さんの言う通りだカイル。俺達は一年間訓練した。それに大人をやるわけではない。俺達ライオンの力を見せようぜ」



 そして、頼りになる兄であり弟である俺。

 実にバランスのいい兄弟だ。



「三人とも。油断はしちゃダメよ。子供を狙えば必ず親が来る。狩の的である子供の水牛ばかり見るのではなく、周りを見て安全を確保しながら仕留めるのよ」



 母さんの言葉に俺達三人は頷く。

 そして、みんなが横に広がり、徐々に水牛との距離を縮める。



 さぁ、俺達の初狩の時間だ!

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