♥ 嗚呼っ、婚約破棄!! 2
ワタシは子供部屋での会話を思い出していました。
──*──*──*── 回想
──*──*──*── 子供部屋
セヴィライズ
「 トレス──、そんなに泣かないで…。
僕達まで泣きたくなってしまうよ… 」
トメリロレンス
「 …………これが…泣かないでいられると思いますか……。
生きている間に会う事が出来ないんですよ!!
手紙のやり取りすら……出来ないのに…… 」
ディリルミアン
「 トレス姉様……。
僕もトレス姉様と離れたくないよ!
トレス姉様を≪ 魔界 ≫に連れて行きたいぐらいだよ!!
だけど……それは…出来ないんだ……。
≪ 魔界 ≫の魔素は人間には毒だから……。
濃度の濃い≪ 魔界 ≫の魔素を吸い込んだら…トレス姉様が…死んじゃうから…… 」
トメリロレンス
「 デリアン…… 」
シェルヴァント
「 トレス…僕達も胸が張り裂けそうなぐらい悲しいよ。
出来る事なら…このまま≪ 人間界 ≫に残ってトレスと暮らしたい…。
だけど……それは…お母様が許さない。
僕達を…息子を失いたくないと思ってくれているお母様の願いだから… 」
トメリロレンス
「 シエル…… 」
シェルヴァント
「 だからね、僕達はお母様にお願いしたんだ。
1人になってしまうトレスが寂しくないように友達を与えたいってね 」
トメリロレンス
「 友…達……?? 」
ディリルミアン
「 そうだよ、トレス姉様!
お母様はね≪ 魔界 ≫で随一と言われている偉大なる大魔法使い魔女マジョリータの娘なんだよ!
お母様も凄い魔法使いなんだ!
だからね、トレス姉様に友達を残す事が出来たんだよ!
えへへ(////)」
トメリロレンス
「 …………マージョン様はそんなに凄い魔女なの?? 」
セヴィライズ
「 そうだよ。
その血を受け継いでいる僕等も大魔法使いの魔女になる素質を持っているんだ。
だから、トレスに最高の友達を用意する事が出来たんだ! 」
トメリロレンス
「 シエル,セヴィス,デリアン……ワタシの友達って誰なの?? 」
シェルヴァント
「 トゥヱだよ、トレス 」
トメリロレンス
「 トゥヱ……トゥヱがワタシの友達…なの? 」
セヴィライズ
「 う〜〜〜ん……最初は友達の予定だったんだけど……、僕等の代わりにトレスを守護ってもらいたかったから、お母様の提案を優先してだね……主従契約よりもより高度な契約をトレスにはしてもらったんだよね…。
あはは… 」
トメリロレンス
「 高度な契約?? 」
ディリルミアン
「 番契約だよ 」
トメリロレンス
「 番契約…?? 」
セヴィライズ
「 え〜〜〜と……まぁ、トゥヱに生涯トレスを守護らせる為に、より強固な絆の契約の儀式に変更した……って言うか…?? 」
シェルヴァント
「 使い魔は召喚者であるお母様,セヴィス,デリアン,僕に絶対服従なんだけど、番契約を結ぶとトゥヱは召喚者の服従から解放されて、主と認めたトレスだけを最優先する従順な使い魔になるんだ。
トゥヱをペットとして扱うのも友達として扱うのもトレス次第って事だよ。
トレスを守護る番犬として常に傍に連れ添うから、トレスは安心して過ごしてほしい 」
トメリロレンス
「 …………そうなの…トゥヱ…? 」
トゥヱ
「 アン! 」
フサフサの尻尾をフリフリしてワタシを見詰めてくれるトゥヱ……可愛い(////)
セヴィライズ
「 トゥヱはね、お母様と僕等の魔力を注ぎ込んだ歯に、4人の魔女の血を合わせた液体を媒介にして呼び出した使い魔なんだよ。
使い魔のランクで言えば最上級クラスで、≪ 魔界 ≫では “ 終焉の宴 “ って呼ばれる使い魔なんだ!
トレスに紹介する為に真っ白くて可愛いワンコの姿をしてるけど、本来の姿は──── 」
トゥヱ
「 アンアン…グゥン 」
ディリルミアン
「 僕達も見た事がないから分からないんだよ!
だよね、セヴィス兄様? 」
セヴィライズ
「 う、うん?
まぁ…それは後からの “ お楽しみ ” って事で! 」
トメリロレンス
「 お楽しみ…?? 」
シェルヴァント
「 兎に角、トレスには僕達の代わりにトゥヱを残して行くから、僕達の分までトゥヱと仲良くしてほしいんだ 」
トメリロレンス
「 …………分かったわ。
そうするわね。
有り難う、シエル,セヴィス,デリアン……。
皆の代わりにトゥヱを大切にするわね 」
ディリルミアン
「 トゥヱ──、呉々もトレス姉様を頼むからね 」
トゥヱ
「 ワン! 」
──*──*──*── 現在
トゥヱが魔女達に呼び出された使い魔だなんて未だに信じられないけれど……、ワタシはトゥヱを大切にしています。
可愛いワンコを無下に扱うなんて出来るわけがありません。
今ではトゥヱはワタシにとって番犬以上,友達以上──、かけがえのない家族の一員です。
トコトコと早足で付いて来てくれるトゥヱは本当に可愛いです♥
シエル,セヴィス,デリアンとの事を考えている間に、客室の前に着きました。
この客室の中にワタシへ婚約を申し込んでくれた殿方が居るのですね…。
お父様,お母様と共にワタシが来るのを待っている……。
アンシー
「 お嬢様、どうなさいましたか? 」
侍女のアンシーが心配そうな様子でワタシに声を掛けてくれます。
これから客室で行われる事を予期しているかのように────。
トメリロレンス
「 大丈夫よ、アンシー。
初めてではないのだもの……。
心配してくれて有り難う…。
…………覚悟を決めたわ 」
ワタシは心配そうに見詰めるアンシーへ微笑みました。
今からワタシは伯爵令嬢として、微笑みを絶やさず、にこやかに殿方の話を最後で聞かなければならないのです。
殿方をお見送りして、自室へ入り鍵を掛ける迄は……悲しい気持ちにフタをしなければいけません。
ワタシが「 アンシー、お願い 」と言えば、アンシーは客室のドアをノックしてくれます。
アンシーが客室のドアを開けてくれます。
ワタシは「 お待たせ致しました 」と微笑みながら、平静を装いながら客室へ足を踏み入れました。
トゥヱ……ワタシの可愛いトゥヱ……、どうかワタシの傍で、ワタシを見守っていてね……。
◎ 訂正しました。
創造主 ─→ 召喚者
生み出した ─→ 呼び出した
作られた ─→ 呼び出された