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9話 交流

前回までのあらすじ


①「あら、プエルと呼んでとお願いした筈だけど?」

②「魔女協会?」

③「明日、市街へ買い出しへ行こうと思っているのですが…」

 王都プロテア。

 プロテア王国の王城、プロテア城を中心に四方へ円形に広がるこの国で一番大きな街だ。

 城が街の中心にある小高い丘に建てられているので街のどこに居てもとりあえず城が見える。

 なのでここの住民は「迷った時はプロテア城を見て進め」と教えられて育つと言うのはここに住む者なら誰もが知る常識である。

 プロテアにおける最も交易の盛んな場所でもある。


「……」


「…お嬢様?」


 王城へと続く大きな通りを歩くのは、人を装い魔物である事を隠し街で買い物をしている二人の姿だった。

 ゲームであるエインヘリヤルの頃から既に魔物は人間社会に浸透していたとは言え、魔王ソロモンの後の時代の事はてんで分からないリーリカにとって、魔物と人間の間に出来た溝がどんなものなのかは分からない物の一つだったのだ。

 事前にウィッチやコロネから、人と魔物の間にソロモンの件による溝はほとんどなかったと聞いていたが、それはあくまでも魔物側の意見。

 人間側がどんな見方をしているかなんてのは、彼女たちに聞いても分からないのだから。

 だからこうして、角や尻尾を見えなくする魔法を付与して人間のように振る舞っている。

 隣を歩くコロネにも同じように魔法をかけて角や尻尾を隠していた。


「ん? どうしたの、コロネ?」


「えぇと…どうしてそんな恰好を…?」


「あれ、おかしかった? 出る前に言って欲しかったかも」


 すぐにそう言う訳じゃないと否定して慌てるコロネは見ていてなんだか癒される気がする。

 さておきリーリカの恰好の説明に移ろう。

 白いワンピースに白い靴、更には白い鞄。

 そう、全体的に真っ白だったのだ。

 幽霊みたいな白さでは無いものの、ここでは目立つ。

 メイド服姿のコロネの存在もあって、表街道から迷い込んできたお嬢様でも見るような視線が刺さる。


「ええとですね? 今朝、私がご用意した洋服はどうされたんですか?」


「用意した……あ、扉に掛けてあったアレの事?」


 すぐにそれですと反応してくれるコロネ。

 だが、リーリカにとってその洋服はとても街へ着ていくような形状をしていなかったのだ。

 何より布地が少ない、少なすぎる。


「あれって下着じゃないの?」


「れっきとした服…え、下着…?」


「ええ、これの下に着てるんだけれど…」


 扉に掛けてあった白地のフリフリした水着のような何か。

 明らかに下着か水着なソレをリーリカは今着ているワンピースの下に着ていた。

 動揺するコロネの反応を見るに、彼女はリーリカにこれだけを着て街へ行って欲しかったのだろう。

 こんなの着て出歩くのなんて痴女か露出狂くらいなものだろうに。

 何より、明としての人格がそれを服だと認識しなかったのもあるだろう。


「そ、それならセーフ…いや、むしろそっちの方が…」


「コロネ…?」


「な、なんでもありませんっ! さぁさぁ、次のお店に行きましょうお嬢様」


 動揺が行動に影響してか、彼女は大慌てでリーリカの手を引き街を歩く速度を速めて行く。

 これは流石に「買い物がそんなに楽しみだったのか」と楽観視して勘違いしていられる訳にもいかない。

 というかこれは気付いてくださいと言っているんではないだろうかとすら思える。


「着きました!」


「着きましたって…え、ホントにココ?」


 手を引かれてやってきたのは、明らかに食べ物だとか服とかを売っているような店では無かった。

 もっとこう、なんとも言えない怪しい物とかを売っているような店にすら見える。

 薄焦げた茶色いレンガ造りの建物が立ち並ぶ中で、まるでここですと目印にしているかのように黒く塗られた、作り自体は同じような建物の前に立つ。

 一件だけ雰囲気が違うなぁと入り口の前で立ち止まっていると、どうやら同じ店を訪ねに来た人物が居たようだった。


「すいませんね、お先に失礼」


「あ、はい どうぞお構いなく…」


「……そうだよね、ファンタジーだもん…」


 整った身なりをした中年の男が、リーリカ達の入るより先に店の中へ入って行く。

 それに続くのは、重そうな荷物を持った華奢でボロボロな格好をした子供たち。

 髪型や服装を整えれば、前を行く中年など比較にならない美系になるであろう少年や、まるで死体でも見てきたかのように暗い顔で箱を抱えるウサギの耳を生やした獣人の少女、自分より幼いのであろう少女を背負い運ぶエルフの少年など、その種類は多岐に渡るようだ。

 だが一つ言える事はある。

 見ていて気分の良い物ではない。

 もしもこの店へ奴隷を買いに来たのだとしたら、買い付ける前に商品の下見が出来てラッキーなどと思う者もいるかもしれないが、少なくともリーリカはその手の性格をしては居ない。


「…お嬢様? どうかしましたか?」


「ううん、なんでもない さっきの人、商談中みたいだし私たちは待ってよっか」


 店の中に入ると、やはりというか普通の店ではないらしい。

 構造自体は普通の店舗と同じような感じなのだが、どうにも置いてある品物がおかしい。

 よく分からない生物の内蔵らしき物を漬してビン詰にした物や、元はどんな生き物だったのかよく分からない生物の骨、何に使うのか分からない植物の束などなどが色んな棚に置かれている。


