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初陣①


「ちょちょちょ!どういうことですかそれ!?」



「えーっと、クインシー様は以前空の団に所属していましたよね?その時に依頼の受注はどなたがされていましたか?」



「ちゃんとギラードとエアリーに任せてましたよ、全部!」



「あぁやっぱり……」



受付嬢は呆れたように、頬を掻く。あれ、これはもしかして何かやらかした感じのやつだろうか?額に嫌な汗が滲む。



「昇格試験となる依頼は受注された方のみがクラスアップできる仕組みになってるんですよ」



「な、なんですとぉ!?」


「お前やっぱアホだろ」



これは決して言い訳では無い。何かがおかしいとは正直思っていた。本当だ。私は嘘を言っていない。


ギラードやエアリーが依頼を受ける際、たまにはお前が〜だとか、アンタが受けといた方が今後の為にどうちゃら〜だとか言ってたのだ。でも、私は正直依頼の手続きとかが面倒臭くて二人に任せ切りだったのだ。まさか、ギルドのランク分けがこんなシステムになっているとは思わなかった。




「ドウスッペ……ドウスッペ……」



「どうするもこうするもねぇだろ。こうなったら、一からランク上げするだけするだけだ」



「うぉぉぉぉぉぉぉぉん!」



「喚くな、みっともない!あと、周りのてめぇら!見せもんじゃねぇんだ、散れ散れ!」




何か多くの冒険者が集まって笑ったり、ひそひそ何かを話していた気がするが、そんなこと気にならなかった。それくらい落ち込んでいたと思う。不幸中の幸いか、一度だけ練習で手続きしていたお陰で、ブロンズランクからスタート出来るのでドン底では無いのだが、やはりショックはデカすぎる。



「そうか。なら手早く昇格できるような依頼は来ていないのか?チンタラとランク上げするのは面倒だ」



「今は来ていないですね……あ、でもこちらの依頼なんか如何ですか?今、受注できる範囲では難しめだと思います。難易度の高い依頼を熟し、活躍が噂になればそれだけ昇格依頼が来る可能性も上がる筈です!」



「牧場の付近に現れたロックウルフ3頭の討伐か、丁度良さそうだな、これにしよう」



「待て待て待て待て!」



私は飛びかかるようにして、気安く依頼を受けようとする、グランを静止した。コイツ、話したことをもう忘れている。


「あー?採集とかは面倒だから魔物狩りを選ぼうって話だったじゃねーか」


「いやいや!でもロックウルフは無理無理!」




ロックウルフ。凶暴かつ狡猾な魔物で家畜を襲うことから、討伐対象に上がることもある。一体であれば対した脅威では無いが、知能が高いので、群れると手をつけられなくなる。



人間の生活圏に現れた際は小集団や単体で行動している内に、狩ることが基本とされている。ただ、この魔物が非常に危険なのはそんなことが理由では無い。



名前の通り、彼らは岩を体毛から精製し、それを用いて獲物を切り裂いたり、時には射出することで、遠くにいる外敵を攻撃することもある。



そう、岩でだ。私が岩の攻撃に非常に弱いことは、既に彼に伝えている。ゴーストレントのように、攻撃手段の一つとして稀に使ってくるワケではなく、岩の攻撃がメインの相手なのだ。危険極まりない。少なくとも私にとっては。



「安心しろ。三頭程度なら勝算はある。それに俺はヘイトを稼ぐスキルを持ってるからな。万が一の時は盾になってやらんこともない」



「いやいやいや、アイツら結構パワーある。足もかなり早い。しかも岩使う。私、岩、超苦手。今朝、話した」



「何だぁ?じゃあ今すぐ100万エーン払うか?」


「嫌」


「じゃあ決まりだな」


「ダメダメダメダメダメダメダメダメダメダメ」




その後暫く駄々をこねたが、結局クエストに向かうことになってしまった。私はグランが嫌いになりそうだ。


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