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22話 外見


「おはよ...」


 お昼時、私がハンバーグを頬張っているとアイラが目を擦りながらやってきた。昨日と同じでTシャツがはだけ、艶やかな肩が見える。豊満な胸までもが見えそうで少しだけ羨ましさもある。

 このお肉を食べれば私にも付くかな...

 ユイラはハンバーグを睨みつけ大きな口で噛みつく。

 アイラはトボトボと歩きながらユイラの前に座る。朝にあったミツネのように目を細めボーっとしている。素がいい人間は起きた直ぐで寝癖が出来ようが、抜けている時があろうが、可愛く見えてしまう。ユイラの目の前に座るアイラは微睡の中で手櫛をし髪を整えmあくびをする。

 熊のいびきのような低い音がが聞こえ、私が辺りを見渡すと何故だか顔を赤くしているアイラがいる。ふるふると震え目を伏せているがどうしたのだろうか。


「流石に家に熊は来ないと思うけど...」

「いや、違う...」


先ほどの細い目がかっぴらかられ、丸々とした目が二つ目の前にあった。


「ごめん、私のお腹が鳴ったの....」


両手で顔を包み、でこを机にぶつけた。余程恥ずかしかったのだろう。未だに体が小刻みに震えている。その反応を見てユイラはクスクスと小さく笑い立ち上がった。


「今、ご飯用意するので顔洗ってきてください」

「うん...」


 アイラはゆっくりと立ち上がり部屋を出ていった。

 なんだかお姉さんみたいな人かと思ったら意外と可愛いところがある。エイラみたいな人だな。


 先ほどのアイラの態度を思い出したのかユイラは再び笑いハンバーグに火を入れ始めた。脂が弾けいいリズムを刻むハンバーグはお腹がいっぱいでも食欲をそそる匂いも発していた。

 時間的にミツネも来ていい頃だけど、何やってるんだろうか。

 アイラが洗顔から戻りユイラがご飯を出した時、ドアが鳴った。恐らくミツネだろう。ユイラは何も気にせずドアを開けるとスーツを着た男性が二人目の前に現れた。


「すみません。少しお聞きしたいのですが、こちらに金髪の女性が来ていませんか?」


 情報量が少なくとも察することはできた。恐らくアイラを探しに来たのだろう。昨日飛ばした梟が来た方角にある街を徹底的に探すという荒業をするぐらい何かが迫っているか疑問に思うが今アイラを返すのも勿体ない気がした。


「さぁ、私は何も見ていません」


 私はこの時否定を口にいたが、ふと思ってしまった。もし昨日いた幽遠の森の門番に話を聞きに行ったらバレると。それならば、考え方を変え時間を貰えばいい。


「でもー」


 ユイラはスーツを着た男性の背の低い方に耳打ちをする。足を延ばしふくらはぎが、震えだすが最後まで言い切れた。

 耳打ちをした方の男性はもう一人の男性に耳打ちし、笑顔になった。


「そうですか。ありがとうございます。」


 どうやら交渉成立の様だ。

 二人の男性は軽く頭を下げ、戻っていった。


「ユイラお待たせー」


 ミツネはトートバックを肩に下げ歩いてきた。固そうな紺色のズボンにTシャツと一般的な格好しているが、ミツネも素がいいからか特別な服を着ているように見える。

 ユイラはそのままミツネを招き入れ家に入る。そのままアイラのいるリビングまで行くとミツネが騒ぎ出した。


「ユイラが浮気した!!」

「いや、女性だから...」

「ユイラが知らない女性を連れ込んでいる!」


 アイラは突然の知らない人が入ってきたうえ変なことを言うので驚いたのだろう。フォークを加え固まってしまった。


「わかったから。それでお願いしていた人はこの人なの。アイラさん」


 アイラはユイラから何も聞いていない為、とりあえずミツネに会釈をしフォークを口から抜き取った。ミツネも通常運転に戻り、初めましてと挨拶を交わす。ミツネはアイラをじっと見つめブツブツ言葉を洩らしている。そんなミツネをよそにアイラは食事を食べ終え、お茶を飲んでいた。


「じゃあ、始めようか」

「そうだね」

「ん、何を?」


 事情を知らないアイラは顔を傾け疑問符を頭の上に浮かべる。

 人は簡単に変化する。容姿は変わらないものだと耳にするが王都では化粧は頻繁に行われ、容姿を綺麗に見せる。エイラの話によるとパーティーに行く際は絶対に、お出かけする際はうっすらと。場合によって使い方を変えるらしい。外見に時間をかけて何になると思う人もいるそうだが、第一印象はとても大切だ。

 アイラさんを見た時にも、綺麗な方なのに髪や爪が惜しいと思ってしまった。要は人が一番に相手の外見を確認し、その人の印象を焼き付ける。

 逆に言えば外見を整えれば、貴族たちも初めは文句は言わない。その部分だけならばアイラさんは他には負けはしな王子いし、横に立つ存在して際立つだろう。

 あとはアイラさんの気持ちと努力次第になってしまうが。


「じゃあ、ミツネよろしくね。私は上で作業してるから終わったら呼んで」

「わかったー」


 ミツネは了承しバックの中から様々な物を取り出した。そんなミツネから目を外しユイラは体を反転させ部屋を出ていった。






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