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英語の面白い話で、学校の教科書に出て来そうな話あるじゃん?
A:Is this a pen?
B:No, it is an apple.
A:Oh! Sorry. Apple.. it is an apple.
B:Yes, it is an apple.
A:By the way, is it a pen?
B:No! It is an apple!
って、面白い話。
俺は此れの全文を読んだ時に、大爆笑したね。
で、間違いがあると悪いと思って、このノリで一応確認したんだよ?
雄?雌?って、そしたら滅茶苦茶怒られた。
現在、小一時間程正座して、お説教されてます。
「全く、レディに対してのマナーがなっていない」
「はい。本当に、申し訳ありません」
「今後は、気を付けてね」
「はい」
気が付くと、夕暮れ時。
この一件は、大禍時の悪夢と名付けよう。
透明な壁の向こうで、巡回兵が微妙な表情で此方を見ている。
ケッ、見せもんじゃねぇんだよ!
何だ?
犬に説教されてるのが、そんなに面白いか?
面白いって言うか、オカシナ人だと思われたかな?
「所で、おぜうさんの(お嬢さんの)お名前は?」
「名前なんて、無いわよ?だって、私はさっき生まれたばかりだし、だから御主人が付けて?」
おぜうさんに、ツッコミ無しかよ!
ちょっと、しょんぼりしながら考える。
名前か、俺にはネーミングセンスなんて無いんだよね。
いや、待てよ?
「カオリ、カオリでどうかな?」
「カオリね、なかなか素敵な名前ね」
「それから、俺はリョウ。御主人なんて呼び方じゃ無くて、リョウと呼んでくれ」
やっぱり俺の名前なら、最高のパートナーの、あの人の名前じゃ無いと駄目だよね。
カオリが何の抵抗もなく透明な壁の中に入り、一連の流れを視ていた巡回兵に呼び止められる事もなく、徒歩で河野さんの所に戻って来た。
「こんばんは、河野さん居ますか?」
扉が開き、ミリィさんが出迎えてくれる。
「お帰りなさい。リョウ様、そちらは?」
ミリィさんが、カオリを見ながら尋ねて来た。
「実は色々と有りまして、お時間を頂けると、有難いのですが」と、今日あった事を全て話した。
「そうか。で、そちらがカオリ君?」
「はい。河野さん、カオリです」
「ワン!」
「いや、人と話せるって話はしたから、普通に喋ってね?」
「分かったわよ、はじめまして。此れで、良いかしら?」
「ロボットの中には人が入って居るのかと疑問に思う程、話すヤツも居るからね。カオリ君の場合も、不思議じゃ無い。遺跡に関しては、お手柄だね。罪になるどころか、賞与もんだよ。君はまだ、ギルドで遺跡発掘に関する情報を、インプットしていないだろう?」
あれ、心配して損したのか?
「そもそも、新しい遺跡を探していて、懸賞金まで出てる位さ、遺跡を作動させたとなれば尚更だね。カオリ君は、君が面倒を見るって事で良いんだね?なら後の事は、此方でやっておくよ」
「有難う御座います。お願いします」
挨拶して部屋を出たら、ホッとして腹減ったな、飯食うか。
「カオリは、飯食えるの?」
「えぇ、問題無く食べれるわよ?特に、好き嫌いも無いし」
「そっか、じゃ食堂に行こうか」
大分遅くなってしまったが、食堂は24時間営業で、交代勤務や夜中に帰って来た人が利用するそうだ。
食堂に着くと、朝より混んでは無いが席は埋まっている。
2人掛けの席に着き、2人(2人?)で、ディスプレイを眺める。
遅いから、軽めの物にしようかな?なんて考えていると、カオリが「遅くに食べると、肥るのよね〜」等と言っている。
食堂の席は、河野さんの部屋と同じで座る存在に合わせて、高さを変えてくれる。
「ちょっと、お花を摘みに行ってくるわ」
そう言って、カオリが席を離れた。
カオリが帰って来てから、注文しようと考えていると「お待たせ〜」と、垂れ犬耳に垂れ目で犬尻尾、服装は俺と似た感じの獣人族の女の子が席に着いた。
「申し訳無い、席を間違えている様だが?」
「なに言ってるのよ?リョウ」
あれ?
この人、何で俺の名前を知ってるの?
何処かで、自己紹介したっけ?
「何よ?人の顔をジッと見つめて、そんなに可愛い?」
「いや、君が可愛いのは認めるけど、何処かで会ったかな?」
「アハハ!リョウったら正直なんだから、遺跡で出会ってから、ずっと一緒でしょう?」
「もしかして、カオリか?」
「そうよ?」
マジか?!
滅茶苦茶、可愛い女の子なんだけど?
でも声は確かに、犬ロボットのカオリの声だった。




