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31話 図書館


「すみません。少し調べたい物があるのですが」

「あら、ユイラちゃん久しぶりね」

「お久しぶり、リエ姉」


 ソーリエ村にある大きな図書館。大きさはパーク大国第二位であり国からも補助金が出るほどのとても頼もしい場所である。隣の村や町からも訪れ、読書や情報誌を見に来る。

 目の前の木で作られた受付にはリエさんが据わっている。肩まで伸びた綺麗な紺色の髪にぱっちりした目、ちょこんとついた口はとても可愛らしく、この図書館では有名な美人さんだ。

 ユイラとはお隣さんであり、子供の時からの知り合いだ。クロガバトの羽で作った綿もリエさんの家で管理をして貰っている。


「最近来ないと思っていたけど、久しぶりに気になる事でもあった?」

「んーまぁ、そうですね。ベラリエラについて調べたくて」

「なんか歯切れ悪いね。ベラリエラね、ちょっと待ってて」


 リエはユイラに一言伝え席を立ち後ろの棚に振り向いた。細い腕を伸ばし多量にある資料を探す。些細な仕草が魅了するこの人はエイラに似ていてこの人も綺麗だ。

 なんでこんなリエさんは繊細なのにエリさんはガサツというか、図太いのだろうか。髪は正確に起因するのだろうか。

 ユイラは自分の髪を触りため息をこぼした。


「何ため息ついてるの」

「いえ、何も」


 あなたのような綺麗な髪を目指そうかなと。

 リエは椅子に座り持っていたファイルを机の上で開いた。長く伸びた指を使いリエはページを捲っていきファイルの中間で一度手を止めた。大量にある情報誌に指を滑らしていき止めた。


「Rー5がベラリエラの小説や情報が書いてある本になるわ。場所は分かるわよね?」

「うん。ありがとう」

「どういたしまして」


 リエの微笑みにユイラも微笑みを返し本棚がある場所に移動しようと体を反転させたとき、後ろからリエの声が掛かった。


「そういえば、最近エイラちゃんもよく見かけるから今日もいるかもよ?」

「エイラが?」


 リエの言葉にユイラは振り向き疑問を顔に出す。


「うん。大体植物の所にいるよ」

「本が見つかったら寄ってみる。ありがと」

「うん」


 ユイラは半身を向けた体を戻し歩き出す。三階建ての大きな図書館。一階から二階へ上がる階段は中央にあり面積も大きく緩やかで上りやすい。しかし、三階に行くには一階から三階まで続く長い階段を上って行かないとならない。階段も二階へ行くための階段より急であり、人が三人ほどしか歩ける幅がない。

 私は初めて来たときに思った。いや、毎回思っている。


「狂ってる」


 お年寄りがどうのこうのより、こんなの若い人でも嫌だよ...

 円錐な建物の中心に直線な階段。このような建物があるのはパーク大国の中でこの図書館だけだろう。


 ユイラは一階から延びる階段横にある看板を確認する。


「R、3階じゃねーか」


 心の声は簡単にこぼれる。隣にいた子供はクスリと笑い二階へ続く階段を上っていく。


 上からこの図書館を見るのは好きだ。立ち並ぶ本棚を倒したら綺麗に倒れるのだろうかといつも思う。不規則にある窓が綺麗に中を照らし、小さな秘密箱に入ったような感覚になる。この建物の中にある情報は一生のうちに全て見ることは可能なのだろうか。もし、それが出来たならお母さんに勝てそうなものだ。


 ユイラは下を見下ろしながら長い階段を上がり三階に着く。360度本で囲まれたこの場所は知識欲求者には堪らなく美味であり涎を垂らすのだろう。

 ユイラは目移りしながら目的の場所R-5を目指す。


 ユイラの身長の倍もある大きな本棚を見上げ目的の物を見つけた。首が痛くなるまで見上げたのにも関わらず、探し物は一番下の隅、一列しかなかった。

 ユイラは左から順に三冊取り、再び階段を下りると一階まで下りると今度は二階に上がっていく。

 いや、マジでこの図書館の設計考えた人誰だよ。


 二階につき階段の反対側が植物関連の本が立ち並んでいるので、ユイラは時計回りに二階を歩き、いつになく真剣に本を読むエイラの横に座った。

 点々と置かれる机は二人が対面に座れ、エイラの横には五冊程度の本が積まれていた。



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