「今回は……はい、こんなものね」


「いやぁ、助かります。 それじゃ私はこれで… うわっはっはっ!」


 どうやらさっきの男の商談は案外早くに終わったらしい。

 金の詰まっているだろう袋を受け取ると男は上機嫌に笑いながら店を出て行った。

 その後ろに誰も従えずに。


「お待たせしてごめんなさいね… リーリカルナさん?」


「っ!? 私の名前…」


 この店の店主は、リーリカより少し年上くらいに見える妖艶な見た目の女性だった。

 机の上に広がる書類を纏めたりして片付けた彼女は、待たせていた客人の名を呼ぶ。

 リーリカはまだ名乗っていないというのに、名前を言い当てた訳で。

 驚いた顔をするも、すぐに思考が巡って言葉が途切れる。

 リーリカの中身が入れ替わる前から、ここの常連だったとしたら名前を知っていてもおかしくはないだろう。


「はっはぁ… 確かに中身が別物になってる訳ね。 今の反応でだいたい察したわ」


「え、あのっ…… いや、それよりどうしてその事を」


「ここはエルレインの魔道具屋、世界の情報が集まる場所よ? このくらい訳ないって事よ」


 エルレインの魔道具屋、と言う事は彼女はエルレインでいいのだろうか。

 そう聞こうと口を開きかけた所で即座に彼女はそうよとだけ言ってくれた。


「初めまして、リーリカルナの代行者さん? 私はエルレイン・スレイドリッチ。妹のウィッチがお世話になってます」


 言われてみれば、どことなくウィッチに似ているような気がしないでもない。

 ウィッチの見た目を7~8歳くらい成長させたなら丁度こんな感じだろうか。


「あの子、元気にしてる?」


「あ、はい 元気ですよ」


 ちょっとスキンシップが激しい気がしないでもないが、元気である事は確かだ。

 今日でこそ留守番をしているが、帰ったら構ってあげた方がいいだろう。


「そう、それは良かったわ… あ、その荷物は全部地下に運んでおいて頂戴」


「あ、さっきの子たち…」


「そっちのエルフの子は背中の子と一緒に二階に行って待ってて」


 どうやらエルレインが自己紹介をしている間、ずっと荷物を持ったまま立って指示を待っていたらしい。

 少年と獣人の少女は運んできた荷物を地下へ運びに行き、エルフの少年は背負った少女を二階へと運んでいく。

 どうやら背負っていた少女の方もエルフだったようだが今は関係ない。


「ええそうよ、あの子たちは奴隷…さっきのオジさんが出品して、私が管理・販売をするっていう契約でね… そうだわ、貴方オークションって興味ある?」


「オークション…?」


「そうよ 言ってしまえば奴隷市なんだけどね」


 奴隷市なんて言葉を聞いて、ニコニコしていられるはずもない。

 あまりに物騒な申し出に断ろうとしたリーリカだったが、咄嗟にエルレインが止める。


「まあ落ち着きなさい? 貴女のその身体の元主、リーリカルナはね 奴隷市を見て回ったりしてたのよ? 今回もそうなんでしょう、メイドさん?」


「……はい、こちらへはその目的で来ました」


「っ?! コロネ、そんなの聞いてない?!」


「お嬢様には内緒のままで来ましたので…黙っていてすみません」


 一体どんな目的で奴隷市なんて見て回ったりしていたんだろうか。

 城は広いし、労働力の確保をする為…?いいや、それなら中身が入れ替わるよりずっと前からたくさんの使用人が一緒に住んでいる筈だろう。

 だけど今までに見たのはコロネやウィッチ、スティーブにスラといった少人数だけ。

 となれば、食糧として見ていたのだろうか。

 サキュバスと言えば人の精気を吸い取り食らう事で有名だし、最初この世界へきた時に見たクローゼットの中にいた何人もの干からびた人間たちもそうやって吸い取られたのだろう。


