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「転生する世界について、説明するわね」
「あの、話の途中で、すみません」
「何かしら?」
「神様の御姿が見えませんが、御姿を拝見させて頂く事は出来ませんか?」
「別に、構わないわよ?但し、決して騒がないでね?」
「わ、分かりました」
騒ぐなって、一体、どんな姿なんだ?
やべぇ、超怖いんだけど。
と、思っていた時期もありました。
そして、騒ぐなと言われた意味も、直ぐに分かった。
「ふぅ、これで良いかしら?」
「結婚して下さい」
「ごめんなさい。無理」
はい、玉砕しました。
可愛い笑顔で、言われたよ。
当たって、挫けろって事ですね。
「・・・やはり、姿を見せたのは駄目ね」
「いえ、そんな事は無いです。非常に、嬉しいです。有難う御座います」
眩い光と共に、目の前に現れたのは、俺好みの絶世の美女だよ?
そりゃ、結婚を申し込むとか、当たり前にしちゃうよね?
そう、仕方ないんだよ。
ハァハァ言っちゃうのも、仕方ない。
「貴方の見ている姿や聞こえる声は、貴方が一番求めているイメージ。だから、他の者が私を見た時は、今と違う姿で、違う声を聞いているという事なの」
と言う事は、何か?
もし俺が女であれば、男の姿で男の声って事か?
「因みに、性別に関係無く、己の求める一番のイメージですよ?男だから、女だからという訳じゃ無いですよ?」
「なる程、解説、有難う御座います」
「では、転生する世界について、説明するわね。貴方が、転生する世界は地球。只、貴方が居た世界とは違う。その世界は、魔法がある。科学技術は、魔法がある分、向こうの世界の方が発達しているわね」
・・・地球か、今迄居た世界は、糞みたいな世界だった。
それなのに、また地球?
でも、魔法があるとか言ってたな。
それに魔法がある分、科学技術が元の世界より発達しているってのは、楽しみだな。
「新しい世界は、人族以外にも、色々な種族が存在し、色々な職業がある。獣人族や機械族、それからゴースト族に魔族等ね」
「様々な種族に、職業ですか?何だか、想像が付きませんね」
「職業に関しては、以前の世界と共通する職業も有れば、無い物も有る。後は、貴方の好きな冒険者ギルドがあるわね」
マジか?
冒険者ギルドに獣人とか、それ何てラノベ?
獣人って事は、ヌコ耳(猫耳)とか存在するって事ですか?
素晴らしい。
とても、素晴らしい世界です。
有難う神様。
そう思い、目の前の女神様に手を合わせてヌコ耳、有難う御座います。
と、念仏の様に唱える。
「ヌコ?」
「はい。猫が訛ってヌコです。俺の世界では、猫をヌコと言います」
「・・・馬鹿にしているのかしら?」
「大変、申し訳ありませんでした。俺の世界では無く、俺だけでした」
必殺、ジャンピング土下座が炸裂したぜ。
「世界については、分かって貰えたかしら?次は、貴方の人生ね。決めて貰うのは生まれる場所と性別、後は名前と種族ね。どの種族を選んでも、寿命は大差無いわ。前の世界の死と違って、新しい世界は魂の力が無くなる事が死と考えてね」
魂の力が、無くなる?
全く、分からん。
「もうちょっと、くやしく説明を、お願いします」
「詳しくね、魂の力とは生命エネルギーで、エネルギーが無くなると死ぬ。言わば寿命が来たと同義ね。生命エネルギーは、時の流れと共に衰えてくるし、大怪我をすれば消耗する」
なる程、まぁ、死は平等にあるって事だな。
それは、今後も変わらないって事か。
「どの種族でも、寿命は大差無いんですよね?因みに、オススメとかありますか?」
「オススメは、特に無いわね。選ぶ者が好む様にすれば良い、それに新しい世界では、性別や種族を、簡単に変える事が出来るから、色々と変えてみるのもありよ?」
種族も、性別も変えられる?
それは、好きな時に、好きな状態になれるって事じゃないですか?
ゲヘゲヘ、いやぁ~、それは素晴らしい。
ビバ異世界。
「言っておくけど、お金が掛かるからね?」
「・・・そうですか、そうですよね。まさか、無料なんて事ぁ無いと思ってたんですよ」
「で、決まったかしら?」
「いや、まだよく分かってませんよ?種族とか詳しく、お願いします」
その後、色々と話を聞いた。
本当に、多種多様の種族が居る。
と言うか、色々な種族に成れる。
部分的に変える事も可能で、右腕をエルフ、右手をゴースト、左腕を昆虫、左手をドワーフ、頭をロボット、目を人間、胴体を魔族、足を水生生物、仕上げに獣耳、尻尾。
こんな事も、出来なくは無いそうだ。
只、其処までやるヤツは、居ないんだとか。
人類初を、やってみる?って思ったが、自分が何者か、分からなくなりそうなので止めた。
最終的に決めたのは、元と同じ人間、性別は男で住む場所は、日本にした。
人種が一番落ち着きそうだし、場所も慣れている方が良いと思った。
まぁ、後で変える事も、可能だからね。
気に要らなければ、変えれば良い。
そして、己の人生を決める大詰め。
「親は、無しにして下さい。クローンとか、出来るんですよね?某SE○D的な感じで」
「分かったわ。クローン人間が良いのね?」
「はい。お願いします。名前は、どうしようかな。シ○アとかカッコいいな。ルル◯シュも捨て難い、あぁでも、カミー○って名前にして、『カ○ーユが男の名前で何が悪いんだ!俺は男だよ!』とか言って、相手を殴ってライバルになるとか良いかも」
「愉しそうね?」
「はい、それは勿論!なんたって、新しい人生をやり直せるんですよ?愉しくない訳ないですよ」
何故、クローンにしてくれと言ったのか、それは元の世界の親が碌でも無い屑人間だったから、新しい人生でマトモな親なら良いが、また碌でも無い人間だったらと思うと嫌になった。
ならば最初から、親など居ない方がマシだ。
新しい世界では、孤児院等の施設もあり、何より国の機関になる為、職員の人間性も確かで、貧乏になる事が無いそうだし、クローンで生まれれば、そういった施設に引取られ育てられるそうだ。