♥ 異母兄兄弟とワンコ 2
セヴィライズ
「{ どうやら、儀式は成功したみたいだね }」
シェルヴァント
「{ 良かった。
魔法陣も跡形も無く綺麗に消えているね }」
ディリルミアン
「{ 結構、ごっそり魔力を持って行かれたよね。
少しは手加減してほしかったなぁ…。
クラクラだよ… }」
セヴィライズ
「{ 魔力は魔素を吸収すれば回復するんだから良いだろ。
僕とシェル兄を見ろよ。
髪の色が脱色するぐらい魔力を持ってかれたんだぞ。
戻るのに1週間は掛かるよ、これは! }」
シェルヴァント
「{ 今は儀式の成功を喜ぼう。
これで僕達のトレスだけは安全だ }」
ディリルミアン
「{ うん…。
もう前みたいに悲しい思いはしたくないもんね… }」
セヴィライズ
「{ そうだな。
これで安心して、僕等も行ける…。
トレスと “ さよなら ” するのは辛いなぁ… }」
シェルヴァント
「{ 仕方無いよ。
僕達は魔女なんだから。
人間の姿を保っていられる期間は限られてるんだ。
此処は僕達が暮らせる場所じゃない。
僕達が暮らせるのは≪ 魔界 ≫なんだ… }」
ディリルミアン
「{ …………≪ 魔界 ≫へ行ったら2度とトレス姉様に会えないんだよね…。
悲しいよ… }」
シェルヴァント
「{ トレスがワンコと戻って来る。
笑顔だぞ、笑顔! }」
トメリロレンス
「 はぁ〜〜〜……。
いきなり光るから吃驚しました… 」
シェルヴァント
「 トレス、ワンコの名前は決まったかい? 」
トメリロレンス
「 えぇ、決まりました。
“ トゥヱ ” と名付けました 」
シェルヴァント
「 トゥヱ……月の精──。
素敵な名前を付けてもらったね 」
セヴィライズ
「 トレス、どうして “ 月の精 ” なんて名前を付けたんだい? 」
トメリロレンス
「 夜空に白く光る月が浮かんだの。
この子には月が似合うと思って(////)」
ディリルミアン
「 良かったね、トゥヱ!
これからは僕達の代わりにトレス姉様を頼むよ 」
トゥヱ
「 ワン! 」
セヴィライズ
「 あははっ、良い返事だ! 」
シェルヴァント
「 今日からトゥヱも家族だ。
一緒に屋敷へ入ろう 」
シエルの一言で、ワタシ達は屋敷へ戻る事になりました。
トゥヱも一緒に屋敷へ入れるのか心配になりましたけど、杞憂に終わりました。
使用人達は快く笑顔で、ワタシのトゥヱを家族と認めてくれて、屋敷へ入れてくれました。
──*──*──*── ヒルトクッグ邸
裏庭で魔法陣が光った後、シエルとセヴィスの髪色が脱色しているのに気付きました。
理由を聞いても「 名誉の勲章だよ 」としか教えてくれません。
それに……デリアンの言葉の意味も気になります。
デリアンから言われた言葉の意味は、夕食の時間に分かりました。
妾とシエル,セヴィス,デリアンはヒルトクッグ領を出て、妾の故郷へ帰省する事を知らされました。
妾を「 お姉様♥ 」と呼んで慕っていたお母様ですから反対すると思って話を聞いていましたけど、お母様も了承済みのようで、お父様だけがオロオロと困っています。
妹は言うまでもなく、妾と腹違いの兄兄弟がヒルトクッグ邸から出て行くのですから、満面の笑みで喜んでいます。
ワタシは複雑な心境でした。
今まで仲が良かった兄兄弟が1度に居なくなってしまうのです。
悲し過ぎますし、寂しくなります。
笑い声が聞こえて賑やかだった屋敷の中は、もの凄く静かになってしまうのでしょうね……。
こうしてシエル,セヴィス,デリアンと一緒に食事を出来るのも後3週間だけとなってしまいました。
ワタシは思い切って、妾の故郷が何処なのか聞いてみる事にしました。
妾から「 故郷は他国になる 」と教えられました。
他国……、妾が他国人だった事を初めて知りました。
ワタシは妾の事を何も知ろうとしなかった……。
シエル,セヴィス,デリアンも母親と共に他国にある故郷へ行く事を決めていて、決意は固いようです。
ワタシの座る椅子の下に居るトゥヱが「 クゥン… 」と元気のない声で鳴きます。
ワタシが落ち込んでいるのを察したのでしょうか?
トゥヱのつぶらな瞳がウルウルと揺れているように見えます。
トゥヱ………………可愛い(////)
家族団欒の食事が終わると、お父様は食堂を出て書斎へ向かいました。
お母様は妾と共に仲良く食堂を出て行きます。
お母様は妾の左腕に自分の腕を絡めていますけど、抱き付いて歩く必要があるのでしょうか??
お母様の妾に対する態度の意味がワタシには分かりません…。
妹は「 アンタ達が居なくなってくれて清々するわ! 明日にでも出て行ってほしいわ!! 」と嫌味を吐き捨てると食堂を出て行きました。
食堂に残ったのは、シエル,セヴィス,デリアン,トゥヱとワタシの4人と1匹です。
ワタシ達は食堂へ出て、子供部屋へ移動する事にしました。
子供部屋はワタシ達は4人の遊び場でした。
成人した今でも、子供部屋はワタシ達にとって大切な場所です。
4人で子供部屋に集まれるのも、3週間だけなのだと思うと胸が締め付けられるように苦しくなって、切なくなります。
シエル,セヴィス,デリアンも悲しくないのでしょうか?
寂しくないのでしょうか?
悲しくて…、寂しくて…、胸が痛んで…、苦しくて…、切なく思うのは──、ワタシだけなのでしょうか……。
どうして……シエル,セヴィス,デリアンは母親と共にヒルトクッグ邸を出て行くと決めたのでしょうか…。
ワタシに原因があるのでしょうか?
もし、ワタシに原因があるのなら知りたいです。
ワタシはシエル,セヴィス,デリアンにヒルトクッグ邸を出て行くと決めた理由を聞いてみようと思いました。
ヒルトクッグ邸を出て行く理由を知ったワタシは、受け止められるでしょうか……。