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81話 国、それとも世界?


 空中に存在する一本の大きな矢。白く発光し、木の幹ほどの太さをしており、とても物理的には放つことは出来ない。しかし、そんな矢は簡単に動き出す。


「死ね」


 容姿からは考えられないドスの効いた声。その声が小さく響き渡った時、矢が放たれ一瞬にして女王アガアリとの距離を詰めた。


 正直私は矢があの硬い甲羅を貫くとは思っていない。魔法を鍛えても鍛えても、あの人には敵わない。穴に入り魔法が使えず、誰かの助けがなければ今頃此処にもいない。魔法が使えない時、私は対処法も持っていない。そんな事をしているからいつまでも勝てない。


 それでも、私は違う方で超える。


 女王アガアリの硬い外装、その隙間を縫って矢は入り込み動きが止まる。胴体と頭をつなぐ首の場所が弱かったのだろう。矢の動きは奇妙で下から上に付き上げるように刺さった。大きな図体が勢いよく倒れ土煙を立てる。


「倒したの?」


 見たらわかる。だが口が先に動きベルエットに聞いてしまった。小さな体にどれ程のエネルギーが入っているのだろうか。体格と魔力総量は決して比例関係にはないが、今の歳でこれ程の魔法を使える者がどれほどいる。周辺国、いや世界で彼女だけだと言われても驚くことは無い。


 地面が揺れる。直立を保てぬほど大きなものでは無いが確かに地面は揺れていた。そんな衝撃を与える女王アガアリが倒れている。二人の目の前で息を引き取り、仲間の小さなアガアリを踏み潰し死んでいる。


「見た、見た?」


 声高らかにベルエットは振り返りユイラに声を掛ける。黒いワンピースを土で汚しはしゃぎ女王アガアリに近づいていった。そんなベルエットの背中を追いユイラも女王アガアリに近づいていく。


「さっきの魔法、全力?」


「んー普通ぐらいかな」


「あの強さで?」


 ユイラは微動だにしない女王アガアリを指さした。そして、ユイラはある事に気が付いた。


 これまで矢が刺さり死んでいた魔物たちは全てこんな光る矢だった。大きさは違えど、形状が今までの物とそっくりだ。


「ライトアローは複数にするほど魔力操作が難しくてうまくできないんだよ」


 ベルエットと私の感覚が違うのか、それとも世界とこの子の感覚が違うのか。とてもじゃないが簡単に言える事では無かった。


「ベルエット、私に協力してくれない?」


「なんでさ」


「ベラリエラについて調べたい」

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