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やって参りました、冒険者ギルド。
やっぱり、冒険者ギルドって言うと酒場風の所で、異世界テンプレの新人に絡んでくる冒険者とかだよね!
で、ソイツをカッコよく返り討ちにして、噂の新人とかになっちゃう。
・・・あれ?
此処、市役所かな?
若しくは、ハローワーク?
何か、そんな感じの場所なんだけど?
ミリィさん、間違えちゃった?
いやだなぁ、ミリィさんてばオッチョコチョイなんだから、まぁ其処が可愛いけどね。
「リョウ様、冒険者ギルドに着きましたよ?」
「はい?あの、市役所?ハローワーク?あれ?」
どうやら、この世界の冒険者ギルドは此処らしい。
「では、窓口で登録しましょう」
異世界テンプレの新人イビリとか、ソイツを返り討ちにするとか、俺の夢は泡沫に消えた。
儚いって、人の夢って書くよね。
窓口で冒険者登録する際に、名前と種族及び年齢を登録する。
年齢は0歳、でも大人。
見た目は大人、中身は子供!
新人冒険者、リョウ誕生!
心の中で、一人寂しく呟いてみる。
しかし、まだだ、まだ終わらんよ!
次に、適正検査を受けた。
適正検査で何が出来るのか、何が得意なのかを調べるらしい。
腰程の高さの柱に手を置いて、掌をスキャンされる。
俺の結果は、戦闘能力が高い為、討伐を主体とした冒険者として登録された。
そして、採取物の情報、討伐するモンスターの情報が頭の中に入って来る。
能力の高さで、冒険者の資質を判断する。
例えば、モンスターを調教する能力が高ければ、モンスターテイマー。
探索能力が高ければ、斥候や罠解除、遺跡発掘専門の冒険者。
魔力が高く、魔法に秀でているならば、魔法使いやヒーラー。
人によって、能力の高さが変わるので、複数の資質を持つ冒険者も居る。
だからと言って、気に入らないならば、無理に従う事も無い。
努力次第では、他の能力が伸びる事もある。
向き不向きは、当然あるがね。
ギルド内に学校があって、其処で様々な技術を習得する事も可能らしい。
学校は無料で、長くても一週間程度との事。
俺は今の処、通う気は無い。
早く、金を稼ぎたい。
俺の新たな夢を、買うんだ。
冒険者ギルドとは言っても、薬草や毒草採取の常設依頼以外は、特に依頼が有る訳じゃ無く、冒険者として登録しておき、モンスターを倒せば報酬を貰えたり、遺跡発掘で成果を出せば報酬が貰えたりと、異世界転生系のギルドとはちょっと違う。
後は、国際紛争に参加してギルドから、報酬を貰うなんてのもある。
まるで、傭兵みたいだな。
ギルドを副業に、他の仕事をするなんて人も居たりする。
ダブルワークで、何方に重きを置くかは個人次第だ。
俺は取り敢えず、施設の外でモンスター狩りをする事にした。
ミリィさんに頼んで、施設の外に連れて行って貰う。
外から見る施設は、巨大で透明な壁と街の風景だった。
この壁が球状に施設を覆っているそうで、人が触れても何の抵抗も無くすり抜けられる。
但し、登録されたモンスター以外は一切、遮断されて通れない。
「外は、こんな風になっていたんですね」
「はい、未登録モンスター以外は出入り自由です。しかし、無警戒と言う訳では無く、巡回の兵士は配置しております」
なる程ね。
一応、警戒はしてる訳か。
「よし、探索しますか」
俺は、辺りを見回してモンスターを探す。
広い草原で、遠くに山が見える。
反対側には、湖もあるらしい。
草叢を覗くと、薬草が生えている。
折角なので薬草を採取していると、ブブォ〜と遠くから音が聞こえる。
音の方を見ると、馬鹿でかい猪が此方に突っ走って来る。
ジャイアントボアだ。
食肉になるし、皮や牙等はギルドで引き取ってくれる。
良い獲物だ。
俺は、腰のルシファーを抜いて両手で構える。
結構、速いな。
チュンと、一発だけ発砲する。
その直後、俺の脇を猛スピードで、巨体が転がって行く。
初めての獲物だ。
眉間に穴を穿たれた猪を次元収納に仕舞うが、残念な事に次元収納が一杯一杯の状態になってしまった。
俺の初仕事は、此れで終了となった。




