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こんな外見なんていらない  作者: ヴルペル
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捨ててしまいたい

容姿に恵まれず、学校でもブスという理由でいじめの標的にされていた。こんな人生なんていらない。そんな時ネットの噂で外見を買うことが出来るお店があることを知った

……


「外見を買わせてください」


……


この世界では自分の外見を変えることができる。

自分の新しい外見を買うことが出来るし、もちろん売ることも出来る。

需要によっては容姿を高く買取ってもらえる。

もちろん美人の方が高く売れるし、買うために必要なお金も高額になってくる。


だが、一つ注意点がある。外見を買うためには、今の外見を売らなければならない。


……それでも私は容姿を変えたかった。変えなければならない理由があった。


「お嬢さん本当に買うん?今の外見を売ってもらうことになるんやけど」


店の店主が心配そうに確認を取ってきたが、口角が上がり嫌な目付きでジロジロと品定めするように見られた


このお店はパッと見ではわからないようになっており、裏路地を突き進んでいき、地下におりて青い花を三回通り過ぎ、ゆりの花が五本咲いているお店の扉をぬけ、右に進んでいくと突き当たりに寂れたベルが置いてある。

そのベルを鳴らすと扉が開く仕組みになっている


「私は今の外見をどうしても変えたいの」


「私は……」


「ふーん?まぁそこまで言うならしゃーないか?……お嬢さんの外見はあまり値が張るもんじゃないよ?なんせ……」


「わかってる。ちゃんとお金は別で用意してきてるから」


私の外見は太っており、顔立ちもスタイルなんていい訳もなく、学校ではいじめの対象になっていた。


もう耐えられなかった。


「オッケー!オッケー!なら奥に "売られたあと" の外見があるから自由に見てってやー!」


お金があると聞いた瞬間店主の表情がぱっと明るくなった。

奥の鍵を開けてもらい、部屋に入って次の私の外見を決める


「うーん……いまいちパッとしない外見ばっかりだな……」


イケてない部類の外見が多い……まぁ、そりゃ美人とかはなかなか売りたくないだろうけどさ……

でもやっぱりせっかく外見を買うなら美人がいいよな……


素早く目をスライドさせながらなるべく容姿が整っている外見を探す。流れのまま歩みを進めていくと目がある外見に止まる。


「……!これって!」


髪はサラサラで綺麗な茶色。鼻は高く、色白。唇は程よくぷっくりとしていて間違いなく美人の部類!!

スタイルは少し細身だけど、ほっそりとした綺麗な手足。

まるでモデル体型…女性の願望を詰めたような姿がそこにあった


「お人形さんみたい……」


「おや?お嬢さんお目が高いね!」


ぼそっと呟くとカウンターから店主が現れて外見のそばに立つ。


「この子最近うちに来たんよねーでも相当高額になるよ?お嬢さんに払えるんかいな?」


小馬鹿にしたような顔で見てきた。


「……もし……」


汗が出てくるのを感じ、生唾を飲み込んだ。


「もしこれを買いたいと言ったらいくらで売ってくれますか」


全財産を投げ打ってでもこの外見が欲しい。その一心だった。


「ちょっと待ってなー?お嬢さんの外見を軽く見積もりしてみたんやけど……ざっと3万くらいかなー?この子の外見はな…かなり状態がいいもんやからな…」


電卓を軽く叩いて顔に近づけられた。


「こんくらいかなー?」


「………三百五十万……」

(やっぱり高額……だけど払えない額ではない……ずっとこの日のためにアルバイトで稼いでいたから貯金は沢山あった)


「これください……」


「まいどありー! ほなこっちの部屋にきい!」


奥の部屋に通されるとベッドに横になるように言われた。頭に変な装置が取り付けられて、目隠しをされる。


「じっとしといてなー!頭を空っぽに!じゃないとどうなるかわからんよ?料金は後からちゃんと貰うからね」


脅されつつもちゃんと言われた通りにした。

頭がスッキリするような……ふわっとした感覚に襲われ眠りに落ちた。


…………


(?眩しい)


「おっはよーさん!まだ体は動かさんといてや!」


目隠しをゆっくり外され、頭の変な装置も取り除かれた。

頭がクラクラする。


「おっけー!ゆっくり起き上がって」


上半身を支えられながらゆっくり上体を上げていく。


(……?軽い)


鏡を渡されて自分を覗き込んだ


「……!?」


ぱっちり二重の目。色素が全体的に薄く、ハーフみたいな顔。体は……

ほっそりしていて綺麗な手足。動かした時もスムーズに動く……


鏡の自分に見とれていると、呆れたように店主が口を割り込んできた。


「気に入ってくれたみたいやねー! そら嬉しいわ! ほんじゃお会計してもらおか」


ベッドから起き上がると以外にもすんなりと体が動いた。前の体より動かしやすくて手足が長いから少しもたついてしまう。この感覚がなんか嬉しくなり、口物が緩む。


(手足が長いってこんな感じなんだ!目線が全然違う!)


お金を支払ったあとお店を出ようとした時だった。


「あ!お嬢さん待って待って!」


後ろから急に呼び止められた。


「注意事項言わなあかんかったぁ!!! 忘れとったわほんま! かんにんなー!」


べろをちろっと出して可愛く頭にコツンと手を当てる。

おっさんのてへぺろは全く可愛くない……


「注意事項は……外見を変える前の人生を捨ててその外見で新しい人生を進むこと。外見を変えた人用に新しく住む場所と、働き口を用意してくれるところ紹介すっからまずそこ訪ねるとええよ」


「いえ、まだ高校生なんで……住むところだけで大丈夫です。ありがとうございます」


まいどーと大声で手を振る。それに答えるのは恥ずかしい気がしたので、後ろを振り返らず新しい人生をあゆむべく紹介された住所に向かって歩き始めた。

最後まで読んでいただきありがとうございます。もし、外見を売ることが出来たら…?ということを鏡の前で考えたことがきっかけでこの物語を書き始めました。外見を変えたことによりなんの変化があるのか、それが嬉しいものなのか悲しいことなのか謎は謎のままそのまま埋もれさせたいです。また次回お会いしましょう

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