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蜂の巣を駆除した後、周囲を散策したが特に獲物が居らず、他を散策する事にした。
林から湖に行く通り道で、洞窟を発見した。
中は誰も居ない様だし、入ってみるか?
でもこう言う所は、俺の嫌いな虫系のモンスターが居そうだよな。
蜂も好きじゃないが、特にGとか百足、デカい蛾が嫌いだ。
前世ですら奴らをモンスターだと思って居たのに、この世界では巨大化して更に狂暴度が増している。
お、恐ろしい。
やはり、洞窟は止めよう。
と、思っていたら「リョウ、洞窟に入るの?虫系のモンスターが、沢山居そうね!」と、カオリさんがやる気満々だ。
「か、カオリ?入るの?」
「どうしたの?リョウ、さては怖いんでしょう?大丈夫よ!私が護ってあげるから!」
「うん、でも奴らは種類も多いし、行動範囲が広いからね?危ないと思うんだよ?特に、黒い悪魔G!」
Gに関しては、黒以外にも茶色とか本当に種類が多く、悪食で何でも喰うし生命力が半端ない。
1匹居たら100匹居ると思えは、この世界でも共通認識だ。
棲息しないのは空中と水中、後は雪山だけじゃ無いかな?
この世界の奴等は、火山とかでも進化して棲息していやがる。
本当に、恐ろしい。
恐ろしいが、この世界を浄化する一端を、担っているのも奴等だ。
奴等が他の動植物やモンスターの死骸を消費分解する事で、世界が循環しているのは間違いの無い事実。
でも、やっぱり俺は恐ろしい。
「貴方は、死なないわ、私が守るも」
「おっと、其処までだ!それ以上は駄目だ、カオリ」
俺は、カオリの台詞を止めた。
色々な意味で、ヤバい気がする台詞だ。
この後にGとの戦闘で、ボロボロになったカオリを助け出し「こういう時、どんな顔をすればいいか、分からないの」
「・・・笑えば、良いと思うよ?」
なんて、やり取りをしたくない。
「ちょっとだけ、入口だけで奥まで行かないから、良いでしょう?リョウ?」
先っぽだけ、みたいな事を想像する俺は、きっと心が穢れているんだな。
遠い目をしながら「分かった。危険なら、すぐに引き返すぞ?」と、カオリに返事した。