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91話 朝食


「そう、エイラだよ」


 ユイラは床に足を付き体を持ち上げた。先程まで現実と夢の間を彷徨っていたとは思えない程、足はしっかりと床を捉えユイラの体を持ち上げる。ベルエットは目が覚めたと言っていたが足取りには少しの不自然さが残っていた。


「エイラって誰なの?」


「私の幼馴染」


「その子に何か問題でも?」


「昨日から青イチゴを育てて外にいるの。差し入れもって行かないと」


「へぇー青イチゴ作っているのか」


 ユイラは昨日の夜に詰まった喉の骨が取れ、頭はすっきりとしていた。洗顔を済ませ、キッチンに立つときには頭より先に手が動いていた。一方ベルエットは椅子に座り、意識を飛ばすように陽の光を浴びていた。


「朝ごはん何でもいい?」


「うんーなんでもいいよー」


 さっきまでの目覚めは本当に何処に行ってしまったのだろうか。

 外から聞こえる鳥の音が静まり代わりに蛇口から流れる水の音が辺りを支配する。昨日使った皿に水が跳ね、音を増やす。


「ベルエット、窯に小さく火つけてー」


「うぅーん」


 椅子に凭れかかっていたベルエットは、溶けたのか頭が背凭れの下にまで言っていた。首が曲がり、背中と椅子の間に三角形ができていて、普通に座るよりも体に負荷がかかりそうだった。

 それでも、ベルエットは小さな掌を伸ばし、かまどに火種を作った。


「どうもー」


 火を起こす必要もないなんて、お母さんが戻ってきたみたいだ。エネルギーが簡単に手に入るのは悪くはない。

 ユイラはにやりとわらい鉄板の上に三つのロールパンを乗せる。その横にソーセージも乗せ小さい火で焼いていく。

 ソーセージの油がじゅわりと鉄板に広がり小気味の良い音を立て始める。その音にいち早く反応したベルエットは椅子を座り直し頬杖を付いた。


 ユイラは二つのコップに水を入れ机に置く。軽く洗い物も済ませ、かまどに目をやるとパンが綺麗な焼き目を出しいたので引き上げナイフで中央に切り込みを入れる。ベルエットはその際に水に炭酸を入れ、炭酸水を準備していた。


「ベルエット二つ食べるでしょ?」


「うんーよくわかったね」


「何となくお腹減ってるのかと」


 ユイラは鉄板からソーセージを取り出し、パンにいれた切り込みに挟む。ケチャップとマスタードで線を引き、紙で包みベルエットの前に出した。


「美味しそう..」


 ベルエットはじっと見つめパンを口に入れると、目がかっぴらきむしゃりと大きな口で食べていった。一つ目を食べ終え炭酸水で口の中の余計なものを流し込むと、直ぐに二個目を手に取り口に付けた。


 私も急いで食べてエイラとアミスにもって行かなくてはならない。気候的には大丈夫だとは思うが流石に夜通し外で作業をするのはつらいだろう。


 二人は朝食を食べ終えると、ベルエットは机の掃除をしユイラは二人の為にホットドックを作り始めた。


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