#6 ホンモノ
「所詮貴様は成り立ての勇者、ほかの奴らと何も変わらない」
彼女は続ける。その目はまるでゴミを見るかのように荒みきっていた。
「攻撃基本魔法など勇者でなくても使える。勇者なら勇者しか使えない魔法があるだろう。見せてみろ。それでその者の強さは分かる」
「2派スキル(あらすじ[スキル]欄参照)、か」
「あぁ、そうだ。期待はしていないがな」
俺の2派スキルは「吸引と反発」。全ての魔法を吸収し跳ね返す(吸引量に上限は無く、跳ね返した魔法は吸引量の倍になる)、というものだ。
「あぁ、いいぜ。見せてやるよ!」
「あぁ、見せろ」
「俺のは「吸引と反発」!お前の魔法を跳ね返してやる!打って来いや!」
「なるほど、分かった」
アリスは俺に向けて手をかざし、先程の炎系魔法を放った。流石に人相手だからだろう、先程よりは少し弱めだったが当たれば十分に死ぬレベルだ。
「避けてくれよー!」
吸収、そして反発。放たれた炎は俺の手に吸引され、さらに協力な炎がアリスめがけて迸った。
「...」
ズバッ
音が聞こえた瞬間、炎は2つに分断され、跡形もなく消えた。そこにいたのは無傷のアリス。
「き、斬った、のか...?炎を...」
「ふむ、中々面白いスキルだ。磨けば相当なものになるだろう」
こいつ、本物だ...。
直感的にそう思った。こいつは強い。俺よりはるかに。
その瞬間、俺の中で何かが崩れたような気がした。
「最強の勇者であるために」
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