何なら、4倍にしますか?
うわああああああああ〜
うわああああああああ〜
うわああああああああ〜
プリンセス:
「案内人さん、カプセルの中から、ケンの叫び声がしてるけど?」
サングラスをかけた男(案内人):
「お嬢さん、操作パネルで、✕と数字の2を押して下さい」
プリンセス:
「✕(かける)と数字の2?」
サングラスをかけた男:
「はい。それで、カプセル内の薬剤の噴射量が2倍になります」
プリンセス:
「2倍にするんですか?」
サングラスをかけた男:
「はい。2倍にします」
プリンセス:
「どうして?」
サングラスをかけた男:
「何なら、4倍にしますか?」
プリンセス:
「そんなことしたら、あの人が死んでしまうわ!」
サングラスをかけた男:
「それが、あなたの望みでは?」
プリンセス:
「・・・」
サングラスをかけた男:
「まあ、良いでしょう。本当に、あなたって人は、優しい方だ」
プリンセス:
「分かったわ。2倍で良いのね・・・」
サングラスをかけた男:
「彼に、情が移りましたか?嫌なら2倍にしなくても良いですよ」
プリンセス:
「変なこと言わないで・・・押したわ・・・」
サングラスをかけた男:
「ありがとうございます・・・彼のためですよ」
プリンセス:
「彼のため?」
サングラスをかけた男:
「そう、彼のためです。このカプセルの中にいるのは、あなたの恩人・・・」
プリンセス:
「私の恩人?違うわ・・・」
サングラスをかけた男:
「そうですね。あなたの恩人・・・を殺した人物・・・」
プリンセス:
「私の命の・・・恩人・・・」
サングラスをかけた男:
「スクリーンルームに行くまでの辛抱です。
もう少し、お互い、頑張りましょう」
プリンセス:
「ええ・・・」
サングラスをかけた男:
「ケンさん、すっかり眠ってしまいましたね」
プリンセス:
「こんなの発明した人たちは、人間じゃないわ・・・悪魔よ・・・」
サングラスをかけた男:
「そうですね。地球人こそが、この宇宙の・・・悪魔ですよ」
プリンセス:
「うまく行くかしら?」
サングラスをかけた男:
「あと少しです。頑張りましょう」
プリンセス:
「はい」
サングラスをかけた男:
「彼も喜んでくれますよ、きっと」
プリンセス:
「・・・」
サングラスをかけた男:
「さあ、そろそろ起床してもらいましょう。操作をお願いします」
プリンセス:
「スクリーンルームまで、頑張るわ」
(シュー シュー シュー ウィーン ウィーン カチャッ)
サングラスをかけた男:
「お嬢さん、ボタンを押して、カプセルを開けて下さい」
(パカッ キュイーン〜 キュイーン〜 キュイーン〜 キュイーン〜)
・・・
・・・
・・・
・・・
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