…俺らのクランは何時・何処でも!最強だ!
ニュース「3日前にNASAから発表された通り、爆破された巨大隕石マダヲの…。」
逃げ出す人々で溢れ返り、街中がTVで見たハロウィンの渋谷みたいになっている。
あちこちで車が衝突しているが、ぶつけた方も当たられた方もそんな事は気にせず、猛スピードで何処かに走り去って行く。
…携帯に着信、シドだ。
俺はヴォイス変換を入れて電話に出る。
俺「おう、SMS見たか?30分後にあのレイド攻略開始するぞ!」
電話「…!…。」
俺「隕石!? それがどうした!ちょっと!…」
キーーーーーン!
俺「あ、悪い何か飛行機が低い所飛んでて…落ちてねえよw」
俺の目の前を消防車がけたたましくサイレンを鳴らし、通り過ぎていく。あちこちで家事が起こっているようだが…この辺は当分大丈夫そうだ。
電話「……。」
俺「避難?…お前は何馬鹿な事言ってんだ?逃げてる暇あったらサッサとINしろ!」
電話「………。」
俺「だからいいんじゃねえか!学校も会社も役所も全部休みの今がチャンスだ!」
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「全く馬鹿馬鹿しい。」
コンビニの袋をデスク脇に放り出す。
俺は死んだ有線LANをブチ抜き、以前スドが送ってくれた特殊広域無線LANをPCに接続する。
こいつは緊急用周波数だかを無理矢理使える素晴らしい物で、以前の関東大停電の時さえ、俺達は「ソリッドサバイバー」で狩りを続けたものだ。
「コイツを繋ぎ換えて…ほい来た!」
大容量UPSにPC類の電源供給を切り替える。
ヘッドセットを着けて…ヴォイスチェンジ。
ログインして…
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ソド「コイツ!? まだ変身しやがる!」
セド「硬いね?」
スド「おう…このままじゃ時間が…あれ!? 」
俺は横合いから、インフレイション・ヘル・ディザスターをレイドボスに打ち込む。
俺「悪い!横のコンビニシャッター降ろしてやがって…。」
ソド「さっすがサド!相変わらず無謀な攻撃をよく当てる!」
俺「を!解ってくれちゃう?これ普通に撃っても当たらないんだよね!」
スド「トドメっと。ハハハ、外はどうだった?」
俺「車がボコボコぶつかり合ったり、飛行機が超低空飛んでた…まぁ知らんけどな。」
セド「そうそうwこんな狩場が空いてる時にINしないなんて狂ってるよね?」
俺「全くだ。シドが避難とか泣き声言ってるから、サッサとINしろって怒鳴ったよ。」
ソド「あいつ馬鹿だからね?リアルがどうとかさぁ。」
シド「聞こえてるよ!」
スド「おう!来たか!」
シド「何なのリーダー。俺今日避難予定だったのに…。」
俺「シド。何度言ったら解る。俺を呼ぶ時はサドだろ?」
俺は伝達の時間ロスとミスを防ぐ為、クラメンはキャラクターネームで呼び合うルールを作っている。キャラネも勿論俺の指定だ。
俺「まぁ今日はいいか。シド、何処に逃げても一緒だ。」
シド「え?でも、落下予定地域東京って。遠いところ…海外とかなら平気でしょ?」
俺「今回は無駄だ。未発表だが衝撃波は地球表面上を全部走る。空飛んでりゃ何とかなるかも知れないが、給油出来ないんでその内落ちる。」
俺「月とかISSとか、この星出なきゃ無理だ。そうだろ…スド。」
スド「おま…あぁその通りだ。黙っていたが俺は総務省の技官で、機密情報も閲覧出来る立場だ。サドの言う通りで合ってる。」
シド「っひ?スドはお偉いかよ!俺は自衛官だよ!でもそんな話聞かされてない。」
スド「普通そうだよな。で、前々から興味を持ってた答えを最後に教えて欲しいんだ。サド。」
スド「セドは大学生で薙刀じゃ有名人、ソドは…アイドルで一時はセンター…。」
シド「うほっ!皆リアルスゲー!」
スド「サド…お前だけはどうしても正体が解らなかった。特殊広域無線まで多重ローミングでかわすし。」
シド「そうそうサド何者!? 」
セド「私は…知りたいけど。」
ソド「バレてたwでも私もサド気になる!」
俺「知ってもつまんねーぞ。」
スド「豊富な資金力、並外れた知性と教養…大学教授…それも日本の大学じゃない、違うか?」
シド「俺は発明家かなんかだと思う。仕事忙しいって言ったら3000万くらい振込んで、止めろって…監察にこれなんだ?ってとっちめられたよ!」
俺「どうでもいいんだけどな。まぁ…芭窟大附属中一年生だよ。」
スド「ブーーーーーッ!? 」
シド「ブーーーーーッ!? 」
セド「ブーーーーーッ!? 」
ソド「ブーーーーーッ!? 」
俺「うるせ?っての!ほら来るぞ!サ5シ4ス31セ92ソ1だ!」
俺はクラメンにしか通じないフォーメーション指示を出す。
サ5は俺をセンターに、シ4はシド俺の左、ス31はスド俺の右後ろでメンバーにエンチャント、セ1はセド俺の左後ろ、ソ92はソド俺の右前でヘイトスキルだ。
俺「行くぞ!ノーワンアトライト!人類が滅ぶその瞬間まで!俺達がナンバーワンだ!!」
シスセソ「「…おう!!!」」
直後俺達…いや地球をもの凄い衝撃が襲った。
だが俺達は意識を失うまでプレイし続けた……。
誰かが、少しでも楽しんでくれたら最高です。
読んで下さった方、ありがとうございます。