♥ 異母兄兄弟とワンコ 1
?
「 トレス──、大丈夫かい?
顔色が悪いね… 」
トメリロレンス
「 シエル……。
大丈夫です。
心配してくれて有り難う… 」
?
「 大丈夫そうに見えないから心配してるんだけどな 」
トメリロレンス
「 セヴィス……。
本当にワタシは大丈夫なのよ?
だから、そんなに心配しないで… 」
セヴィス
「 じゃあ、何で疑問系なのさ!
全く… 」
シエル
「 トレス──、気分転換にワンコと触れ合おう! 」
トメリロレンス
「 ワンコ…?
ワンコって……犬…よね? 」
シエル
「 そうさ!
デリアンが拾って来たんだ!
泥と埃まみれで汚かったんだけど、アンシーに洗ってもらったら綺麗になったんだよ。
拾って来たデリアンも吃驚さ! 」
セヴィス
「 名前は未だ付けてないんだ。
トレスが名前を付けてあげてよ 」
トメリロレンス
「 えぇ?!
ワタシがワンコの名前を付けるの?
拾って来たデリアンが名付けなくていいの?? 」
シエル
「 デリアンからの提案だよ。
僕達にはネーミングセンスが無いからね! 」
セヴィス
「 そうそう。
変な名前を付けたら、ワンコが怒るよ!
ほらほら、トレス、裏庭へ行こう!
デリアンとワンコがトレスを待ってるよ! 」
トメリロレンス
「 あっ──、シエル,セヴィス!
両方から手を引っ張らないで…。
ちゃんと一緒に行きますから 」
ワタシに話し掛けてくれたシエルとセヴィスは、ワタシの腹違いの兄弟です。
シエルの本名は、シェルヴァント・ヒルトクッグ・M、長男です。
セヴィスの本名は、セヴィライズ・ヒルトクッグ・M、次男です。
裏庭でワタシが来るのを待ってくれているデリアンも、腹違いの兄弟の1人です。
デリアンの本名は、ディリルミアン・ヒルトクッグ・M、3男です。
Mは妾の実子だという証なのだそうです。
ワタシはシエルとセヴィスと共にヒルトクッグ邸を出て、裏庭へ向かいました。
──*──*──*── 裏庭
シエルとセヴィスと共に裏庭へ着くと、デリアンがワタシ達に手を振ってくれています。
デリアンの左隣に居るのがワンコでしょうか?
真っ白くてフワフワしているワンコがデリアンの左隣でお座りしています。
お利口さんなワンコみたいです。
ディリルミアン
「 トレス姉様ぁ〜〜!
待ってたよ!
見て見て、トレス姉様ぁ〜〜。
ワンコだよ!
可愛いでしょ? 」
デリアンは笑顔でワタシに駆け寄って来てくれます。
真っ白いワンコもフサフサした尻尾を左右に振りながら駆け寄って来てくれます。
ワンコ…可愛いです(////)
トメリロレンス
「 この子がデリアンの拾って来たワンコなのね?
真っ白くてフワフワしていてまるで雲みたいね。
ふふふ(////)
人懐っこいのね…可愛い(////)」
ディリルミアン
「 ワンコはトレス姉様を気に入ってくれたみたいだね♪
えへへ…良かった(////)」
シェルヴァント
「 うん。
トレスに懐いてくれて良かったよ。
トレスは動物に好かれる体質なのかな? 」
セヴィライズ
「 トレス──、早速だけどワンコに名前を付けてあげてくれないかな 」
トメリロレンス
「 本当にワタシで良いの?
デリアンが拾って来たのでしょう? 」
ディリルミアン
「 良いんだよ。
僕はトレス姉様に名前を考えてほしいんだ。
お願い、トレス姉様。
僕の代わりにワンコへ名前を付けてあげて 」
トメリロレンス
「 デリアン……。
分かったわ。
貴方が良いならワンコの名前を付けさせてもらうわね? 」
ディリルミアン
「 うん!
わ〜〜い♪
良かったね、ワンコ!
僕のトレス姉様が君の名前を決めてくれるよ! 」
ワンコ
「 ワン!
ワンワン! 」
セヴィライズ
「 あっははは!
喜んでる,喜んでる! 」
シェルヴァント
「 トレス、ワンコの名前は此方に来て決めてくれるかな。
デリアン、ワンコを連れて来て 」
ディリルミアン
「 は〜〜い!
シェル兄様 」
ワンコを抱っこしたデリアンはセヴィスと一緒に駆け寄って来ます。
シエルの後を追って歩いた先には魔法陣が描かれていました。
半径3m程もある円形の魔法陣で、ワタシの見る限りとても手が込んでいる魔法陣です。
一体誰が、何の為にこのような高度な魔法陣を描いたのでしょう…。
トメリロレンス
「 凄いわね…。
誰が描いたのかしら… 」
シェルヴァント
「 ほらほら、トレス、魔法陣の中に入って! 」
ディリルミアン
「 ワンコも入れるよ〜〜 」
セヴィライズ
「 トレス、ワンコに名前を付けてあげて 」
トメリロレンス
「 え…えぇ……そうね…。
…………アナタの名前は────、トゥヱ…。
アナタは “ トゥヱ ” よ 」
尻尾を振りながら、つぶらな瞳でワタシを上目遣いに見詰めるワンコに名前を付けると、足下の魔法陣が光り出しました。
オーロラのような虹色の光にワンコ──いいえ、トゥヱとワタシは包み込みまれました。
?
「 我が名は、トゥヱ──。
承知した、我が主よ──。
我はトゥヱ。
我が主の名は、トメリロレンス・ヒルトクッグ──。
トゥヱは生涯、主
トメリロレンス
「 誰…なの??
きゃっ── 」
眩しい光の中で声が聞こえたような気がしました。
風が吹き抜けたような感じがして、ワタシは思わず声を上げてしまいました。
光が消えて目を開けるとワンコ──いいえ、ワタシが名付けた “ トゥヱ ” が元気に尻尾を振りながら、ワタシを上目遣いに見詰めて甘えています。
可愛い(////)