あなたが掘った穴
私とプリンセスは、自動運転モードに設定した
車内で数時間過ごした。シートを倒した状態で
私は車内の天井を見つめたり、目をつむったり
しながら浅めの睡眠を繰り返した
場所は、敵国が偽装の飲料系企業の名目で
購入した土地だった。わが民主主義国連合は
やがていつか訪れる覇権戦争という国難を
全く想定せず、敵国に自国の土地を買い上げ
続けられて、次から次へ所有地化を許して
いた
亀の王国は、こんな所にも、こんな形で
着実に支配下を拡大しているのだ・・・
自動運転装置のナビゲート音声アナウンスが
リズミカルな音楽とともに流れる
♪♪〜オツカレサマデシタ♪♪
♪♪〜モクテキチニトウチャクシマシタ♪♪
私は、なぜかうれしくなかった
車を降りたくなかったのである
プリンセス:
「到着したわ。お疲れ様。降りましょう」
ケン・アキレス:
「ここはどこ?俺、ここで待ってるから
君1人で行ってきなよ」
プリンセス:
「ここはどこ?とぼけないで。ケン、あなたが
分からないはずはないわ」
ケン・アキレス;
「は? 俺が知ってるわけねえじゃん。
ここは一体どこなのよ?」
プリンセス:
「忘れたとは言わせないわ。この広い所有地に
来たことがあるはずよ」
わたしは、辺り一面が広大な森林で
埋め尽くされている山間部の光景を
ボンヤリ眺めた
森林・・・
森林・・・
ケン・アキレス:
「会社らしい建物はないの?この森の奥か?」
プリンセス:
「フッ(笑)あなたって、ホントに役者ね
いいかげんにしてくれる?ここで企業活動を
してるわけないじゃない。所有地を確保する
ことが目的なの。ほら、見なさいよ、この
森の景色を。さあ、歩きましょう。
小屋がある場所まで。そこで仲間と待ち合わせ
してるの。近くにあなたが昔掘った穴が
たくさんあるから」
ケン・アキレス:
「俺が、昔、掘った、穴?」
プリンセス:
「とぼけ屋さんね。おとぼけのケンちゃんて
呼ぼうかしら?あなたが昔、Zの雑用依頼で
地面に掘った穴がたくさんあるわよ」
ケン・アキレス:
「・・・」




