異世界初狩り!う~んレベル上がったのかな?
翌朝9期頃…
ドンドンドン!
(ドナン様!ドナン子爵様!)
ドナン「騒々しい!何事だ!」
そう言いながらドナンは起き出し部屋の内鍵を開けに行く。声がガニルのものだったからだ。
ガニル「それが…。」
ドナン「ブッ!? 」
昨夜の今日でエルフ達が訪れ、ドナン子爵との面会を要求しているそうだ。あれだけの大魔法…間諜達の行方も把握していた可能性は有る。
ガニル「どうされますか?」
ドナン「とにかく!客間に通して最上の持てなしをするのだ。私は着替えてから…。」
ドゴーン!!
建物が震える。
『ドナンー!そこにいるのは解っている!さっさと出て来い!』
ドナン「ヒィイイイイイイ!? 」
『あー、すまんね。我がクラン・マスターは朝は機嫌が悪いんだ。出て来ない場合はこの建物を魔法の実験台にすると言って…。』
ドナンは寝間着のまま階下に降り、自らノーワンアトライトの面々を迎えた。
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ドナン子爵邸 客間
ドナン「そ、それで本日はどういったご用向きでいらっしゃったのですか?」
サド「ププッ!お前面白い格好だな。」
リッカ「ちょ、ドナンさんその服センス無~い~~!」
ノーワンアトライト「ゲラゲラゲラ!」
額をピクピクさせながら、必死で笑顔を保つドナン。だから待てといったろが!…と言いたいのを必死に堪える。
スド「サド。」
サド「おーそうそう!要件だったな。いや、俺達ちょっとレベル上げがしたくてな。」
アヤナ「ゼークスさんにモンスター狩りたいって言ったら、それならドナン子爵だと。」
ドナン「そう、そう言う事でしたか。」
ガニル率いる黒騎士…第三騎士隊はドナンが都落ちする際、父である侯爵に泣きついて連れて来たものだ。ここでは害獣退治に貢献し、その活躍によりゼークス辺境伯もドナンを無視出来ない。
アリエータの件では無いと安心したドナンは、ノーワンアトライトを狩場に案内する事にした。
ドナン(丁度良い。北のモンスターが増えて困っていたところだ。彼等が退治すればよし、出来ねばこれ幸いと見殺しにしよう!)
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ガニルを先頭に第三騎士隊、それに続いてドナンとノーワンアトライト達が林道を進んでいる。
ガニル邸から北に10km、林道から森へ抜ける場所に開けた草原が有る。この辺でモンスターを見かけたと報告が入っていた。
ガニル「そろそろ…あ、熊です!」
サド「おう!それじゃお前達は後ろに下がってくれ。」
サド「サ9ア7ミ8リ4ス6!コンボで行く。リッカの弓で釣って、アヤナの短剣、俺の大剣、ミココの片手剣迄で仕留める!」
「「「「ラジャ!」」」」
<ノーテンキー(ノーワン・テンキー・フォーメーション)>
熊
7アヤナ短剣 8ミココ盾剣 9サド大剣
4リッカ弓 5 6スド杖
1 2 3
サド「リッカ!釣った後剣の間合いまでに視覚を奪ってくれ!」
リッカ「ラジャ!」
1分程で熊は倒された。
鮮やかな連携で全く危なげが無い。
ドナン達はその手際良さに舌を巻く。
サド「どうだ?今日は店売りの低級武器なんで、慎重に始めてみたが…。」
サド・ツヴァイハンダー、アヤナ・スチルダガー、スド・楡の木の杖、リッカ・コンポジットボウ、ミココ・スチルシールドにロングソードだ。
ミココ「サド、わざと熊に攻撃させたでしょ?私にガード試させてくれた…手応えある感覚には驚いたけど、全く問題無いよ。」
スド「っつか俺にも殴らせてくれ。実際杖がどれ位攻撃力有るか、確かめたい。」
サドは一つ頷くと、
熊の死骸をヒョイと持ち上げてドナン達の方へ投げた。
サド「お前ら、これ解体しといてくれ。」
サド「次は、サ5ミ7ス9ア6リ2だ!ミココのシールドタックル、スドの杖、リッカの弓、トドメはアヤナのダガーだ!隊形ミココに合わせ!」
「「「「ラジャ!」」」」
<ノーテンキー>
熊
7ミココ盾剣 8 9スド杖
4 5サド大剣 6アヤナ短剣
1 2リッカ弓 3
また一頭出て来た熊に、ノーワンアトライトは隊形を維持したまま突っ込んで行く。
ミココが盾で熊にタックルし突進を止めた瞬間、スドの杖が頭部に一撃、左目に矢が刺さり、飛び出たアヤナが首を刈る。
今度は30秒程で熊が倒れた。
スド「ミココのタックルでヨロケ…杖でほぼ倒せていたな。オーバーキルだ。」
サド「確かに。想定より弱い。…を!少しはマシな奴が来たか?」
狼っぽいのが2頭、血の匂いに惹きつけられ森から走り出して来た。ただ…馬並みにデカい。スドが物問いたげにガニルの方を見る。
ガニル「あれはビッグルフです!熊などより余程俊敏で強い!知能も高いです!」
首を傾げたサド、一つ頷く。
サド「スド、ガードアップ頼む。その後ミココ左、アヤナ右それぞれソロで当たれ!リッカはミココの、オレはアヤナのバックアップをする。」
「「「「ラジャ!」」」」
スドが杖を掲げ呪文を唱えると、ノーワンアトライト全員が一瞬だけ光に包まれる。
全員の防御力が著しくアップ!
