宇宙清掃部隊
「軍事衛星？」
ベイビーさん:
「そうです。3人のアキレスたちは
表向きは、宇宙清掃部隊として
活動しています」
「 宇宙清掃部隊
（うちゅう せいそう ぶたい）？」
ベイビーさん:
「はい。つまり、宇宙ゴミの解消作業部隊です」
「ちょっと、待ってくれよ、ベイビーさん。
それマジで言ってるの？」
ベイビーさん:
「どうしました？わたしが、あなたに嘘をつく
必要がありますか？これは冗談ではありません」
「じゃあ、今も、彼らは、宇宙ゴミを片づけて
いるってこと？」
ベイビーさん:
「はい。今、3人とも宇宙にいます。通常業務は
動作不能となった人工衛星を修理したり
または安全なサイズに小さく解体して地球の
上空へ落下させます。その後、火球化しますの
で地球上空で、燃やして処分しています。
修理と廃棄処分の作業がほとんどです。
簡単な仕事じゃないんです。命がけの仕事です」
「命がけの仕事？」
ベイビーさん:
「命がけの仕事です」
「でもさ、俺は、全然知らないんだけど
例えば地上からは修理できないの？
通信システムから人工衛星に指示を出して
人工衛星の再起動でも、地球への落下でも
させれば良いじゃん？」
ベイビーさん:
「先ほど、説明したとおりです。制御不能となった
故障案件だからです。そのままにしておくと、
人工衛星同士の事故にもつながりかねません。
地球周辺には、様々な宇宙ゴミが散乱するよう
になりました。民主主義国連合だけではなく
独裁国家群も、数えきれないほどの衛星を
飛ばしています。そのため故障案件は、自然に
年々増加しているのです。ルールが定まって
いません」
「ルール？」
ベイビーさん:
「そうです。覇権戦争が始まってから、宇宙空間の
ルールがなくなりました。敵国が、地球周辺の
宇宙空間を領有化宣言したことはご存知
ですよね？」
「ああ、そのニュースは、だいぶ前に流れて
いたね？どうなったんだい？あれ以来
速報がないみたいだけど？そもそも
領有化っておかしくないか？宇宙だろ？
みんなのものじゃないの？」
ベイビーさん:
「そんな正論が通用する相手ではないんです。
敵国の宇宙ステーションは、軍事基地的機能を
備えるようになりました。今では、それが増設
されつづけた結果、軍事要塞化しました。
宇宙空間から地球へ発射可能なミサイルを
備えつけているとも言われています。
また、武装した常駐兵もいるようです。
常駐兵は、年々その数が増えているようです」
「ぶっそうな話だな・・・」
（宇宙清掃部隊？）
（敵国宇宙ステーションの軍事要塞化？）
（俺は自分の小さなこの部屋を
掃除するのも、ひと苦労ってのに・・・）
（話がデカすぎるよ ベイビーさん・・・）
ベイビーさん:
「アキレスが油断している間に
亀はいつの間にか宇宙へ向かい
恐るべき軍事要塞空間を作り上げて
しまったんです」
「亀の・・・軍事要塞・・・空間・・・」
