いや、思ったこと言っただけなんですけど……?
こんにちは、新本悠彦です。
本当なら、8月に投稿したかったのですが、7月と8月はテストがあるため、早めに投稿しました!
まぁ、これからもテスト三昧なので、こうして早めに投稿するかもしれませんが、よろしくお願いします。
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すみません、予約連載で、27日(日にち間違えてたらすみません)に、間違えて1話を投稿しちゃいました。
しかも、間違えて3話の内容も後書きに書いてしまうというアホなことをしてしまいました。
間違えて投稿された一話はスルーしてください。
本当にすみませんでした。
思わず、目を閉じる。車に惹かれる寸前の猫はこんな気持ちなのかと思いながら、脳みそをフル回転させていると、どこからか男性の声が聞こえてきた。
「フロー!何をしている!」
「パパ……」
え、パパ?フローの父親が来たのか?
「何をしているんだ!お前は!」
フローが俺からひっぺがされるような感覚がした。
次の瞬間、ばちんと鈍い音が響いた。
ゆっくりと目を開くと、フローの父親とフローが向き合っていた。
おそらく、ぶたれたのであろうか、フローは、痛そうに頬をさすっていた。
「お前…………まさか、魔眼を使おうとしたのか…?」
「……」
黙ってなかなか口を割ろうとしないフローに痺れを切らしたのか、父親はフローを怒鳴り始めた。
「黙っていないで何とか言ったら、どうなんだ!先日も前々日も!お前を叱らなかった日はないぞ!!」
「……」
フローは、どこか諦めたような悲しい顔で父親を見ていた。
ここは何とかしないといけないと思い、俺は思い切ってフローの父親に話しかけることにした。
「あ……あの……俺……魔眼とかよく分からないんですけど……別に何もされてませんし……フローはただ……別れ際にハグしてきただけで……」
「いや、私には、フローの目の色が変わって、魔眼になったのが見えた。もしや、君はフローの魔眼に操られているのかもしれない。念のため、魔術医にみてもらおう。」
「いえ……そろそろ帰らないといけないので……結構です。」
「君の家はどこだい?ご両親に説明に行って、それから魔術医のところに行こう。」
何となく、この親の考えてることはわかる。きっと、自分の娘が一般の子供を操ったなんてことが周りに知られたら、自分の評判が落ちるかもしれないから必死になってるんだ。
人の話を聞かないこと、すぐにでも俺を人目のないところから移動させて魔術医のところに連れていこうとしている態度からして、一目瞭然だった。
バレバレなんだよ…偽善者ぶったどクズが…
悪態の一つ二つ思い浮かべていると、いつの間にかフローの父親は俺の手を引いて歩き始めていた。
「お前も来なさい!」
フローの父親はそう言ってフローを怒鳴りつけた。
「全く……!誰のせいだと思ってるんだ!」
やっぱり、思った通りだ。俺のことなんて少しも心配していない。
心配してるのは自分のことだ。
♢
結局、あの後も帰りたいアピールをしたのだが、フローの父親の押しに負けて、あれよこれという間に、魔術医のいる病院に着いた。
魔術医の男は、俺の寒そうな服を見て、フローの父親を怪訝そうに見た。
フローの父親は、自分がこの寒そうな服を着せた酷い親だと思われたくなかったのか、すぐに「娘の友人だ」と言った。
すると、魔術医は何となく事情を察したのか、「ぼく……目を見せてもらってもいいかな?」と俺に言った。
ぼくなんて言われる歳でもない気がするが、仕方ない。
ここは、目を見せることにした。
「ちょっと眩しいけど……我慢して目を開けていてね。」
そう言って、魔術医は、俺の目に杖を向けて、杖の先を光らせた。
「ふむ…………見たところ……魅了の魔眼の影響は出ていないね……」
医者がそう言うと、「信じられない」とでも言いたげな顔をして父親は口を開いた。
「先生、私は見たんです!フローの目が魔眼に変わるのを……!」
「前に言ったけど……魅了の魔眼の影響を受けると、目の奥にピンクか赤の靄みたいなものがでてくるんだよ……この……えっと……誰だっけ?」
魔術医は「誰だっけ?」と言って俺の方を見た。
あぁ、俺のことを言っているのか。
「ルパートです。」
「そうそう、ルパートくんだ。ルパートくんの目の奥にはね、その靄がなかったんだよ。だから……魔眼の影響は受けていないね……」
咄嗟に目をつぶったのが正解だったらしい。仮に、魔眼の影響を受けていたら、きっと、この父親はフローを部屋に閉じ込めるかして、二度とフローを孤児院に行かせなかっただろう。
フローと会えなくなるかもしれなかったことを考えると、背筋が氷でも落とされたみたいに寒くなった。
思わず、身震いする。
大人達は当然、そんな俺を見て誤解したのだろうか、身震いした俺を見て、魔術医とフローの父親が言った。
