一人ともう一人の自分その2
「まずは自己紹介と行こう。だが一つ、オリュンポスのルールがある。お互いの事を本名で呼び合うのではなく、コードネームで呼び合う。」
「敵に正体をさらさないためですか?」
「いや、その身近な人を危険な目にしないためだ。君たちの個人的な繋がりが、組織の弱点とならないように、だ。納得したか?」
(なるほど。人質を出来るだけ少なくして、こっちに不利な状況を作らせないためか。)
「私から見て左側が、剣士のアイアスだ。そして、アイアスはタルタロス(能力者)持ちで、再生能力だ。次に、隣の女性は氷使いのウルル、その次は、炎使いのトヒル、雷使いのユーピテルだ。こいつらは三つ子の兄妹なんで、とっても息の合ったチームワークをするんだ。」
確かに返事も、顔つきもよく似ているなと思った。しかし、アイアスという男の人のコードネームだが、その隊長さんとの間の空席と、反対側にもう一つの空席が気になる。用事で来られないのだろうか。隊長らしき人が話を続けた。
「次に、君が座っているところは、エイションという男で、放射線を使って戦う。たしか、二重人格とか言っていたな。エイションを表に出せることは、可能か?」
「できるか分かりませんが、やってみます。」
さっきみたいに、《《チェンジ》》って言えばいいのかな。
「《《チェンジ》》!」
■精神の宮殿■
又もや精神世界みたいな所に来た。そこに現れたのは、脚を組みながら座っている、慧、すなわちエイションという男だ。
「どうしたァ、今は会議中だろぅ。呼び出してんじゃねぇよ」
慧はそう言うと、顎に手を当てて不機嫌そうに僕(昂良)を見下ろした。ここが僕の意識の中だというのに、彼はいつだって傍若無人だ。
「隊長と呼ばれている人が、表に出て来いだそうです。」
「何だァ~俺カツアゲされるのか〜? あの隊長のことだから、面倒な話に決まってる。」
「あっいえ、違います。会議は僕が出ますから、断ってください。」
慧は深く息を吐き、苛立ちを隠さなかった。
「冗談もまあいい。俺たちは光と影、すなわちどっち側が表と裏にいなくちゃならねぇ。しかも日中はお前(昂良)、夜中は俺だア。俺の能力(放射線吸収・放出)は昼間だと制御が不安定になりすぎる。能力の暴走を完全に抑えるには、今のところこの時間帯のルールを守らなきゃならないんだ。」
「制御が不安定……。そんな理由があるんですか。僕はてっきり、あなたが昼間はサボりたいだけだと…」
「テメェ、失礼なことを考えてんな。夜間にしか意識を主導できないのは、俺自身の問題だ。お前は昼間の俺の役割、つまりは、陽の光の役割をしっかり果たしてりゃいいんだ。」慧は立ち上がり、僕の肩を軽く叩いた。その瞬間、彼の冷たい意思が肌を伝ってくるようだった。
「それじゃ、無理ってこと?」
「そうだア。隊長に『夜間のみの行動』と、きっちり伝えてこい。」
はぁ〜っと、ため息をつき、僕は現実に戻るための言葉を口にした。
「《《チェンジ》》」
■現実■
視界が戻り、全員がこっちの様子をうかがうように、視線をこちらに向けた。
「で、どうだエイションか? いや違うな。あいつは、髪が白色だったからな。君の人格が違うことは知っているが、なぜ今は出てこられないのか、教えていただいても?」
昂良はすぐに答える。
「エイションによると、日中は私、夜間はエイションにしか意識を主導できないらしいです。彼の能力の性質上、その時間帯で意識の切り替えが制御されているとのことでした。」
「ご迷惑をかけたな。」
いえいえと、軽くお辞儀をした。
「それじゃ話を続けよう。君の隣にいるそこの女性は、アテーナ。レイピアを使う見習いの剣士だ。そして、実は」
「僕の中にいるエイションの監視役も兼ねているんですよね。」
(ユノとの話で薄々感づいていたとはいえ、直接言われるとやはり複雑な気分だ)。アテーナは困惑した顔をしながら、頷いていた。しかし、さっきから影が薄いなと思っていたが、僕の右後方に座っているのは誰なのだろう? また後で聞いてみよう。
「そして次に、そいつのコードネームは、ダノ、その次に、アルテミス、彼らは能力者ではないが、とある理由で在籍している。次に江戸時代からタイムトラベルしてきた、石川六右衛門。忍者や武士として戦う。」
昂良は、かなり目を大きく見開いた。その石川六右衛門は、こんなに顔がきれいで、黒曜石でも作られたかのようなショートヘヤーで、しかもモデル並のスレンダーだから信じられない。
さっき忍者?と言っていたから、後で見せてもらいたい! と心に誓ったのだった。
「そして最後に、私隊長だ。関東チームの長官を務めさせていただいている。馬鹿力が出せると言った所だ。」
「かなり気になっていたのですが、オリュンポスというのは関東と関西に分けられていますが、どのくらいの数を締めているんですか。そもそもなんの理由で作られたんですか。」
「そうだねぇ、我々オリュンポスは世界規模で動いており、主要国11カ国に本部を置いている。そしてその思想は、神から貰った力を私利私欲や暴力に使うのではなく、恩で返すというものだ。」
「それじゃ何故国一個ではなく2つと別れているんですか」
「広いからなぁ。すぐに出動出来るようにしないとダメだからだ」
確かに言われてみれば、アメリカなんかは世界的に見てもかなりの広さを誇っている。
日本のように2分割されているのか、州ごとにあるのかは定かではないが、かなりの規模になっている。
だけど、これだけの規模にも関わらず、よく世に出されていないなと思った。と頭の中で考えていると、隊長さんがなにか質問はあるのかと聞かれた。そして、右後方の女性について質問することにした。
「いたのか、アスクレーピオス。前に出てきてくれ。」
姿を現すと、アニメやマンガで見られる白衣を着ており、髪も腰ぐらいに伸びていて、その上スタイルも抜群なお姉さんだった。
「あら気づかれちゃった♪ こう見えても影は薄い方なのに。さてと隊長、検査するって言ったのに、なかなか来ないなぁと思ったら、会議中だったのね。」
「そうだった、会議と被っていてすっかり忘れてしまったよ。新人くん、後で紹介をしようと思ったが手間が省けた。こちらが、アスクレーピオス、医療関係で...」
「医療関係ですよね。」
「よくわかったな。だが、どうしてだ?」
「オリュンポスというので、神話に出てくるものですし、その次にアイアスは戦士の神というところから、それぞれの能力に合わせたニックネームだということがわかりました。」
「流石だ。素晴らしい。君のコードネームをどうしようかと、、、」
「ちょっと待って下さい! 何故私が、入る前提になってるんですか。」
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