表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
6/13

第二章過去と家族その2

「さぁ先生に話して、真実を」


「僕には黙秘権があります。あなたは警察ではありませんので、これ以上追い詰められるようなら、本当の警察と弁護士を呼びますよ。」


「分かったわ。最後にもう一つだけ、S○Xはしてないわよね?」


「はい! それはしていません。」


昂良は、その質問に強く答えた。神楽先生はそれを聞くと、少し顔の表情が緩み、同時に場の空気が良い方へと変わっていったような気がした。


(神楽先生の心の声)それだけ分かっただけ良しとしますか。


「ええ、もういいわ。教室へ戻りなさい。」


昂良は席を立ち、「失礼しました」とだけ言って扉を閉め、教室へと向かった。


だが、教室に戻っても災難は続いた。3、4時間目は四方八方から視線が昂良の方に向いていた。


昼休みに入った途端、昂良の周りに同級生が集まった。当然、ショートホームルーム前の件だろう。


囲んでいる中でひときわ目立ち、昂良の目の前には悪い意味でクラスの頂点でありリーダーでもある、空閑智也(くが ともや)という男がいた。


空閑は何かと昂良をネタにして突っかかってくるが、それは「いじり」であって「いじめ」ではない。昂良にとっては、一つの悩みの種だった。


「なぁ、朝のあれ、君の彼女だろ? ホテルでも連れ込んでヤったか? それによう、もう一人の彼女どうする気だ? 二股か。あははっ。」


案の定そのことの質問で、昂良は気が動転しそうになった。それを聞きつけたのか、友人の斗真が駆けつけて来た。


「お前らその辺にしてくんないかな~。こいつと飯行きたいんだけど。それに空閑、俺の親友を虐めてないだろうな。」


斗真が来た瞬間、空閑以外の一同は顔を青ざめていた。しかし、空閑はその中で恐縮せずに斗真の前に立ちはかった。


「安心しろ、朝の件を聞いただけだ。何もしてないよ、元刑事の息子さん。」


空閑はそう言いながら、斗真の襟を直して肩を叩き、その場を去っていった。


なぜ皆して斗真の顔を見て青ざめ逃げていったのか。斗真の父親、上田桔平(うえだ きっぺい)は昔刑事で、今は交番に配属されている。


過去、斗真が8歳のときに過激派暴力団のヤクザの残党どもに拉致された。ヤクザは、斗真を人質として、証拠のナイフとの交換が条件だと要求した。


せっかく捕まえた親分を刑務所から出すことになる状況に警察も思い悩んだが、彼の父親は、息子のいる本拠地に一人で乗り込んだ。


ただ、息子が必ず帰ってくる保証がないので、警察も祈るばかりだった。


付近で待機していた警察官達は、出てきた父親の姿を見て、あまりにも衝撃的で驚きを隠せなかったらしい。


それもそのはず、一方の手で息子を抱え、もう一方の手で証拠のナイフを携えていたのだ。父親は出てきた直後、こう放ったらしい。


「全て片付けてきた。」


それを聞いた同僚たちと他の人達は唖然としていた。念の為確認しに行くと、なんと50人近くの人が倒れていた。


ヤクザ達は、親分がいない間も麻薬や拳銃を密輸していた。そのため、現場から大量の麻薬と拳銃が見つかった。


表彰はされたものの、証拠強奪のため本来なら職を失うことになる。しかし、その功績を讃え、10年間交番に配属されることになった。


あと一年で刑事に復帰できるため、斗真も「もうすぐで活躍する姿が見れるぞ!」と耳にタコができるくらい聞かされ、とても楽しみにしているらしい。


ということもあって、この一件は街全体が知るくらい有名になったことで、誰も上田とその息子に手出しすることができなくなった。


あと、斗真は占い好きで変人扱いということも相まって、皆はあんまり近づこうとはしない。だが、根はいいやつだ。


「大丈夫か。」


「ああ、大丈夫だ。ありがとう。」


「気にするな。さぁメシでも行こうか。」


その言葉を聞き、二人は一緒に教室を出て、食堂へと向かった。


そして七瀬雫は、二人の後ろ姿を黙って見つめていたのだった。


【夕方 家】

ラストホームルームにて先生が事情を説明してくれた。そして昂良は何事もなくそのまま帰宅した。


家に着きベッドへ直行すると、もう一人の彼(慧)が「こっちに来い」と語りかけてきたので、()()()()と言い、精神世界へ行った。


■精神世界■


霧のようなものが晴れ、慧が目の前に座っていた。


「いつから()()に入っていた。」


「お前が中学の時だア」


「昔から二重人格を知るものはいたか?」


「ああ、アスクレーピオスとカメレオンって言う、本人そっくりに変身できる能力者タルタロスの二人だけだア。」


「やけに優しく教えてくれるなぁ。」


「それは、仮にとはいえメンバーの一員ということには変わらない。仲間を大切にしないと身が滅ぶ。」


「それは、誰かに教えてもらったのか?」


「ああ、隊長に教えてくれたが、最初は軽く受け流していたア。だがある時、仲間そっちのけで犯人を追いかけていたア。それで案の定仲間が捕まったア。そこで隊長が来て事なきを得たんだア。ふと気がついたとき、隊長が言っていた意味がやっと分かったんだア。それからは、仲間を大切にするように気をつけているって訳だア。」


■準備室(神楽先生視点)■

質問に失敗した昂良が、扉を閉めて教室へと歩いて行った。


それにしてもあの返し。S○Xをしていないのなら、黙秘権なんて使わなくてもいいのに、何を漏洩することを恐れているのかしら。調査を2つまとめてする必要があるわね。


問題がもう一つ増えたことに、先生はため息が出た。この件と別の件との関連性があると見て、より一層気を引き締めた。

最後まで読んでいただきありがとうございます!


もし「面白かった」「続きが気になる!」と思っていただけましたら、


ページ下の**【☆☆☆☆☆】を【★★★★★】**


にして応援していただけると、執筆の励みになります! ブックマーク登録もぜひよろしくお願いします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