97話 誕生日プレゼント
「まぁ、祭りは結構どこでも行われてるし、雨天中止の所もあるよ」
皆、ベルエットの話を聞きながら商業範囲にやってきた。
既に多くの人で賑わい、食べ物片手に会話を楽しんでいる。食べ物は殆どが蜂蜜に関連してるものであり、甘いものが苦手な人には少しばかり窮屈になってしまう。
「じゃあ、まぁ、エイラ」
ガイスからなんの変哲もない切り出しから、ミツネとユイラはニヤリと笑った。
「「誕生日おめでと」」
何か弾けるわけでも花が舞うわけでもない。それでも、その場は少しだけ華やかだった。
「毎年ありがとう」
「それはお互い様だね」
ミツネは当たり前のように伝え鞄から包みを取り出した。何も描かれていない真っ白な包み。長方形で大きさは両手に収まる程だった。
エイラは重さや大きさで中身の者を考えたが答えが出なかったのか、ミツネに尋ねる。
「開けていい?」
「どうぞどうぞ」
ミツネも中身を当てられなかったことが嬉しかったのかニヤリと笑い開けられるのを待っていた。
エイラは封に使ったテープを綺麗に剥がし、包みを剥いでいく。すると中から現れたのは透明な箱に並べられた小さな瓶が出てきた。
小さな瓶の中に入っている物は綺麗な色合いをしていた。赤、黄、青、緑、白、黒。6色、それぞれ小瓶に入れられ並べられている。
「マニキュア?」
「正解!」
エイラは透明なケースを開け一つ瓶を取る。ケースもガラスで出来ているのか隣合う瓶だけではなく、ケースと接触してもカチリと固い音が鳴った。
エイラは青色のマニキュアを持ち上げたいように重ねる。
「綺麗だね」
「でしょ!まぁ、余り太陽に当てちゃいけないけどね」
「そうなんだ」
エイラはケースにマニキュアをしまうと胸で抱き締めミツネに微笑んだ。
「ありがと、大事にするね」
「まぁ。エイラは余り使うタイミングがないかもしれないけど、何処か行く時とかおしゃれする時に是非」
農業をやっているエイラは手に何かを付けることを余りしないが、気分を変えるときには付けたりもするだろう。
「あ、それと..おごり券です」
ミツネはポケットに手を入れ、紙を二枚取り出しエイラに渡す。
エイラは既に紙の内容が分かっているのか呆れながらも、何処か嬉しそうに受け取った。
「一枚増えたんだね..」
「もう、16歳で大人への1歩ですから」
パーク王国では16歳は大人の一歩手前。18歳で大人としている。大人の一歩手前という抽象的な位置づけには意味がある。16歳から多くの者たちは何かしらの見習いとなる事が多いからだ。私たちが住むソーユ村は小さく王都から離れている為、余り実感はないのだが他の街などでは意識的にある。
そんな、王都の影響を受けにくい私たちの村でもガイスの様に王都で技術や仕事を学者も偶にいる。
「私は野菜とかお米を育てるのに注力するからあまり関係ないけどね」
エイラが鞄にミツネの誕生日プレゼントをしまったのを確認し言葉を出した。
「エイラ、目、瞑って欲しい」