ビッグルフはフェイントを掛ける様に、ノーワンアトライトの手前5m程で急停止し様子を伺う。
そこにミココとアヤナがそれぞれ左と右のビッグルフに殺到する。ミココに心臓を貫かれ、アヤナに首を半分落とされ…巨狼は瞬殺される。
サド「方向9より増援!ビッグルフ3匹!俺中、リッカ左、スド右ソロで!ミココはスド、アヤナはリッカのバックアップ!俺は要らん。」
「「「「ラジャ!」」」」
一人前に出たサドに3匹のビッグルフが一斉に飛び掛かる。
サドは踏み込みながら真ん中の一頭を両断。空中でカチ合わせバランスを失った2匹を、リッカとスドが一撃で仕留める。
ここでモンスターの襲撃がひと段落した。
サドの指示で、ノーワンアトライト達は倒した獲物をヒョイヒョイとドナン達の方に放る。
ドナン(ヤベえ……何あれ…?)
ガニル(あいつら子供…だよな…。)
第三騎士隊員達((絶対エルフじゃない!))
熊もビッグルフも、遠くから弓矢でハリネズミにした後、弱ったところを多人数が囲んで長槍で仕留めるのが普通だ。
サド「ん!? あいつら何か表情が固いな。」
リッカ「あ~。ウチらまた調子に乗って、自分達ばっかり狩ってたかも!」
サドは照れた様に頭を掻きながら、
ガニル達に近付き声を掛ける。
サド「悪いな。お前達も狩りたいだろ?…いや、気付かなくてすまん。」
スド「ザコいのがいっぱい来てるから、交代しますよ!」
ガニルはブンブン首を横に降る。
ガニル「い、いや。今日は我々は皆さんの狩を見学させて貰う。元々そのつもりだったんだ!」
ドナン「あ!? あっちからデビ熊が2頭!強い魔獣です!気を付けて!」
目の辺りに吊り上がった様な白い模様の入った、大きな熊が四つ脚で走って来る。
魔獣か…サドは呟いて一つ頷く。
サド「ミココ8!リッカ4左スド6右!基本魔法攻撃!俺はリッカ、アヤナはスドの外側から…位置OK、放て!」
「「「「ラジャ!」」」」
<ノーテンキー>
デビ熊 デビ熊
7 8ミココ盾剣 9
サド 4リッカ 5 6スド アヤナ
1 2 3
瞬時に隊形を整え、前に出たミココ以外が魔法を放つ。リッカが緑、スドが白、サドが黒、アヤナは赤の、50cm程の火球攻撃魔法だ。
シュドドドド!
体高3mは有るデビ熊2匹は、緑と白の火球が当たると沈黙し、続く黒と赤の火球で10m程吹き飛んだ。
ミココ「本当に魔獣だった?今の魔法耐性低過ぎない?」
アヤナ「またオーバーキルだったね…。」
彼女達の言葉を聞き、サドが不機嫌そ~にドナンの方を見る。
サド「おいドナン!本当にアレは魔獣だったのか?幾ら何でも魔法耐性無さ過ぎたぞ!? 」
ドナン「ヒィ!? 間違い有りません!顔に模様有ったでしょう?デビ熊!魔獣です!…お前達、間違い無いよな?」
ドナンがガニルや第三騎士隊に振ると、彼等は皆コクコク頷いた。
デビ熊は先のビッグルフ並に素早く、耐久性も高い。普通、魔法攻撃なんて弱ってからじゃないと当たらないし、数発は平気で耐える。
ノーワンアトライトの魔法が、速過ぎて強過ぎるのだ。
読んで下さった方ありがとうございます!
廃クランの雰囲気を伝えたく、
フォーメーションシステムを字面に…解り難いですよね。
少し視覚化してみました。笑って許して下さい。