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5話 清掃は2時間です。


 幽遠の森・東エリアは私達が住んでいるパーク国の領地となっている。

 北はルーグル国。西はアーラス国。南はウレース国となっている。

 多くの魔力が眠るこの守りは多くの国が興味を示し、開発を急いだ。その際、幽遠の森に面している4カ国で均等に森を分けることを決め、境界を超えての開発は大きな罪とした。

 幽遠の森の大きさは所有する4カ国がすっぽりとハマり余分が出る程、規模が大きい。

 そんな大きな森の半分もまだ開発が進むどころか、運用をどの様にするかも決めていないみたいだ。どの国も開発どころか魔物退治が忙しく、お金が燃えているみたいだ。

 私はパーク国が所有する三つの門のうち村から1番近い3番門の前で、コージが届けてくれたサンドイッチを頬張る。

 ザクリと口元で心地よい音が鳴り、パンを食いちぎる。パンに挟まれた卵が口の中でホロホロと崩れて、口内を駆け巡る。食べる前に気がついたが、ソースが変わったみたいだ。

 前に使っていたソースは砂糖や醤油、果物や香辛料などを合わせた、ドロっとした茶色いものだったが、今回のソースはまた違う。

 見た目は黄色、油分が前よりも多いのか滑らかに口の中を覆っていく。1口食べた時には味が重い気がしたが、慣れてからはスルスルと口が受け入れる。


「これ、売れるのでは!!てか、ソースだけ売ってくれんかな。名前聞いとこ」


 ユイラは口の端についたソースをした先で舐め、サンドイッチが包まれていた紙を丸くしリュックに閉まった。それと同時に入場証明書を取り出し、門の受付に近づく。


「お願いします」


 証明書を受付の男性に渡し手続きを始める。


「ユイラさんお待ちしておりました。12時から14時ですね」


 既に何回も仕事をしているので手続きは大幅に簡略化されている。既にやることは1つ、自己責任の欄にサインをするだけだ。

 サインが終わると、笛と収納袋を渡される。


「使い方はご存知かと思いますが、最近になって北の方ではEクラスの魔物も出ているので注意してください。躊躇わず笛を鳴らしてください」

「わかりました」


 Eクラスの魔物は私達一般市民には手も足も出ないだろう。

 Eクラスの魔物は中間層に居る魔物だ。Dクラス以上の国の兵士、魔法使い又は冒険者の動向なしに侵入禁止だ。

 最近、北の下層でEクラス魔物が現れ襲われたらしい。男の人は、恐怖で笛を吹けず亡くなったと言われている。

 受付からもらった笛は、下層の範囲全域に響き渡るとされており、笛の音が聞こえ次第、兵士が助けにいく事となっている。その際他国の兵士も国境を跨ぎ救出許可が出る。

 だが、私はこの笛と袋を持つのは嫌だ。なんせ、高い!

 この下層魔法笛、金貨5枚。そして、この袋、金貨10枚。めっちゃ高価な物なのである。

 拡張袋は魔術を使い収納量を拡張する袋であり、作るのに凄い手間だとか。職人の拡張袋は金貨50枚以上とも聞いたことがある。

 都会の金銭感覚が私にはわからない。

 まぁー袋は使わないといけないんだけどさ。


「でわ、行ってきます」 

「はい。お願いいたします。何かあったら直ぐに笛を吹いてください」

「わかりました」


 毎回言われるけど、吹いたことないんだよな。まぁ、国としても何かあったら大変なのだろう。王都では森の調査に対し反対の勢力もあるみたいだしな。

 そんな事より、早く仕事片付けて自分の時間作らないと。

 森に入り5分も歩くと異臭がしてきた。多くのものはこの異臭が苦手らしい。私は、そこまでかな。

 匂いをたどり森の奥に進んでいくと焼け死んだクロガバトが大量に発見された。


「はぁーもう、倒すなら羽だけは焼かないで欲しいな....」


 クロガバトの燃えかすを袋に入れる。使えそうな羽の綿だけ抜き取り持ってきた袋に入れる。


「あ、フワボウ」


 クロガバトの死体を食べにきたのか、5センチ程のふわふわとした白い毛を纏った魔物が現れた。

 こいつ、糸吐くからあまり好きじゃないんだよな。てか、集団行動得意かよ。

 フワボウはクロガバトを囲み3対ずつで運んでいく。

運び方は少し不思議でお尻から糸を出しながら、クロガバトの周りを回る。3人でぐるぐると円を描くように周り、細い6本の足で運んでいった。


「この糸強いな....」


 ぼーっと眺めていると1匹集団から離れ右往左往しているフワボウを見つけた。


 

読んでくださりありがとうございます。

本当にゆったりとした日常生活を描いていくつもりです。


これからも、よろしくお願いします。

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