爆狩り!ブルドーザー
その後2日間は、文字の学習と身体能力測定に費やした。そして今日はようやく爆狩の出来る日。
早めの朝食を取ったノーワンアトライトは8時には狩場のスタート地点、前回狩を行った場所に集合している。森に入って西進する事にした。
サド「サ8ア4ミ6リ1ス3!俺が斬り開き、アヤナとミココがフォロー、攻撃はリッカとスドに任せる!」
<ノーテンキー・ブルドーザー隊形>
障害物 障害物
7 8サド大剣 9
4アヤナ短剣 5 6ミココ盾剣
1リッカ弓 2 3スド杖
「「「「ラジャ!」」」」
サド「リッカ!スド!手が空いてる時は前方に火球ブチ込んでくれ!魔力残量注意でな!」
リッカ・スド「「ラジャ!」」
今日のノーワンアトライトは中級武器だ。
サド・ヘヴィブレード、アヤナ・バーニンゴーシュ、ミココ・ナイトシールドにバーニングソード、リッカ・ライトニングボウ、スド・アイススタッフだ。
ズド!バシュ!ズパン!
サド、アヤナ、ミココが時計回りに位置を変えて、木や草を刈り取っていく。
ボ、ボウ!
リッカとスドは、刈り取り組み前方の大木に適当に魔法を放っていく。火事にならない程度の弱い魔法、木を倒し易くする目的だ。
スド「背後からこの前のビッグルフ5!ガードエンチャント後、リッカと俺で殴る!」
「「「「ラジャ!」」」」
スドが杖を上げると、ノーワンアトライト全員が一瞬白く光る!クラメンの防御力が著しく上昇した。
リッカ「っしょ!」
スド「そい、そい!」
ビッグルフは3匹がリッカの弓で、2匹がスドの杖で、それぞれ1撃で倒される!今日はサドの大剣を除き、全員が魔法武器なので追加効果も有る。
サド「サイド!熊!倒す!」
横合いや前方からモンスが出た時は、刈り取りを止めて対応する。狩は順調に進んでいった。
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お昼頃…。
武装したゼークス辺境騎士団が、近場の農家に3台ほど荷車を引かせて、狩場に到着した。総勢20名程だ。
辺境騎士団員1「この辺と聞いていたが…。」
辺境騎士団員2「見ろ!そこ、木が倒れていて…あっちだ!」
空き地から森に入る部分の木が、幅5m程全て切り倒され、そこに入って見ると…。
辺境騎士団達「「「はぁ~~~っ!? 」」
ビッグルフが5匹程転がっており、そこから左手東の方に、ほぼ5m幅の道が出来ている。
勿論、切株は残り木は倒れているが、白々としたその切り口が一直線の道に見える。
辺境騎士団員3「あそこに熊。その先に猪2。いったい、あの方達はどこまで進んだんだ?」
メリメリ…ドサァ!
辺境騎士団員2「あれ!大分先の方で…木が倒れたようだぞ!」
その場に荷車と半数を残し、10名の騎士団員が槍を担ぎ警戒しながら駆け足で進む。
途中に熊や猪、狼やトカゲ、大きな昆虫のモンスがゴロゴロ転がっている。40分程でやっとノーワンアトライトに追い付いた。
8kmは進んでいる。
スド「ん?サド!素材拾いがやって来たようだぞ。」
サド「良し!停止!警戒しつつ20m程下がるぞ!」
「「「「ラジャ!」」」」
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辺境騎士団員1「ひぃ…はぁ…。」
装備を付け駆け足で40分近く走った騎士団員達は、少々へばっているようだ。いや、装備だけで30kgはあるのでそれが普通だろう。
皆汗だくになっている。
辺境騎士団員3「あの……ヒッ!? 何を!? 」
騎士団員達に向かい、リッカが矢をスドが魔法を放った。
シュドドド!ボ、ボウ!
