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夕飯を外の店で済ませ、部屋に戻って来た俺達は、フィギュアをどうするか話す。
「此処に、飾るのはどう?」
「そうだな100個、全部並べて其処に置くか」
部屋の邪魔にならない場所に棚を出し、フィギュアを綺麗に並べる。
壮観な眺めだな。
残りのフィギュアは、俺の次元収納に入れて、知り合いに配る事にする。
欲しがる人、居るかな?
今日から、同じベッドで寝る事にした。
誤解も解いたし、もう大丈夫だろう。
それにカオリは、俺の記憶を持っている存在で言ってしまえば、もう一人の自分で家族だから問題ない。
決して可愛い娘だから、一緒に寝たいなんて考えていない。
何故なら、俺は紳士だからな。
紳士よ、変態であれ!変態よ、紳士であれ!の精神に則って、今後も生きて行くぜ。
翌朝、扉の前で「シー、起こさない様に、静かにして!」
「でも〜、ネアちゃん〜、リョウが怒るよ〜?」
「そうです。ネアさん、恋人同士じゃ無いって、昨日聞きましたし、そんな扉にくっついて盗み聞きなんて、はしたないですよ?」
「いや、壁に耳当ててるのは私じゃ無くて、ゴモリーでしょう?」
「皆様、淑女として品が無いですよ?やるなら、徹底的に隠蔽魔法を使わないと」
「ミリィ〜、凄いね〜、だけどリョウに怒られない〜?」
朝から何やってんだ、この人達は?
俺は、扉を開き「おはようございます」と、挨拶する。
「お、おはよー!今朝は早いのね?」
「おはようございます。リョウさん、お迎えに来ました」
「おはようございます、リョウ様。私は、止めましたよ?」
「リョウ〜、おはよ〜、朝ご飯食べよう〜?」
「えぇ、そうですね。だが、その前にマリーさん以外、説教な?」
大食堂にて、何時ものメンバーと朝食。
その際に説教して、マリーさんにフィギュアを要らないか聞いた。
マリーさんは、喜んでフィギュアを欲しがる。
カオリ以外の連中が、物欲しそうに眺めている。
「リョウ〜、お願いがあるの〜、お姉ちゃんの分も、貰って良い〜?」
「はい、構いませんよ。お好きなのを、1つずつ選んで下さい。後、マリーさんが選んでから、皆さんにも見せますから、安心して下さい」
別に意地悪する気は無いから、他の人にも渡すよ。
テーブルの上に、50個程のフィギュアを出す。
「リョウ〜、有難う〜、コレとコレを貰うね〜」
マリーさんが選んだのは、【破壊大帝、エント】と【悩める、フロストナーガ】だった。
本来のフロストナーガは、寒い地方の海に生息する体長1メートル程のウーパールーパーの様な見た目で、噛みつきや引かっき、口に水を含み噴射する水鉄砲の攻撃をしてくる。
【悩める、フロストナーガ】は、半纏姿にマフラーを巻いた寒がりで片手に御汁粉の缶、反対の手に串に刺さった、おでんを持った可愛いフィギュアだ。
「では残りを、皆さんで選んで下さい」
ミリィさんには、河野さんの分も持って行って貰う。
「リョウ様、有難う御座います。此方を、頂いて行きます」
ミリィさんが選んだのは、【魅惑誘惑、マタンゴ】と、【宵闇の騎士、アサシンピジョン】だ。
マタンゴはキノコのモンスターで、物理攻撃を主体に、毒や眠り胞子を噴射する食材モンスターだが、【魅惑誘惑、マタンゴ】は、マタンゴが両手にマラカスを持ち、今にも踊りださんとしているフィギュアだ。
アサシンピジョンは鳩のモンスターで、此方も食材になる。
鳩とは言え体長は2メートルあり、凶暴なモンスターで羽を手裏剣の様に飛ばして攻撃する。
しかし、日が沈むと寝てしまう為、夜間は全く見かけない。
【宵闇の騎士、アサシンピジョン】は、鉢巻して珈琲カップを片羽根に、目を見開いているモンスターだ。
「私はマタンゴを、御主人様には、アサシンピジョンを持ってい行きます」
「河野さん、喜んでくれますかね?」
「大丈夫です。アサシンピジョンの肉は、御主人様の大好物ですから」
「リョウ、私は此れにするわ」
そう言って、ネアさんが手に取ったのは【避暑地の、ファイアースコーピオン】だ。
ファイアースコーピオンは、体長1〜2メートル、砂漠地帯に生息するサソリのモンスターで、尻尾の毒針、両手の鋏、口から火炎放射が攻撃方法で、甲羅が防具や日用品に加工される。
【避暑地の、ファイアースコーピオン】は、片方の鋏にトロピカルジュース、反対の鋏に団扇を持っていて、更に頭の部分に麦藁帽子を乗せている。
毎日、暑い中にいるから、ちょっと休憩しよう!!と、そんな感じだ。
「日本には、ファイアースコーピオンは居ないけど、此れが1番可愛く見えたから、此れを貰うわね」
「喜んで貰えて、何よりです」
「リョウさん、私は此方を頂きます」と、ゴモリーさんが手にしているのは、【完全武装、ミミック】だ。
ミミックといえば前世ではゲームで宝箱が有名だったが、この世界のミミックは、様々な物に擬態する事が可能なモンスターで、岩石や倒木に擬態して居たりする。
【完全武装、ミミック】は、丸めの岩石に擬態したミミックが上部に魔導砲、両脇にロボットアームを付けている。
・・・コレ、ボ○ルだよね?
昨日から思ってたけど、此れを作ったのは、転生者だと思う。
「こんな風に、武器を持って擬態したミミックは居ないですけど、凄く惹かれますね」
「そうですね、俺もそのボー○は好きですよ」
「○ール?岩に、擬態してますよね?」
「いや、丸いのでつい・・・」
こうして、フィギュア譲渡会は終了した。




