再会
あそこから
歩んできたようにも
ただ流れてきてしまったようにも
感じられる
そんなこの頃
懐かしいひとに会い
滅多に行かなくなったカフェで
記憶を辿ってばかりの会話を重ね
学生服に身を包んでいたはずなのに
その時ばかりは 呆気なく
ここに来てしまったような錯覚を覚え
まるで見えない
未来がぼんやりと
霧のように
貴女は変わらない、なんて
社交辞令も交わさずに
ちょっとした間も
目線を逸らしやり過ごせるままで
あの頃とは
随分遠いところへ
お互い来てしまったものだと
感慨深くありながらも
彼女は紅茶を
私は珈琲を
時間とともに飲み干し
否応なしに
変わってしまったこともあるけれど
彼女の嫌いな食べ物が
いまだ変わらないことへの
安堵なんかもあったりして
私たち
元気でいましょう、ねぇ、
元気でいましょう、と励まし合い
カラン、とベルを鳴らして
カフェを出る頃には
茜さす 帰り道
久方ぶりに並んで さぁ
帰りましょう
また明日、とは
いかないけれど
今日は繋がない手を振って
次は繋ぐかもしれない手を振って
今度は
私から 会いに行くから
その道を
気を付けて
別れていく
帰り道
貴女も 私も
知らない影を連れて
ここまで来たわけじゃないの