世界を越えてのお引越し3
ソファーの上でこのおかしな現象について考えていた。
起こってしまったものはしょうがない。
これからどうやって生きていくか。
「はーっ。とりあえず、顔でも洗うか」
涙でぐちゃぐちゃの顔を洗う為に洗面所へ。
その後冷蔵庫を開けて水を取り出し飲む。
いつの間にか暗くなっているので電気もつける。
「!?」
電気も水道も使える!?
トイレや他の家電製品も使える。
携帯を確認すると通話はできないけど検索や写真などの機能は使える。
「この世界は電気があるの?」
少し安心したらお腹が空いてきた。
「こんな事があってもお腹が空くとは・・・」
ため息をつきつつ適当にごはんを用意して食べる。
それなりに生きてきたアラサー女子は逞しいのだ。
「酒でも呑むか!」
シャワーを浴びた後はヤケ酒だ。
* * * * *
明るい日差しで目が覚める。
相川舞 27歳
現実逃避するように酒を呑んだ翌日である。
「うーん。今日から無職かー」
なんて言いながら二日酔いで少し頭が痛い。
ごはんを食べてからしばらくボーッとしてるとテレビがまた勝手についた。
「相川様!お、おはようございます」
昨日と同じくオロオロしながらシーナくんが挨拶してくれた。
「・・・おはよう」
この原因のシーナくんに対してはモヤモヤする気持ちもあるが、これからの事をいろいろ確認したい。
「ちょっと着替えるから待ってて」
一度テレビを消す。
準備ができたらまたテレビをつける。
どういう仕組みなんだかシーナくんが映っている。
「お待たせ。っていうか何でテレビ超しなの?」
「使い過ぎてしまった僕の聖なる力を今は蓄えているところなので、直接相川様にお会いできる距離まで行けません。なので今はこの様な形でお話をしているのです」
「そうなんだ」
よく分からないけど力不足なんだねと納得する。
まずはこの世界の事を説明してくれた。
ここはキーヤ王国。
日本のように四季はあるらしく、今は秋のようだ。
「花の季節」「太陽の季節」「紅葉の季節」「雪の季節」という流れらしい。
人々の生活には魔法が使える人もいるらしい。
魔法!ファンタジーの世界!
王族はいるが、特に貴族階級的なものはないらしい。
気さくな王族の方達らしく、街で会う機会もあるようだ。
シーナくんの説明は続く。