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「名前、決めました」
「そう、で名前は?」
「名前はリョウで、お願いします。名字は要らないです」
カミー○とかシャ○、ルルーシ◯で迷ったけど、以前の世界で凄く好きなアニメと漫画の主人公、パイソン357マグナム4インチを扱う、今でも憧れている、あの人の名前にした。
漢字じゃなくて、片仮名だけどね。
「ではリョウ、貴方を日本に、人種のクローンとして転生させます。後、多少の便宜を図ると言いましたが、貴方には強運を授けます」
「強運ですか?有難う御座います」
前の人生は、ハッキリ言って不幸だった。
自分より不幸な人は、いっぱい居る。
自分は、幸せな方。
そう思って、生きて来た。
でも本当は、そうじゃ無い。
何かに付けて、運が悪い。
そう、某○条さん張りに、不幸だ〜なんて言ってられない。
某上○さんは、確かに運の悪さは天下一品だと思うが、それは異能を打ち消す凄い能力のせいだ。
しかも、奴は1級フラグ建築士であり、モテる。
チクショウ、別に羨ましくなんて、無い訳じゃないんだからね!
それに俺の周りの人間は、禄な奴が居なかった。
人生を振り返って、マトモだと思える人間を数えると直ぐ終わるが、マトモじゃ無い屑人間を数えるとキリがない。
子供の頃から、そうだった。
碌でも無い、屑大人達。
そして、碌でも無い屑人間達。
本当に、報われない人生だった。
これからの人生が、運が良くなり幸せになれるなら、素晴らしいなと思う。
「この程度しか出来ず、ごめんなさい。ずっと、貴方を見ていた。私に出来るのは、貴方を異世界に転生させ、少しばかりの加護を与える事だけ」
「いえ、有難う御座います。でも、ずっと見てたって、ちょっと恥ずかしいし何でこんなに、気を遣って下さるんですか?」
「貴方は前の世界で子供の頃に、とても仲良くしていた女の子が居た。その子とした約束は、覚えてる?」
子供の頃の約束?
全く、覚えてない。
「アレですか?大きくなったら、結婚し」
「違います」
うん。
食い気味で、来たね。
しかも、優しい笑顔なんだけど、目が笑ってない。
怖え。
結婚の約束とか、した覚えは無いしな。
何だろ?
「覚えていないなら、良いわ」
そんな残念そうな顔されると、凄く気になるな。
可愛い顔が、台無しだぜ。
しかし、全く思い出せん。
「約束の話は、良いわ。もし思い出せたなら、その時は、私の事を思い出してね」
俺の周りが、白く光って来た。
「またね。それから、新たな世界は、複数の転生者が存在するの。ひょっとしたら早い段階で、他の転生者に会う事になるかもね」
女神様が、可愛い笑顔で手を振っている。
あれ?
何だろ、女神様の笑顔が、凄く懐かしい。
何か思い出しそうな感じなんだけど、何だっけ?
そんな事を考えていると、意識がフッと軽くなった。
そして目を覚ますと、其処は見たことが無い景色だった。