58話
私たち二人の目の前で寝ている少女はスヤスヤと小さな寝息を立てながら目を瞑っている。埃避けの為に使っていた薄い布を掛布団にし少女の体に掛かっている。それでも、体の全てを覆うことができず細い小さな足が放り出されていた。無造作に広がる紫の髪。クロガバトで作ったクッションを枕に小さな頭を載せている。
「誰だろう、私知らない」
「不審者?」
互いに耳打ちし今の状況を確認する。
フワボウは棚の上をウロチョロとして呑気だ。
「てか、気づかなかったってことは最低でも3日前からいたってこと?」
「そうだね」
「食べ物は?」
「あの子の布、干し肉とか果物の貯蔵してあった床下の布だからおそらくそれを食べたのかと」
エイラの髪が耳の辺りに触れくすぐったく、甘い香りもなんだか鼻もムズムズとしてきた。そんな髪から抜け出し目の前で寝る少女に目線を戻す。
夢でも見ているのか、口元が小さく動き何かを言っている。フワボウは少女の上を歩き私たちの方に向かってきた。フワボウが歩いても特に起きる素振りは無く夢の中に住んでいるままだ。
「取り敢えず、門の国兵でも呼んでくる?」
「別にいいんじゃない?敵意があるなら気が立っていそうだし」
「でも、不法侵入だよ」
エイラが再び耳打ちをしたことにより右耳がむず痒くなる。フワボウは体を左から登り私の頭の上でちょこんと座った。
「取り敢えず起こしてみない?」
「まぁ、そうだよね」
エイラは渋々と私の意見に了承したが、近くにあった長い木の棒を持ち上げ私に差し出した。
「ユイラ、念の為これで起こそう。距離取ればすぐに逃げれるし」
渡す手は震えてはいないが警戒心が高いのは変わることは無い。それでも、流石に目の前で寝る少女に私たちが取り押さえられることは無いだろう。薄い布を被っていようと体が細いのは見て取れた。
最初に木の棒を使い布を剥ぐ。ゆっくりと布を取って行き横に置く。布の下からは予想道理華奢な体つきの少女が現れた。白色の綺麗なワンピースが現れるが所々擦れた汚れや、何かに引っ掛け破れた場所などがあった。腰まで伸びた紫の髪は乱れ少女の顔を隠していた。足の近くには黒のサンダルが落ちており大きさはユイラと殆ど変わらない。身長もユイラと変わらないくらいだ。
二人が少女を観察していると布が無くなって寒くなったのブルリと体を震わせ、足と腰を曲げた。小さく唸る声は可愛らしく響いた。
二人は意を決したように顔を見合わせ少女の元に歩き始めた。歩き始めたユイラの手には木の棒は無い。エイラの顔にもどこか不安な気持ちは表れていなかった。
「行くよエイラ」
「うん」
二人は少女の顔の前でしゃがみ込んだ。二人は言葉を返さずとも通じ合い互いがやる事を理解していた。
エイラは髪を除け、見た目でもわかる柔らかそうな頬をユイラがつついた。
短くてすみません。




