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外に出た俺達は、草原をウロウロしていた。
「今日は、鳥を狙おう」
「そうね、丁度良く銃を手に入れたしね」
空はとてもいい天気で、青空が広がっている。
上空にアサシンピジョンが飛んでいるのを発見した俺は、ルシファーで狙撃する。
落下地点に行って、獲物を見ると1.5メートル程のアサシンピジョンが、頭を撃ち抜かれて落ちていた。
「リョウ、私も捕れた!」
「そっか、何を落としたんだ?」
「ビッグチキン!」
ビッグチキンか、名前の通り体長3メートル程のデカい鶏で飛行能力があり、とても美味しいモンスターだ。
「・・・カオリ、クレイモアが矢鱈と騒いでないか?」
現在地から約500メートル程の場所で、数匹のクレイモアが騒いでいる。
クレイモアは、ダチョウの様な見た目で、体長が3メートル程の地上を走る鳥のモンスターで、食性は雑食で悪食だ。
「そうね?何かしら?」
「ちょっと、見てみるか」
カオリと2人で側に行って見ると、何やら赤色で40センチ程の生物が蠢いている。
「ブフォ!ブフォー?ブフゥ!」
クレイモアが赤い生物を見て、喰う相談している様だ。
「ピ、ピギー!」
「ブフォ?ブゥフォ!ブフォ!」
「リョウ、アレって?!」
「うん、助けよう」
俺は次元収納からヴァンパイアバットの切身を取り出して、クレイモアに見える様に放り投げる。
クレイモアが、切身を追って走り出した。
クレイモアは動く物を追い掛ける習性があり、餌を遠くに投げてやればそちらに行ってくれる。
無駄な殺生をしない様に、取り敢えず餌で遠くに行って貰おう。
「ピギー!」
赤い生物が此方見て、威嚇してくる。
俺を威嚇する赤い生物に、ヴァンパイアバットの切身を差し出す。
赤い生物は、肉の切身を見て「ピギー!」と威嚇しつつ、涎を垂らしている。
俺はゆっくり近付いて、赤い生物の口元に肉の切身を差し出す。
「ピー?」
一口で飲み込んで、もっとないの?と、催促している様に此方を見ている。
「ハイハイ、ちょっと待ってね」
俺が更に肉の切身を出すと、「ピィ、ピィー!」と口を開けて待っている。
「リョウ、この子レッドドラゴンの子供でしょう?」
「そうだな、親と逸れたか?」
この世界は、保護対象のモンスターが幾つか存在する。
エントやドラゴンは、保護対象のモンスターだ。
ドラゴンは乱獲による絶滅危惧種のモンスターで、最低でも人間程度の知能を有し魔法を使う生物である。
昔々は、人間と共に暮らしていたと言われているが、ドラゴンの牙や鱗、血や肉は人間からすれば全て巨万の富。
己の欲で動く人間に嫌気が差し、乱獲され数が減ってしまったドラゴン達は、人の手の届かない場所に移住した。
そして人間達は、ドラゴンの乱獲を禁止し、保護対象のモンスターとした。




