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異世界転生  作者: MSZ-006
45/50

45


白熱する名付け戦争を見つつ、俺はふと思い付いた事を口にした。


「珊瑚珠色から取って、珊瑚はどうだ?」


俺は、隣に座るドラゴンを見て言った。


「ピィ、ピピィ!」


「・・・気に入った、そう言ってる」


リリーさんの通訳により、白熱していた名前決めが終結した。


「じゃ、名前は珊瑚だな。宜しくな」


「ピィ!」


「ちょっと待って、リョウはパパなのに、ママになるの?欲張りよ!」


カオリが、混乱する様な事を言い出した。


「ですが、まだ奥さんの座は残っています」


ゴモリーさんが、不敵な笑みを浮かべる。


「確かに!その手があったか!」


と、ネアさんがガッツポーズをしている。


「ピィ!ピピィピィピピィ!」


「・・・なる程、それは良い考え」


「えっと、リリーさん?珊瑚は、何と?」


「・・・名前を考えてくれた皆に、感謝している。だから、皆ママだと言っている」


「そうか!では、俺もママだな?」


「ピィ!ピピィ!」


「・・・河野は、近所のおじさん。と、言っている」


「何でだよ?!俺も参加したよ?不慮の事故で、昏倒してたけど」


復活した河野さんが、訳の分からん事を言っている。


そもそも、あんた男だろ?


「近所のおじさんは、黙って下さい。訴えますよ?」


ミリィさんが、殺気立っている。


やはり、先程の発言はマズいよな。


触らぬ神に、祟りなしだ。


「すまない、ミリィ!俺が悪かった赦してくれ!」と、土下座する河野さん。


「さて皆さん、今回の催し物は終了しました。お疲れ様でした」


そう言って、サッサッと食堂を後にするミリィさんを「待ってくれ!ミリィ、捨てないで〜!」と、後を追い掛ける河野さん。


「あ〜、取り敢えず、夕飯食うか?」


「そうね。丁度いい時間だし、食べましょうか。ピィちゃんは、何がいい?」


「ピピィ!ピィ!」


「・・・パパと、同じ物がいいと言っている」


「俺と同じですか?」


「・・・ドラゴンは、人間と同じ物を食べても、問題無い」


「お姉ちゃんは〜、占い師だけど〜、テイマーでもあるからね〜、大丈夫〜」


意外な事実を、妹のマリーさんから聞かされた。


「テイマーの素質まであるとは、驚きました」


同じ転生者である俺には、此れと言って冴えた能力は無い。


「・・・人には、必ずいい所がある」


そう言って、励ましてくれるリリーさんに、俺は感謝した。



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