「どうして私に黙っていたの?」


「…いつものお嬢様なら面倒くさがって私だけで買わせにに行こうとしたでしょうし、今のお嬢様だと正義感とかそういうので動こうとしなかったでしょうし…っ?!」


「ごめんねコロネ…許して…」


 コロネには悪いと思いながらも、リーリカはコロネへある魔法をかけていた。

 それは、問いに隠し事や嘘、秘密にごまかしと言った事が出来なくなる魔法である。

 本当なら尋問の時なんかに使うのだろうが、ここでコロネに嘘をついて欲しくなかったリーリカはほとんど無意識の内にこの魔法を使っていたと言う訳である。


「…いつもながら凄いモノね、貴女の魔力は」


「そうなんですか?」


「ええ、神様だって凌ぐんじゃないかって程の魔力量なのよ? 魔術をかじった程度の人間なら凄味だけでその場で吐くか気絶してるんじゃないかしら」


「そ、そんなに…」


 過大評価やお世辞といったようなものではないのだと、リーリカには不思議と理解出来た。

 今まで自分の力をそこまで分かって居なかったような気もするが。


「魔術にレジスト出来るのなんて殆ど居ないんじゃないかってくらい強力なのよ、貴女の力は。 普段は何百分の一にまで抑えられてるけど、解き放ったら大変な事になるわ」


 それは、彼女に言われるまでも無く分かっていた。

 自分の身体を巡る魔力の量が尋常でない事はこの世界について聞きかじり程度の素人であるリーリカにもよく分かる。


「まあとりあえず、セッティングは私の方でしておくし、見て行くだけでも価値はあると思うけど?」


「……分かりました」


「はい決まりね。 開催は明日だから、それまでゆっくりして行ってちょうだい? 王都の観光でもしながらね。 ほらメイドさんも」


 こうして、半ば強引に店から追い出されてしまった。

 しっかりと本日閉店の看板までぶら下げて。


「…追い出されちゃいましたね」


「そうだね……まあ仕方ない。 約束しちゃったんだし、明日いっぱいまではここを見て回りたいけど、いい?」


「お嬢様のお気の向くまま…」


 ついて来てくれると言う事なのだろうが、どうにも引っ張り回してしまいそうだ。

 街の観光をしたいのもあるし、買い物をしたいのも事実と言えば事実だろう。

 けれどどこか気が引けてしまう。

 自分の不始末が原因で縛り付けてしまっているのではないかと。


「ごめんね、コロネ…」


「と言いますと?」


「私があの店の空気乱しちゃったような感じだし…」


 そこから暫く、沈黙が続く。

 何か言葉を続けようにも、互いに申し訳なさが出かかっていた言葉を喉の奥へと押しやってしまう。

 リーリカは店でコロネに魔術を使ってまで思っていた事を喋らせてしまった事を、コロネはここまで気を滅入らせてしまったリーリカを思っての事。

 けれど互いの心はすれ違い、結局借りた宿でベッドに入るまでお互いに喋る事は無かった。


 時間は過ぎ、もう寝てしまおうかという頃合い。

 というか半分くらいは微睡んでいただろう。


「……?」


 うとうとしていた意識の中で、何か魔法が発動するような感覚が意識を呼び戻す。

 どんな魔法だったか思い出すよりも先に、身体にのしかかられているような感覚が気になった。

 コロネの仕業かとも思ったが、彼女がこんな大胆な行動に出るとは考えにくい。

