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第二章過去と家族

【前回までのオリュンポスは 核兵器を製造しているという匿名の情報を手に入れた我々は、早速閉鎖された原子力発電所に向かい、そこにはダスタリア軍の製造基地があった。三つ巴の戦いになり、取り敢えず彼らの野望を止めることが出来た。


大きな問題の解決を終わらせたが、次から次へと新たな事実が明るみになった。


新しく入って来た仲間と共にモンスターズの野望を止めることが出来るのか?】


登場人物 鳳凰 昂良(ほうおう たから、またの名をエア)/(第2人格)鳳凰 慧(ほうおう けい・またの名をエイション)

七瀬ななせ) しずく)白雪しらゆき) 美優みゆ)、隊長、石川六右衛門、プレゼンター、アルテミス(海野 烈)、アスクレーピオス(/検視官またはカウンセラー)、ダノ(野田 英斗)

 コードネーが決まり、「エア」となった昂良は、アテーナに送ってもらうことになった。出口付近まで歩くと、アテーナは立ち止まり、昂良に話しかけてきた。


「さっきは済まなかったな、お前の事情を無視して。」


「いえ、早くもうひとりの僕に会いたいっていう気持ちは分かりましたし。」


「え……そんなに分かりやすいか?」


「はい、顔に出てましたよ。」


「『嘘~』と言わんばかりに頭を抱え、しゃがみこんだ。しかし、すぐに立ち上がると、さっきまでの乙女っぽい反応が嘘のように消え、何事もなかったように話しかけてきた。


「あいつ(慧)に聞こえてると思うけど、今の話は内緒で。」


 昂良は「はい」とうなずき、外に出た。ある程度歩くと、アテーナは思い出したかのようにまた話しかけてきた。


「そういえば明日は、夕方4時頃に行くことになっているが大丈夫か?」


「ええ……大丈夫ですけど、なんでですか。」


「私が明日、用事でついていけないが大丈夫かと確認したかったんだ。それなら大丈夫そうだな。」


「そういえば、アテーナさんはこの活動以外に何してるんですか?」


「ん? あ~通信制高校とバイトなんかやってるよ。」


 昂良はかなり意外に思った。さっきの会議のときは、たった一人を除いて周りに大人ばかりいるのだと思ったが、そうではなかったらしい。だがしかし、通信制高校に入っているのは何か事情があるのだろう。昂良は、そのことをそっと心の中にしまった。


「あっ言い忘れたけど、プライベートのときはアテーナて呼ぶなよ。周りの人に聞かれたら、痛い人みたいになるから。」


「分かりました。美優さん」


「はぁ~。『さん付け』はもういいよ」と、アテーナは呆れた顔でため息を付いていた。しばらくすると目と鼻の先に学校の校門前に着いた。


 お互いに別れを告げ、別方向に進んでいった。今授業中だとふと気づき、昂良は急いで教室へと向かった。急いだ甲斐があったのか、まだ授業中で勢い良くドアを開けた。勢い余ったせいでバァンと教室中に鳴り響き、教師と同級生がこちらを向いた。


「やっと来たのか、話し合いは終わりましたか? 一時間目はすでに終わっています。今の時間もはじまってるので早く席について下さい。」


 と担任の先生が言い、周りが少しざわつきはじめた。それもそのはず、女性と二人っきりで一時間ほど学校に居なかったわけだから、悪いことでもしたんじゃないか、という噂は立つに決まっている。周りの人に視線を飛ばされながら、しかも七瀬さんには昂良を貫くような、冷たい視線が漂っていた。苦痛の2時間目が終わり、次の時間の準備をしていたら、担任の神楽先生が


「鳳凰さん、私の部屋に来なさい。」


いつも怠そうな先生だが、今回ばかりは氷の女王並みに怒っている。神楽先生は昨年度から赴任し、二年連続でうちの担任になっている。多少の校則は目を瞑っているが、あまりにも度が過ぎると、別人のように冷徹になる。噂だと、余りにも怖く一週間くらい登校しなかった生徒がいたとか。昂良は、今回ばかりは後者で間違いないと確信した。思いつつとにかく早く3限目の準備をして、先生のところに向かい、一緒に準備室へ行った。準備室に入って、対面になるように座り、先生は脚と腕を組むようにした。


「さぁ座って。まず最初に、彼女との面識はあるか?」


「ないです」と昂良が答えると「ふーん」と言った。まるで圧迫面接を受ける様な緊張感で肝が冷えた。


「面識がないなら、なんでこんなに時間が空いたの?」


「西の隣街まで連れて行かれまして、説得しました。」


「西の隣街……長く歩いて30分だけど、時間を考えると約20分、往復でも40分よね。じゃあその間の35〜40分は何をしていたのかしら。まさかS()()X()でもしたの〜?」


「そんなことしてませんし、だから説得だと言って...」


「説得ならここでいいでしょう? しかも鳳凰くん、教室を出るときに手を強く握りしめた跡が手の甲についていたわ。鳳凰くんは、極度の緊張をすると手を太ももの下に入れる癖がある。今もそうしてるわ。日本史の板書は多いから、そんなことをする暇なんて無いはずよ。


つまり鳳凰くんは、その彼女に連れられ第三者に会い、何らかの緊迫した話を聞いたってとこかしらね。じゃあ何の話を聞いていたのか、先生に話してごらん?」


余りにも感が鋭すぎる。昂良は、本当にこの先生は何者だろうかと考えた。ひとまずこの状況を抜け出さないと不味い。オリュンポスのことについては、言ってはいけないような気がする。何か打開策はないのだろうか。


沈黙しきったこの部屋で永遠と時を過ぎるのは気が動転してしまいそうだ。何か喋らなければ……そうだ、あの手で行こう。


「交通事故で死んだ父が生きているかも知れないと言う風に話を聴きました。」


「嘘ね。」


「嘘じゃ...」


「嘘よ!」


さっきまでの沈黙の空間が、先生の怒鳴った声で、緊迫のある空間へと変わっていった。そして、組んでいた足を解き、仁王立ちで昂良を見下ろした。


また雰囲気を変え口を開いた。


「何故嘘ですって? 簡単よ。頭を前後揺らし、椅子に座り直して、更に鳳凰くんは嘘話を考えるときに、右利きだから、目線を左上に向いた。これが嘘を付いている証拠よ。」


昂良は、絶句した。たったそれだけの動作で嘘を見破った。今なら分かる。一週間登校拒否になった気持ちが。


だが『証拠』という言葉に言い慣れていたような気がした。


どう考えても警察官のようにしか考えられない。たった2年で為せる技ではないし、どう考えても教師のやり方ではないと思った。


もしも先生が警察だったとしたら、()()()でいけるかもしれない。

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