「ぼく……あのね……魅了の魔眼は悪いものじないんだよ……ただ……誤解されやすいだけで……」
「ルパートくん、娘が本当に申し訳なかった……ほら、お前も謝るんだ!」
そう言って、フローの父親はフローの頭を思いきりひっ叩いた。
当然、フローは痛みで声を上げる。
「謝るんだ」
「……ごめん…………なさい……」
フローの目には、涙の膜ができていた。
俺が怖がったことが悲しいのか、父親に頭を叩かれたことが悲しかったのかはよく分からないが、フローが悲しんでいることだけは確かだ。
「大丈夫……俺……たぶん魔眼に耐性があるんじゃないかな……?だから……」
「だから、大丈夫」と言葉を続けようとしたが、やはりと言うべきが、ドクズなフローの父親はそれを言わせてくれなかった。
「ルパートくん、気を使わなくていい!こんな化け物に耐性がある?そしたら、うちの執事達は仕事を辞めずに済んだんだ!」
「………………はい?」
俺が聞き返すと、フローの父親は「しまった……」と言って黙り込んだ。
この反応からして、きっと家で何かあったんだと確信した。
「……何かあったんですか?」
何となく予想はついているが、質問してみよう。ただ勝手に考察しているよりは聞いた方がマシだ。
「……実はね……フローが……魅了の魔眼を使って執事達を辞めさせたんだ……」
やっぱりか。
予想通りだったけど、腑に落ちない部分があった。
「もしかして……その現場を見たんですか?」
「いや、見てはいない。私はただ、この子の姉から話を聞いたんだ。その子はとても信頼できる子でね……」
姉……?あぁ、アドレイドのことか。
アドレイドとは、フローの腹違いの姉だ。俺の記憶が間違っていなければ、そのアドレイドがかなり、いや、とてつもなく意地悪で、何故かフローに自分の罪をなすりつけてばかりいたはずだ。
きっと、執事達を辞めさせたのもアドレイドだ。
どうせ、自分のやったことを、さもフローがやったかのようにこのどクズな父親に言ったに違いない。
「現場を見ていないのに、見たように言うのはあまりよくないと思います。もしかしたら、そのお姉さんが嘘をついている可能性だってあるのに……」とでも言ってやろうかと思ったけど、そう言って不況を買ってフローの執事にしてもらえなかったら元も子もない。ここは大人しく「そうなんですか」と言うことにした。
「そうなんですか」
「フローはもう少し、姉を見習った方がいいと思うのだが……君はどう思う?」
いや、あんたさっき俺のこと魔術医に紹介した時に「娘の友人だ」って言ったよな?「君はどう思う?」じゃねぇよ。友人がその「どう思う?」に「はい、見習った方がいいと思います」なんて言えるわけねぇだろ。
「フローは、孤児院の前で萎縮していた俺に声をかけてくれた優しい子なんです。誰かを見習わなくても、フローにはフローの魅力があります。」
さすがに腹が立って、思ったことを言ってやると、父親は少し黙った。
しばらくすると、言い返す言葉を思いついた子供のような嬉々とした顔をして口を開いた。
「この子に魅力がある?いや、君はきっと、魔眼に操られているんだ。先生、もう一度、ルパートくんを見てください。」
いきなり名指しされた魔術医は困ったように眉を八の字にして、「うーーーん……」と唸っていた。
「先生、お願いします。ルパートくんが可哀想です。」
黙れどクズ、可哀想なのはフローとお前の頭だよ。
あと、魔術医の話聞いてたのか?魅力の魔眼の影響を受けると、目の奥にピンクか赤の靄みたいなものがでてくるけど、俺にはその靄がでてなかったって言ってたの忘れたのか?
きっと、フローは嫌な思いをしてるんだろうな…
そう思い、フローの方を見ると、目が合った。
信じられないことに、フローは目に涙を浮かべて微笑んでいた。
しかも、その微笑みは明らかに俺に向けられていた。
思わず「どうして……」と、小さく呟く。
幸い、言い争いをしているフローの父親と魔術医には聞こえていなかったようで、安心したけど、フローの微笑みには既視感があった。
何か大事なことを見落としている気がする。
思い出そうとした瞬間、脳にナイフで刺されたのかと思うほどの痛みが走った。
「ああああああああぁぁぁ!!」
経験したことのない痛みに大声をあげる。
「ルパート!?」
フローが俺の方に寄ってきて、俺の名前を連呼しているのは分かる。あとの声は聞こえない。
「あああああ……!!いだい……いだい……!!」
痛みで呻いていると、頭の中に音声付きの映像が流れてきた。
それは、前世の俺が深刻な顔でこん月の単行本を読んでいる様子だった。
ここまで読んでくれてありがとうございます!
2話も読んでくれて貴方はとても心が広いと思います。
本当にありがとうございます。
次回は、死亡シーンがあります。苦手な方はご注意ください。