78話 5月28日の魔物清掃
5月28日。
私は幽遠の森の清掃に来ている。最近は晴れが続き気候も落ち着いている。梅雨の前だがじっとりとした熱さも感じなければ服に嫌な汗を吸わせることも無い。勿論歩けば汗は掻く。
木々の日影を踏みながら歩みを進めているが今日は清掃するほどの魔物の死骸も無ければ生きている魔物も見かけない。別に魔物を毎回見かける事もないのだが、なんだか森全体が静かに感じる。
困ることは特にないのだが、給料の方は出来高だから少しでも見つけたいところ。
大樹の泉で一息を入れ、今日は戻ろうかと検討していると一匹のクロガバトの死体が戻ろうとする反対側にあった。
折角来たのだから少しはお金も稼ぎたいし行きますか。
ユイラはもう少し先へ足を進める為、靴の紐を結び直した。
「あ、また槍が刺さっている」
ユイラがクロガバトの死骸を見つけ近づくと首元に槍が刺さっていた。クロガバトの死骸は魔物独特の匂いもしなければ、血が飛び散らず槍のあたりに血だまりを作っているだけだった。
「核をしっかりと捉えている?」
前にもクロガバト、ブカカが綺麗に殺されていた。その者と同じ者かもしくはそういった狩りの方法があるのかわからない。でも、綺麗な魔物は高価買取のはずだ。
ユイラはクロガバトを持ち拡張袋に入れていく。計3体のクロガバトを入れ終えたが、少し先にある死骸にも目が行ってしまった。
「マジか、死骸の列ができてるじゃん」
高い声のトーンと裏腹にユイラの顔には戸惑いが現れていた。目視できるだけで何体もの魔物の死骸が列をなしていた。沢山の魔物の死骸がいるが異臭などは起こらず、眠るように死んでいる。
「ここまでくると気持ち悪いな」
ユイラは魔物の死骸を回収しながら奥へと進んでいく。
小さい魔物から少し大きい魔物まで適当に拾い上げていき進んでいく。もうすぐ清掃時間のタイムリミットが来てしまう為でなくてはならないのだが、奥まった所まで来てしまった。
「あ、アガアリだ」
赤い団子が三つほど繋がりケタケタと歩く小さい生き物。落とし穴を作る知能犯。
集団行動してるってことはこの先に落とし穴が。それと、誰かが捕まった?
ユイラは魔物を拾うのを止めアガアリが続く先に走っていった。途中何度か方向を変えながら付いた先に銀色の球体なような者が見えた。
近づいてそのものを確認したユイラはポツリと言葉を洩らす。
「エット・ベルエット..」
魔物清掃を主題にしていた筈が、いつの間にかタイトル詐欺の様になってしまい申し訳ございません。




