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軍の基地を出た俺達は、街を歩いていた。
そういえば、連絡先とか言ってたな?
街を見ると、魔導通信ショップなる物がある。
「カオリ、電話とかあった方が良いかな?」
「そうね、さっきの件とかもあるから、あったほうが良いかもしれないわね」
「じゃ、電話を見に行くか」
「いらっしゃいませ。魔導通信ショップにようこそ」
お店のお姉さんが、にこやかに挨拶してくる。
「え〜と、電話とかあります?」
「はい、御座います。電話というか魔導通信機ですね」
「どんなのが、ありますか?」
「そうですね、お客様の御利用状況にも依りますが、国内だけで良いというならば、此方なんて如何でしょう?」
そう言われて出されたのは、腕時計だ。
「此方は、腕に着けて頂いて、生体認証を終了すると、通信機器として使用できます。イヤリングやネックレスといったタイプや、指輪型も御座います」
「カオリ、どれが良い?」
「そうねぇ、指輪なんてどう?」
「うん、じゃ指輪型にするか」
「嘘?!本当に、良いの?」
「別に、構わんよ。指輪型を見せて貰えますか?」
と、いう訳で電話?を買いました。
電話というよりも、指輪だね。
で、お互いに通信機器を持っている人で登録すれば、何時でも国内なら通信出来るんだって。
因みに、完全防水。
動力は魔力で、常時魔力充填機能があるから、魔力切れは無い。
便利な世界だ。
その後、店員さんが色々と説明をしてくれるが、カオリに任せて俺は前世の事を思い出す。
前世じゃ契約して電話を使ってたけど、この世界は電話じゃ無くて、魔導通信機だもんな。
似て非なるもので、更に便利だ。
店から出たカオリは、とても御機嫌で偶に立ち止まっては、自分の左手の薬指を見てニヨニヨとしている。
まぁ、喜んでくれてるし良かった。
俺は右手の薬指にしたけど、特に意味は無い。
カオリとは、お互いに登録済みだ。
試しに、使ってみるか?と、起動してみた。
ピーピーピーとカオリの方から、小さな音がしている。
カオリが丁度、指輪を眺めている所だ。
「あれ、リョウ?どうしたの?」
「試しに、使ってみた」
「此れは、側で話してる感じだし、思念波で話すより楽ね!」
「そっか。思念波は分からんが、確かに離れていても直ぐ側で話してるみたいだな」
今のお互いの距離は10メートル程、俺が早足でちょっと距離を取ってみた。
「カオリ、まだ時間があるし何処か寄って行くか?」
まるで、独り言を呟く悲しい人みたいに見えるな。
「そうね、じゃお昼食べに行きましょう?」
俺は、カオリの隣まで来て、話してみる。
「「分かった」」
声が、ダブって聞こえる変な感じ。
「アハハ、隣で使うと変な感じね」
「「そうだな」」そう言って、俺は、通信を切った。
「カオリ、何が良い?」
「そうね、パン屋さんなんてどう?」
少し先に、お洒落なパン屋が見える。
前世の俺は、あんなお洒落なカフェ風のパン屋なんて、行った事は無かったな。
「じゃ、パン屋に行こう」




