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異世界転生  作者: MSZ-006
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「テイマーの部下から、話は聞いている。君の言っている事とドラゴンが言っている事に、間違いは無さそうだな」


アンダーソン少佐は、光学パネルを見ながら言った。


「本来、迷子のドラゴンは国で保護するのだが、ドラゴンが特定の人間に世話を頼むと言う場合は、それが尊重される。ドラゴンは君を気に入って、君を保護者にして欲しいと言っているそうだ。どうする?拒否権が無い訳じゃ無い。もし拒否するなら、国で保護する事になるが・・・」


「俺達が面倒を見るので、大丈夫です」


「そうか。では、宜しく頼むよ。現在、親ドラゴンの捜索をしている。発見次第、君に連絡するよ」


部屋を出た俺は、ドラゴンの保護者になった事の次第を思い返した。




「リョウ、どうするの?」


「うん、街に連れて行って軍に引き渡しだな」


俺は、レッドドラゴンの口に肉を入れてやる。


「ピ、ピピィ!」


嬉しそうに食ってるな。


特に、怪我をしている様子は無いな。


「しかし、何でドラゴンの子供が、こんな所に居るんだ?」


「そうね。親と一緒に居るのが、自然だと思うけど」


「お前、どうしてこんな所に居るんだ?」


「ピィ?ピー、ピィーピピィ!」


「・・・なる程」


「リョウ、判るの?」


「いや、さっぱり判らん」


頭が良くて、人間の言葉を理解しているのは良いが、如何せんドラゴンの言葉が通じない。


俺の後頭部に張り付いて、小さな羽をパタパタと動かしているドラゴンの子供を、街の手前でカオリに抱っこして貰う時に「懐かれたわね〜」と言われ、満更でもない気持ちになった。


街のシールドを潜り、巡回兵に声を駆ける。


「ドラゴンの子供を保護したんで、連絡して欲しいんですけど」


「ドラゴン?!ちょっと待って下さい!」


兵隊が、慌てながら光学パネルを出現させて操作している。


30秒程で兵隊がやって来る。


「また、君か?!」


エントを助けた際に会った、班長と呼ばれていた兵士の言葉にカチンと来た。


またって、何だよ?


俺は、何も悪い事はして無いけど?


「取り敢えず、基地に来てくれ」


軍の基地に着いて、ドラゴンの側から離れようとすると「ピィ?!ピギー!ピィ〜?」と、カオリの腕に抱かれていたドラゴンが、小さい羽を動かして飛び上がり、俺の後頭部に引っ付いて離れなくなる。


「大丈夫だ、何も怖い事はしないから安心しろ、肉食うか?」


俺が肉を出しても、食べようとしない。


モンスターテイマーの兵士に話をして、大丈夫だと言い聞かせる。


「この子は、貴方から離れたく無いと言っていますね」


「かと言って、一緒にって訳にはいかんでしょう?」


「そうですね。保護したドラゴンから、話を聞かないといけません」


「・・・俺は、この人達と話をしてくる。いい子にしてたら、御褒美に旨い肉を食わせてやる。だから、ちょっと待っててくれ」


俺はドラゴンを抱っこして、目を見ながら話す。


「ピィ?ピィピィ!ピィ」


どうやら、分かってくれたらしい。


ドラゴンと別れ、聴取終了後に先程の少佐との会話になる。




「あのドラゴンは、迷子なのね。今頃、親が探してるのかしら」


とカオリが、少佐から聞いた話をする。


「ピィ〜!」


部屋を出て基地の廊下を歩いていると、後頭部にドラゴンが抱きついて来た。


「待って〜!まだ、終わってないよ〜!」と、若い女性兵士がドラゴンの後を追い掛けて来た。


「に、認識票を着けて?じゃ無いと、パパとママの所に帰れないのよ?」と、ドラゴンに言う。


パパとママ?それは、実の親が見付かったって事か?


「あの、この子の親が見付かったんですか?」とカオリが、女性兵士に聞くと「いえ、まだです。パパとママは貴方達の事ですよね?」と答える。


俺達?俺は、まだ結婚すらしていないし、ドラゴンの隠し子が居るなんて事実は無い筈だ。


「私はテイマー部隊所属の者ですが、その子が話の途中で飽きたのか、『人間のパパとママの所に帰る!』と、部屋を出てしまって」


「ママ?!リョウ、どうしよう?結婚式の招待状は、誰に出すの?」


「うん、落ち着け。まだ慌てる時間じゃ無い。で、その子が俺達の事を親だと言ってるんですか?」


「はい、人間のパパとママだと言ってます。では、お父さん。この認識票を着けてあげてくださいね」


俺は、女性兵士に手渡されたドッグタグを見て思う。


何だ、この展開は?


その後、テイマー部隊の軍人から、ドラゴンが話した内容を聞いた。


「まぁ軍の方で、親探しをしていると言っていたし、見付かれば連絡が来るだろう」


軍の基地に到着後、魔導通信機の登録はしたし、少佐が連絡すると言っていたしな。


「よし!御褒美の肉を食わせてやるぞ」


「ピィ!」



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