捕虜3万人
「僕に関係がある?覇権戦争が?僕は何も
しちゃいませんよ!もう帰って下さい。
良いですか?僕には何も関係ないです。
あんたたち、一体何のつもりだ?勧誘なら
他へ行ってくれ!何も入会しませんよ!」
依頼人(男) :
「敵国があなたを指名して来たんです。
落ち着いて聞いて下さい。ある地域で
市民が3万人捕虜になりました。軍によって
都市が封鎖され間接的に人質となってしまった
のです。われわれ民主主義連合は今の時点で
市民たちを救出する方法が見つかりません」
「捕虜?僕を指名?」
依頼人(男):
「ええ。われわれは市民の即時解放を敵国の司令部
へ強く申し入れました。思わぬ返事が返って来た
のです。しかし、それはわれわれには非常に困る
要求でした」
「ダメだ。やはり理解できない。捕虜の話など
ニュースに出ていませんよ?それに全く僕には
関係ない話じゃないですか!」
依頼人(女):
「もう少しだけガマンして話を聞いてあげて
くれませんか?お願いします」
「・・・」
依頼人(男):
「あなたは、昔、敵国の人間を助けたことが
ありますか?」
「助けたこと?」
依頼人(男):
「そうです。あなたは、以前、仕事を通じて
敵国の人間がわれわれの国で偽装市民として
生活していた時に書類上の手続きなどを代行
しませんでしたか?」
「どういうことですか?」
依頼人(男):
「わたしたちも考えたんですが、分かりません
でした。敵国の司令部から資料が送られて
来ました。Zという指揮官の署名です。あなたを
交渉人として、人質の解放に応じる用意がある
という趣旨の文書でした」
「僕を?」
依頼人(男):
「心当たりは、ありませんかね?Zは、かなり
上の地位にいる指揮官です。あなたを彼らの
国の準国民待遇として受け入れる用意があるとの
ことが記載されていました。そして、あなたに
ある仕事を果たしてもらいたいとの要求を
突きつけて来たのです」
「・・・」
依頼人(男):
「あなたが敵国の要求通りに仕事をすれば
3万人の市民を即時解放するとのことです。
しかし、その仕事は、われわれに重大な損失を
与える内容なのです」
「・・・」
依頼人(女):
「大丈夫ですか?」
「・・・」