 それに何より、体重が子供のように軽かった。


「おねーさーん、こんばんわー」


「あれ? エルレインさんの?」


 目の前に居たのは、エルレインが引き取った奴隷たちの一人だった。

 ウサミミの生えた、とても綺麗な目をした女の子だ。

 奴隷の着ているような服装はそのままに、幼い身体を最大限妖艶に見せるよう工夫がされている、そんな風に見える。

 まるで「そういうこと」をする為に着て来ましたと言わんばかりの恰好だった。


 なんで女性の部屋にそういう服で来たんでしょうねこの子は。


「ふっ… お姉さん、眼あったよね?」


「ん? うん 綺麗な眼だね…? それにしてもどうしたの、こんな夜更けに?」


「っ?! 嘘、効いてない?!」


 目を合わせた時にしてやったりといった感じに笑みを浮かべた少女だったが、様子の全く変わらないリーリカを見て表情が一変する。

 いったい何を仕掛けていたのかは分からないが、これはまずいと思ったのかリーリカの上から飛ぶようにして起き上がるとこの部屋から逃げようとした。

 だが、もう手遅れだ。


「っ!? ナニコレっ?! う、うごけぇ…」


「そりゃ人通りの多い街での宿泊だもん、防犯くらい自分でしなきゃ…世の中危ないんだから」


 宿の防犯トラップなんて、あっても扉に鍵があるくらいのものだ。

 それを全面的に信用する程リーリカは愚かでは無い。

 自前のトラップ魔法を仕込んでおいた訳だ。

 因みに今発動したのは、発動者以外が扉を開いた時に報せる魔法と魔力を伴わず床に足を付けた場合にその動きを拘束する魔法だ。

 現実にも、オートロックシステムや害虫ホイホイとして活用されているような仕組みだが、この世界にそれらがあるとは思えない。


「それで? どうして私の所へ?」


 足を取られ転倒して四つんばいになっている少女へ、リーリカは歩み寄って頬に手を添える。

 今度は無意識なんかじゃなく、自分の意志でこの魔法を使おう。


「最初見たときは生きる事を諦めてるみたいな目をしてたのに、今はその逆、生き残ろうと必死にもがいてる… どうして?」


「…そんなの、演技だからに決まってる…従順な奴隷である方が…月夜の眼っていう希少価値がある方が…処女である方が…その方が高く買ってくれるから…」


「月夜の眼?」


「…魔眼の一種で、目が合った相手を誘惑出来る…これでターゲットを誘惑して…高く買って貰って…金を巻き上げる…」


「あ、そうだ名前は?」


「…ルナ…私の名前…」


 幼い容姿の割に考えている事は割と残忍だったようだ。

 しかも慣れているのか訓練したのか、とてもスムーズに事を運ぼうとしていた辺り、これが初めてという訳でも無さそう。

 けれどそこまで深く聞き出すのを待たず、リーリカは魔法を解除して頬から手を放す。

 指が離れてしまうと、自白させる為の魔法は効果を無くして元の少女へと戻る。

 まぁ、彼女の動きを拘束している魔法はまだ解除されないが。


「……あれ? 私… そうだ、逃げ」


「られないよ?」


「うぅぅ… 抵抗(レジスト)されるなんて聞いてなぁい! どうしてお姉さん人間なのに抵抗できるの?!」


 キーキーと悔しそうに言うルナだったが、そもそもの前提が間違っていた。

 リーリカは人間ではない。

 確かに容姿は似通っているだろうし、リーリカ自身がそう見えるよう隠していたのだから当然だろう。