騎士団員達が背後を振り返ると、デビ熊が2頭倒れていく。
騎士団員達「「「ありがとうございます!」」」
サド「疲れてるだろうが、警戒は怠るな!」
騎士団員達「「「はい~!」」」
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スドが杖を翳し何事か詠唱すると、騎士団員達の身体が一瞬光り、皆疲労回復した。彼等は口々に礼を述べる。
騎士団員1「それでですね。…。」
獲物の多くは倒してから早い内に血抜きしないと、食べるに値しなくなると言う。背後の倒して来た獲物で食べれるのは、猪位だろうと。
サド「解った。行軍速度は落ちるが、以後獲物は左右の木に下げて血抜きさせておこう。」
リッカ「そうだね。命を奪う以上無駄にするべきじゃない。美味しく頂かないとね!」
アヤナ「っつかお腹空いたかも。」
ミココ「私も!続行するにしてもお昼にしない?」
皆はサドの方を見る。
サド「そうだな。SSじゃないんだ腹が減るのも当然だ。一度元の入り口に戻ってメシにしよう。」
「「「「ラジャ!」」」」
騎士団員達にはスドが身体能力アップのエンチャントをかけてやり、道々アヤナが狼や熊、トカゲの皮を剥いでインベントリにブチ込んでいく。
ひょっと思いついて試したら、熊はダメだったが猪はインベントリに入った。昆虫モンスも大丈夫だった。大きさ?素材になるかどうか?
SSと違いインフォメーション表示がされないので、分類が解らない。インベントリに入るかどうかは試すしかないのだ。
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北の森入り口脇 空き地
猪10匹程と毛皮30枚程を荷車に乗せ、第一陣として帰って貰う事にする。戻りの騎士団員達は、もっと荷車が必要な旨を城に伝えるそうだ。。
リッカ「いよいよ、私がこの世界でデビューする時が来たわね!」
シェフ帽を被ったリッカが包丁を構えて叫んだ。
ぶっ倒した木を使って、サドとミココがまな板や料理テーブルを作る。食事用テーブルとイスはミココが中庭用に作った簡単な物を出した。
昨日買い込んだ道具で金属素材を加工し、スドがバーベキューグリルを組んだ。
アヤナ「これ食べれるでしょ?城の料理にも使われてた。」
農場経営スキル持ちのアヤナが、自生しているハーブを森から摘んでくる。
騎士団員1「う…美味い!? 」
騎士団員2「信じられん!俺が今まで食った中で1番美味い肉だ!」
ミココ作の素敵デザインの皿や。簡素だがグラつきの無いテーブルとイスにも驚いていた。
リッカ「ふふーん♪」
料理スキルは今のリッカにちゃんと受け継がれているようで、火加減、塩加減の絶妙さは完璧だ!ハーブも上手に使っている。
ミココ「リッカ偉い!」
アヤナ「うんうん、私の嫁に欲しいわ!」
スド「お!? これ回復効果付いてるな!あのハーブと猪、塩の組み合わせ…レシピにしとくよ。」
リッカのスキルのお陰だろう、料理には体力回復効果まであった。
サド「お手柄だなリッカ!アヤナ!狩にピッタリのヤル気出る美味さだ!」
食後の狩は更に捗った。
お相伴に預かった騎士達が後ろに付き、倒した獲物の血抜きなど後処理を手伝ってくれたからだ。
サド「お前ら。助かる!」
リッカ「また食事作ったげるからね!」
その後7km程進むと湖に当たり、ブルドーザーを止める。
陽が落ちる迄に元の場所に戻る。途中獲物の毛皮を剥ぎ、血抜きしてある熊8頭を丸太に吊るしてサドとスドで運んだ。
スド「こういうのは結構薬になったりするんだ。」
スドは毒を研究すると言って、倒していた大蛇の頭を落として何個か持ち帰る。サドは手の平サイズのアリを10匹位採っていた。蟻酸が使えるそうだ。
倒した木も勿体ないので、枝を払い丸太にして100本程をインベントリに放り込む。干して木材にし、ミココが家具を作るのに使う目的だ。
猪12と鹿2頭はインベントリに入れ、騎士団員達には腸抜きした熊2頭を運んで貰う。
騎士団員達「信じられない位の大量ですね!ゼークス伯爵も驚かれる事でしょう。」
空き地で待っていた荷馬車に熊や毛皮を積んで、ノーワンアトライトと辺境騎士団は意気揚々とゼークス城に引き揚げていった!
15km。完全な平地なら地平線辺りまで到達する距離を、ブルドーザーは進んだ事になる。