世界を越えてのお引越し2
ボロボロと涙を流している彼に説明を求めた。
「僕は天使見習いの者でシーナと申します」
「天使!?」
よもや天使と会話する日がくるとは。
そしてなぜかテレビ電話のこの状態。
頭がついていけない。
「見習い中の僕は修行中に聖なる力の加減を間違えてしまい、違う世界に飛んでしまったのです。それが相川様の住んでいた世界でした」
「はぁ・・・」
「異世界同士の聖なる力は反発してしまう為、僕は相川様の世界にいる事はできません。相川様の住んでいた所の上空に飛んでしまった僕は思いっきり弾き出されてしまいました」
「聖なる力・・・」
「僕の聖なる力は強いらしいのですが、まだうまく制御ができません。なので反発する力も膨大な量となり、相川様まで巻き込む形で弾き出されてしまったのです」
「では元の世界に戻してください」
涙が止まらないシーナくんにお願いする。
「・・・それができないのです」
「なんで!?」
「先程もお話した通り、異世界同士の聖なる力は反発します。本来ならその世界にいる事もできない為に、行く事もできません」
「ま、まさか・・・」
「僕の聖なる力が暴走した為に起きてしまった事なので、どうやってあの世界に行く事ができたのかも分からないのです。本当に申し訳ございません!!・・・ううぅ・・!!」
「戻れない・・・そんな事って」
家族や友達にももう会えない?
それなりに頑張ってきた仕事。
楽しみにしていた旅行やイベント。
異世界って何!?
どうやって生活していけばいいの!?
何で巻き込み事故みたいに知らない所に!?
・・・腹立ってきた!!!!
「何で戻れないのよ!!意味分かんない!!何であんたの修行とやらの巻き添えくわなきゃいけないのよ!!これからどうしろっていうの!?」
「そ、それは・・・」
「もう!!泣きたいのはこっちだよ!!」
わーっ!と泣き出した私にオロオロしているシーナくん。
年下の子を困らせてはいるが、かまってられない。
テレビを消してしばらく泣き続けた。