「だってそれは…」


「…ひっ…」


「人間じゃないから…」


「あ、悪魔… サキュバス…」


 不可視状態にしていた頭の角や背の翼に掛けていた魔法を、指先が触れる事で解除する。

 ぱらぱらと粉のようになって消えていく不可視のヴェールと、対照的に姿を現す悪魔の角や翼、尻尾は窓から差し込む月の光に照らされて、とても妖艶な物のように見えた。


「分かってくれた?」


「し…しぬ… 殺される…」


「え、えぇ…? 大丈夫、そんな事しないよ? メリットないし何より私がイヤだし」


「マスターに…」


 あ、自分の事じゃないのかという安堵と一緒に、込み上げてくるものもあった。

 こんな幼い少女の顔を青ざめて震えさせてしまう程のマスターとは一体どんな人物なのだろうか。

 別に正義漢ぶってる訳じゃないが、どういう事情があるにしたって聞いていて楽しい話ではないだろう。


「大丈夫」


「…何が…」


「私が守ってあげるから」


「えっ…ぅ」


 そっと頭を撫でて、ルナの心が揺れた所へ追い込むように眠りへと誘う魔法をそっと掛けた。

 料理の下拵えで居れた切れ込みに調味料がスッと入り込んで行くように、睡眠魔法は何の抵抗も無くルナの意識を深い眠りへと連れて行く。

 次の瞬間には意識を失ったルナがその場へ倒れ込みそうになった所を、リーリカが指を向けるだけで宙を浮いたルナはベッドへと運ばれていた。


「今はゆっくりおやすみ… さってと」


 ベッドですやすやと寝息を立てるようになったルナ。

 後は彼女の事をじっくりと調べ上げる。

 護ると言ったからには、しっかりと守ってあげられるだけの状況を造り出さなければならない。


「まずは身体的な損傷度… あぁ、可哀そうに」


 魔法でざっと確認しただけでも、服で見えていない位置に何か所もの痣や腫れがあった。

 けれど、今ここで治してしまうと後々面倒な事になってしまう事もリーリカは想定している。

 やれ私の商品に何をしてくれたとか、やれ横領だ横暴だ詐欺だと自分のやってきた事全部をリーリカへ押し付けるような事だってする輩かもしれない。

 であれば、ここでの治療は彼女を助ける上でプラスには働かない。

 多少は我慢して貰わなくては。


「…ごめんね…」


 傷を治せない事に対するお詫びと、そしてこれからする事に対する謝罪。

 本人は深い眠りの中だとしても、言わなくてはならない気がした。

 だって…


「ゆるして… ぱぱ…まま…」


 こんな寝言を言っているような子に、我慢を強いてしまっているのだから。

 きっと、これからする事をルナが知ってしまえばリーリカを恨むかもしれない。

 だってそれは、ルナの夢の中へ入るという事なのだから。


「…おやすみ…」


しっかりと布団を掛けてやり、優しく頭を撫でる。

その撫でている手に魔力を集中させる事で、リーリカはルナの夢の中へと入って行くのだった。


続く

長く間が開いてしまい申し訳ありませんでした


ネタがなかなか固まらなかった事を始め、毎週投稿の方を優先したりしている内に後手後手になってしまっていました。

執筆を忘れていたとかではありませんので、もしよろしければ以後も読んで頂ければと思っています。

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