34
「もう、夕方か」
そういえば、雨具を持ってない。
次に稼いだら、雨具を買った方が良いかな。
「カオリ、雨具は有った方が良いよな?」
「そうね。雨の中、戦闘になる事もあると思うしね」
そうだよな、此方に来てから晴れの日ばかりだから、雨具を買うのを忘れていたよ。
まぁ、明日以降の稼ぎ次第だな。
今日は、引き上げるか。
「カオリ、今日は此れで帰ろう」
「そうね、今日は色々と大変だったからね」と、笑いながら答える。
「うん。じゃ、帰ろう」
帰り道、見知った顔と出会った。
「マリーさん、今から帰りですか?」
「あ〜、リョウ〜、これから、部屋に帰る所だよ〜」
「こんばんは、マリーさん。お出掛けだったんですか?」と、カオリが聞いた。
「うん〜、お姉ちゃんを、迎えに行ったんだけど〜、先に帰っちゃったのかな〜、何時もの場所に居なかったんだ〜」
「そうなんですか?お姉さんは、何をされてる方なんですか?」と、俺は聞いてみた。
「お姉ちゃんは〜、占い師だよ〜」
「う、占い師ですか?」と、思わず聞き返してしまった。
昼間会ったゴツい体格の、占い師さんを思い出す。
「そう〜、結構当たるって〜、評判なんだよ〜」
そんな話をしながら3人で歩いていると、宿舎兼食堂の入り口が見えて来た。
入口にはマリーさんと瓜二つの、眠そうな目をした可愛い女の子が立っており、俺達を見て驚いている。
「あ〜!お姉ちゃん〜、帰ってたんだ〜」
どうやら、マリーさんのお姉さんらしい。
二人共、少女にしか見えないな。
「・・・マリー、迎えに行ってくれたの?有難う」
可愛い声でそう言った後、マリーさんのお姉さんが、此方にペコリと頭を下げた。
「こんばんは、はじめまして。リョウです。此方は、パートナーのカオリです」
「・・・知ってる」
「あれ?ご存知でしてか?マリーさんから、話を聞かれてましたか?」
「・・・マリーから、話を聞いているし、会ってる」
「会ってる?」
「・・・此れ」
そう言って、マリーさんのお姉さんが手に持っていた物を見せてくれる。
手の中には、『お気楽極楽、インフェルノ・アルマジロ』が在った。
「えっ?」
「リョウ、マリーさんのお姉さんって、お昼ご飯御馳走してくれた、占い師さんじゃない?」
「いや、だって、全然違うぞ?」
「・・・怖い?」
「・・・あれ?何かデジャヴュ?」
「お姉ちゃんは〜、人見知りなんだけど〜、リョウには、慣れてるね〜」
「・・・前世の記憶がある?」
「え〜?!」