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良かった!異世界にも人いましたね…ついて行こう。



四頭建の立派な馬車が、道無き道を疾走している。その周囲を護るように6騎の騎士達が並走していた。


「今少しです姫様!グリドーの遺跡に入り込んでしまえば……見えた!」


あの遺跡にさえ入り込んでしまえば、石柱や石壁を背に戦える。その隙に姫様だけを逃せば良い。




ところが突然、疾駆する彼等の前方、左横合いから大木が倒れてくる。


「なにぃ!? 」


「キャ~~~ッ!!!」


騎士達は巧みな手綱捌きで避けたり、直前で止まる。しかし馬車の方はそうもいかない。


咄嗟に馭者が馬達を右に向け、直撃は避けたものの馬車は大木に当たって停まった。後ろを走っていた騎士達が馬車の確認に走る。



「何者!? 我等をゼークス辺境騎士団と知っての狼藉か!」



サド「いや~。悪い悪い…。」




片手に異常なサイズの大剣を掲げた少年が、横の林方から出て来た。甲冑から覗く顔は秀麗で、悪気の無いあっけらかんとした笑顔で謝ってくる。


その後ろから3人の少女と1人の少年が出て来る。何れも眉目秀麗で同じ種族のようだ。


しかし後から出て来た少年の額には縦に目が描かれており…せっかくの美貌を台無しにしている。



姫も馬車から顔を覗かせてびっくりしている。


「エ、エルフ?エルフが何故、私達の行く手を阻むのですか!? 」




サド「ちょっと剣を試していたら…いきなり人と会う、なんて思っても見なかったからさ。」


そう言って少年は片手持ちにした大剣を、ちょいちょい動かす。大木を?何を馬鹿なと騎士達は思うが、あれが見た目通りの重さならば…。


シド「それと私達は人間だよ。ヒューマンエルスって、ちょっと変わってるけどね。」




人間?確かに耳は尖っていないが人間離れした美貌だ。それにエルフと間違えたのは、美麗極まりない彼等の装備のせいも有った。



そこに追っ手が追いついて来た。

黒い鎧、騎士の一隊の様だ。



-----------



「ダ~ッハハハ!付いて無いなぁ~。必死に逃げていたところに木が倒れていた…む?エルフ!? 何でエルフの子供がこんなところに!」


(それに奴は何だ…額に目だと?不気味な。)


「そこのエルフ達!ワシはガニル騎士隊長。これなるはワシが率いる第三騎士隊。邪魔だてするなら…。」



大剣の少年達は、追手のリーダーをチラッと見ると……無視した。彼等に背を向けて話し始める。




サド「それでさぁ。俺達はこの辺の事全く解らないんだけど、お前ら色々教えてくれないか?」


「それは…構わないのですが。その…今少々建て込んでおりまして。解りませんか?」




ミココ「人が居てホッとしたぞ!」


リッカ「いやぁ~。やっぱりご当地名産品とか食べたいしね!」


スド「あぁ…馬車を停めてしまってすみませんでした。すぐどかしますよ。ほらサド…その木どかして!」




サドと呼ばれた少年はノコノコ歩いて大木の方に行き、ヒョイと持ち上げた。


ゼークス辺境騎士団(え!? )

第三騎士隊(え!? え!? )



続けてサドがその大木を横の方に投げ捨てようとすると。


ミココ「あ、待って!勿体無いから私もそれ切ってみるよ。」



ちょっと考えた後、サドは大木をヒョイとゼークス辺境騎士団の頭越しに投げる。第三騎士隊にすれば、自分達に大木が向かって来るように見えた事だろう。


ゼークス辺境騎士団(あ…あ…。 )

第三騎士隊「「うわぁあああ!」」



シュキキキキキキーーン!

大木は50cm刻みくらいに切られ、第三騎士隊の方にゴロゴロと転がって行く。彼等はたまったものでは無く、慌てて馬を操り躱す。



リッカ「お前弱くなってね?なんかキレて無い。」


ミココ「やっぱそう思う!? 」




やっとこ馬を落ち着かせた第三騎士隊は、焦り始めていた。アレはヤバい。エルフなんかとは根本的に違う、ヤバい生き物だ。


ガニル隊長はそうっと手を挙げ、出来るだけ静かに、部下達に馬首を返す指示を出そうとした。しかし、それが間違いだった。


サド「お。何?」



挙手を目に留め、ヒョイっとサドがガニルの前までジャンプした。今の身のこなし!逃げる素振りも見せられない。


せっかく無視してくれていた、獅子や虎の注意を惹きつけてしまった…と彼は思った。




ガニル「うあ!? あ…いやその…我々も何か出来る事は無いか…とか。」


サド「おー!お前いい奴だなぁ。じゃあ、ちょっと馬から降りてくれ…。」


馬か!馬ぐらいくれてやろう。

その位で済むなら安い物だと彼が安心した時…。



ズドブッ!胸を大剣の先が貫いている。

ガニル「ッギャ~~~!? ゴホッ!な、何を…。」


サド「スド!治してやれ。練習だ。」



キラキラキラ…。

ガニル「え!? 今。え!? 」


僧侶風の男が杖を構え何事か唱えると、痛みは急激に納まり傷が消えた。隊長がやられた!と怒りを感じた部下の騎士達も、その凄まじい回復魔法に呆然とする。



サド「良し。何とも無いな?」


ガニル「は、はい。凄い回復魔法…もう何とも。」


アヤナ「じゃあ次はボクね。」



スパンッ!ガニルの手首が切断される。

ガニル「ッギャ~~~!? またぁあああ。」



サド「よしお前、今度はこれを飲むんだ!」



ゴキュゴキュゴキュ…。キラキラ…。

ガニル「え!? 凄い!何とも無い! この薬はいったい…?」




ニッコリ笑ったサドはガニルの肩をポンッと叩いて何やら耳打ちしている。


ガニル「こ…この秘薬を馬一頭で?」


サド「そうだ。あと四本しかないが…俺達には回復魔法があるからな…どうする?」




ガニルは四頭の馬を残し、騎士隊を率いて帰って行った。後には呆然としたゼークス辺境騎士団と姫、元気なノーワンアトライト達が残った。



-----------



ポクポクポク…。

俺は生まれて初めて乗る本物の馬に感動しながら、馬車に並走していく。これ、可愛い。


アリエータ「危ないところをお助け頂きありがとうございました。私はゼークス辺境伯が娘、アリエータ・ユル・ゼークスと申します。」


スド「まことお美しき姫をお助けする事が出来、私共も嬉しく思います。私はスド…これなるは我がクラン、ノーワンアトライトの面々。」



俺達はひとまずこのアリエータと辺境騎士団達について行く事にした。この世界の知識を得るにはうってつけの、知識階級に属する者達だったからだ。



リッカ「ご当地名産品!」


アヤナ「それ本当楽しみ!」


SS(ソリッド・サバイバー)内ならば不要だった、睡眠や特に食事等の面倒もある。そしてSS内に有った転移や移動、連絡通信手段等は今や無い。



ミココ「私は武具楽しみなんだけど…。」


俺「見た事ないのがあるといいな!」


快適にバトルを続けて行く為には、この世界の環境の確認…言語、地理、連絡通信、移動手段を知る事は最低限必要だ。…そして力(経験)を取り戻す事も。




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