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104 小旅②


 「それにしてもブブカの換金が今になるとはね」


 幽遠の森に行く前にお風呂にはいった。

 普段朝にお風呂に入ることはないのだが今日中に帰ってくることは不可能であるため、入れる時に入ろうと思ったのだ。


「核をうまく破壊して提供したブブカだからすごい値段がつくんじゃないかな?」


 魔物の核を破壊して綺麗な状態で引き渡すことは手練れでなければ狙ってできることではない。だからこそ、残骸を掃除仕事、魔物清掃という職があるのだ。

 しかし、今回ベルエットがとらえたブブカは中層の魔物だ。どんな金額になるのだか、予想がつかない。国から手紙が来るということは国が正式に買取国で研究するのだろう。清掃で集められた魔物の残骸は研究対象ともなっていることがある。ブブカに関してはまだ他に使い道でもあるのだろうか。


「魔物をまともに捕獲するのは難しいんだよ。それも中層に潜んでいる魔物なら尚更研究も進んでないんだよ」


「ユイラも仕事をして綺麗な状態の魔物は見ないものなの?」


「まず、見ないよ。元々綺麗な状態を保持できる魔物は沢山いないし、もしいたらお金に困ったりしないよ」


「そうなんだ」


 ベルエットは湯船に口をつけ息を吐いた。泡の数が次第に多くなるにつれ水が弾ける音も高くなった。

 一度、エイラとミツネに挨拶してから王都に行こうと考えていたが最近は2人とも忙しい日々を送っているのだろうと思い湯船の中で考えを改めることとなった。


 2人はお風呂をでて自然乾燥に任せ髪を乾かしながら出かける準備をした。

 準備をすると言ってもベルエットが言っていることが正しければ幽遠の森を抜け王都に行く時間はそれほどかからない。だが、ベルエットと私の感覚は違うため時間がどれほどかかるのか正確に把握する必要があった。それにかかる時間によっては荷物も異なってくる。


「ベルエット」

「何?」


 レモン蜂蜜を注ぎぐいっと喉を鳴らしたベルエットは綺麗な銀髪を靡かせながら振り向いた。


「幽遠の森を抜けるのにかかる時間ってどのくらい?」

「んーかかって4時間とかじゃないかな?」

「4時間?」

「うん、4時間。まぁ、もっと早く着くとは思うけどね」


 ベルエットの言葉にユイラは目を丸くし瞬きをするのを忘れてしまっていた。

 少しの時間目を外気に晒し涙がじんわりと瞳に滴るときに、ユイラの思考が正常に働き始めた。


「ありえない。ここから王都に4時間で行く方法なんてないよ」

「そんなこと言われも私はそのくらいでついたと思うよ」



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